小説『少女と妖魔心』。 | 趣味部屋

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~ファイナルファンタジーⅩⅣ(FFⅩⅣ)~

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『小説-FFⅩⅣ(ナルシャ編)』・設定。



ナルシャ視点

ヴォイド進撃の準備が整い、本番が明後日となった。
私の機械も問題無さそう。
うん、大丈夫。
きっと大丈夫。
だから、今は気持ちを落ち着かせていた。
黒衣森で一人、のんびりと。
お姉ちゃん達は忙しそうだったし。

「ねぇ、お姉ちゃん。」

突然、声をかけられた。
私を呼んだのは幼い少女。

「どうしたの?迷子?」

黒衣森にこんなに幼い女の子が一人?
でも、何だか不思議な雰囲気がする女の子だった。

「どちらかと言えば迷子を探してるの。」
「探してる…?」
「お姉ちゃんなら知ってるでしょ?…メルナって女。」

少女は笑む。
私は慌てて離れ、両手に銃を取り出して構えた。

「あなた、何者!?」
「居場所を吐いてもらうよ。」

少女が右手を前に出し、光が放たれた。
光は私に当たる直前で黒い石が付いたペンダントに吸い込まれる。

「何、その石?」
「ちょっとした御守りだよ。アーファ、あなたを倒す為のね!」

この少女がアーファ…。
多分、間違い無いと思う。
そして、アーファがこの石を知らないとしたら有利になりそう。

「人間風情が私を倒す、ね。無理無理。雑魚がいくら群れても所詮は雑魚に過ぎない。」
「やってみればわかるよ。」

と挑発してみても今の私には勝てる見込みは無い。
急いでメルナ達に知らせるぐらいしか。

「…時間稼ぎ?」

バレてる…。

「ま、そっちから来てくれるんでしょ?待ってるから。」

アーファは私に手を振り、消えていった。
本体って感じでもなかったから分身だったのかも?





アーファの出現を急いで皆に伝えた。

「ヴォイドゲートを開放し続けていることでアーファは力の欠片を送ることに成功したのかもしれぬ。やはり、これ以上放置も難しい。決戦は明後日…これは最早避けることは出来ぬ。」
「うん、そうだよね。私は…大丈夫。メルナは大丈夫なの?」
「無論。まさか妾が敗れるとでも?」
「可能性はあるんじゃない?本調子じゃないんだろうし。」

メルナの身体は半分は人間。
とても妖異だった時と同じように戦えるとは思えない。

「…汝の忠告、ありがたく思う。済まぬが妾に力を貸して欲しい。」
「勿論だ。」
「えぇ、勿論よ。」

ゼンとお姉ちゃんが頷く。
…いよいよ、アーファと戦うんだね。
大丈夫、覚悟は出来てる。





そして、異界ヴォイド進行の日。
グリダニアの双蛇党、帝国兵で計百人以上の軍となっていた。
グリダニア代表はエオルゼアの英雄である光の戦士、ピピメアとシュリラ。
そして、ガレマール代表は『ブレードダンサー』のお姉ちゃん。
敵対する関係だけど、超える力の持ち主達なんだよね。

「…以上、本日はよろしく頼むわね。」

お姉ちゃんの挨拶が終わる。
主に役割は以下の通り。
双蛇党はヴォイドゲートの確保。
帝国兵は私達の護衛。
そして、私達主力部隊がアーファの討伐。

「これより先は危険な戦いになるわ。生きて帰ってこれる保証は無い。…最後の確認よ。参加を辞退する者はこの場を去りなさい。止めはしないわ。」

死にたくなければ逃げていい。
それは軍人に対して侮辱なのかもしれない。
でも、お姉ちゃんは本当に心配してのことなんだと思う。
そして、お姉ちゃんの言葉に動揺した人は誰もいなかった。

「…では、あなた達の命、貸してもらうわ。ありがとう。勇敢なあなた達と共に戦えることを誇りに思う。」

一礼するお姉ちゃん。
すると、全員から割れるような拍手が起こり、歓声が上がった。
…これがブレイド…。

「ピピメア、シュリラ…エオルゼアの英雄たるあなた達とはいずれ戦う運命かもしれないわ。でも、今は力を貸して欲しい。」
「あのね、帝国人なら誰でも斬るって程野蛮じゃないから。…任せて。私があんた達を護るから。」

剣を抜き、真上に翳すピピメア。
剣が光を受けて煌めく。

「では、これより進行する。」

いよいよ、ヴォイドに…。
正直、怖い。
でも不思議とお姉ちゃん達と一緒なら大丈夫だと思えた。





メルナの力でヴォイドゲートを広げ、ゼンを先頭にして進む。

「これが異界ヴォイド…。」

暗かった。
日の光は無く、世界を照らすのは転々と存在する青い炎。

「…早速妖異に囲まれている。どうする?」
「妾に任せるがよい。少し時間を頂くが。」

メルナが真上に右手を挙げた。
すると、どこからか大きな黒い鳥が現れ、彼女の手に止まる。

「退け。妾はメルナであるぞ。」

鳥は弾け、闇となってメルナの身体の中に入っていった。
妖異の力を喰らったの…?
彼女の妖気が濃くなった気がする。

「メルナ、今のは?」
「ヴォイドに残していた妾の半身じゃよ。色々と調べてもらっておった。…なる程、アーファの居場所も把握した。」

メルナがある方向を指差す。
闇に包まれた世界だと思ったのにそこだけは凄く明るかった。

「通称光の国。アーファの住まいじゃ。」
「あの場所にアーファが…。」

わかりやすい場所。
でも、並みの妖異には近付くことすら出来ない場所なのかもしれない。

「ほう、とうとう来たか。」

低い声がし、全員武器を構えながら声がした方向を見る。
聞き覚えのある声だった。
やや高い場所から私を見下ろしていたのは二本の脚で立つ六本腕の獣だった。

「えぇ~っと…ダガド、だったっけ?」
「我が名を覚えておるのか。敵ながら天晴れである。」

何か誉められた。

「何の用だ?敵ならば斬るだけだが。」
「無論、我は敵だ。メルナ、貴様を下し、その力も我の物としよう。」

その直後、ダガドの姿が消えた…と同時にメルナの目の前に。
メルナは魔法みたいなのでダガドの三本の右拳を受け止め、ダガドは三本の左腕でゼンの剣を受け止めていた。
ちなみに私はお姉ちゃんに護られていた。
皆、あんな一瞬のことに反応出来るんだね…。

「野蛮。汝は会って早々に攻撃しか出来ぬのか?」
「我等に言葉等不要。喰うか喰われるかしか無い。そうであろう?」
「言いたいことはわかるが時を選べ。こちらは…。」
「アーファを討つのであろう?しかし、それこそ我には関係の無い話だ。安心しろ。メルナの力を喰らった後にあの者の力も…。」

と、言葉の途中でダガドの身体が後方へ吹き飛んだ。

「…やはり、完全とは言い難い。」

折れた自分の右手を見るメルナ。
その腕もあっと言う間に元通りとなった。
…多分、殴ったんだよね?

「この程度の拳を見切れぬようでは所詮その程度存在に過ぎぬ。大人しく住処に戻るがよい。」
「確かに今のは我の失態であろう。しかし、勝機が無いわけではない。本気で行かせていただこう。」
「よくわからないんだけど、敵でいいんだよね?」

いつの間にかピピメアがダガドの目の前にいて、剣を振り上げた。
ダガドの身体に一筋の線が入る。

「堅…!」
「何…!?」

互いに驚くピピメアとダガド。

「その者は暗闇の雲を討伐した者の一人だ。少しでも気を抜けば終わりだろう。」

ゼンが風魔法で追撃する。
ダガドに直撃するが、ダメージは無いみたい。

「光の戦士か…!おぉ、手合わせを願いたいと思っていたのだ。是非ともその力を見せてくれ。」
「あんた、なかなかの戦闘狂だね?同類なら本気で行くまで!」

巨体ながら素早い動きを見せるダガドとララフェル族の小さい身体でダガド以上の速さで動くピピメア。
これが数多の蛮神を葬ってきたエオルゼアの英雄…。

「ブレイド様、私達はどうしましょう…?」
「…あの妖異は彼女達に任せておけば大丈夫ね。各員、計画通りの準備を。」
「はっ!」

お姉ちゃんの指示で動く双蛇党と帝国の隊員達。
帝国軍には予めヴォイドゲートを確保し続ける為の装置を作ってもらっていた。

「ナルシャ、光の国までの道はわかりそう?」
「確認してみるね。」

地図作成機を取り出し、起動する。
機械の液晶には地図が描かれていく。

「まだ奥までは表示されてないけど、この道を行けば多分大丈夫。」

一本整備された広い道があった。
その道は光の国まで続いていた。

「ありがとう。では、私達四人と帝国軍は先に進むわ。」
「ほっといていいの?」
「いいわ。あの程度で英雄を討てるとは思えない。」
「ほう、我を見下すか。」

四人と戦っていたダガドが一瞬にしてお姉ちゃんの目の前に。

「邪魔よ。」

お姉ちゃんが剣を振り上げた。
その一閃でダガドの三本の右腕が切断され、地面に落ちた。

「何という力だ…。だがっ!」

切れ目から三本の腕が再生した。
再生能力がある生物はいるけど、この妖異の再生速度は異様だった。

「私は早くこの件を終わらせてナルシャと一緒に帝国に帰りたいのよ。邪魔するのであれば…命は諦めることね。」

お姉ちゃんの雰囲気が変わった…気がする。
何か怖かった。

「くっ…我が気圧されるか…。」

ダガドは構える。
でも、お姉ちゃんが一歩前に出る度に一歩下がっていった。

「良い。実に良いぞ、強き者よ。ただ強いわけではあるまい。光の戦士同様に超越者か?」
「だとしたら?」
「面白い!」

ダガドが吼える。

「強き者達に巡り会わせくれた運命だったのであれば…その運命に感謝せざるを得ない!」

ダガドを中心に強い妖気が渦巻く。
これって結構まずいんじゃ…?

「これが本気か。楽しそうだ。」
「だね!」

お姉ちゃんの前に来て剣を構えるゼンとピピメア。
この戦闘狂達は…。
お姉ちゃんは溜め息吐いてるし。

「水を差すようで悪いのじゃが…周囲を見てみるが良いのじゃ。」

メルナの言葉を聞いて辺りを見回す。
よく見てみると闇に紛れて奥から多くの妖異がこちらに向かって来るのが見えた。
…妖異のことはよくわからないけど、どの妖異も表情が無く、生気が無いように見える。
もしかして、これって…。

「アーファ因子。」

メルナが答える。

「あの面倒な不死の兵か。この付近の妖異はあの兵によって襲撃され、退避したと聞く。我とて不死相手では分が悪い。」
「所詮、二流じゃのう。」
「何?」
「あの程度すら対処出来ぬから汝は二流なのじゃ。一流にはとてもなれぬ。」

メルナが私達の先頭に立つ。
闇の魔力で弓矢を作り出し、引き絞って放つ。
闇の矢は一体の妖異を貫き、妖異は地に伏す。
貫かれた妖異はそのまま動かなかった。

「ほう、アーファの光の魔力を消したか。器用なことをする。これは骨が折れそうだがやむを得ない。我の楽しみを邪魔した罪、その身で償ってもらおう。」

ダガドが吼える。
すると、さっきお姉ちゃんが切り落とした三本の腕が姿を変え、三匹の狼と化した。

「…とんだ化け物ね。」

お姉ちゃんが呟く。
腕を斬っても生えてくるし、狼になるし…。
生命力がとても強いのかも?
そして、ダガドは狼達と駆け、操られた妖異の群れに突撃した。

「どうやら、ダガドは協力してくれるようじゃ。妾等も後に続けば楽が出来るかもしれぬ。」
「…まぁ、アーファ撃破の方が優先か。」

ゼンががっかりしてる。
よく見ればピピメアも。
この戦闘狂達は…。





ダガドを先頭に光の国までもう少しのところまで来た。

「大丈夫?」

よく見るとダガドはボロボロになっていた。
気が付けば三匹の狼もいなかった。

「人間が我の心配か。優しさは愚かでもある。しかし、優しさこそが貴様の強さでもあるのだろう。…我が身体は問題無い。と言いたいが、思っていたより光が強力だ。治癒にこれ程時間がかかるとは。恐ろしい力だ。」
「今であれば汝も喰らうことも容易じゃのう。」
「えっ?メルナ、本気なの?」
「生かしておく必要はあるまい?」

…確かに。

「いや、全力のそいつと戦いたい。」
「私も!」

否定したのは戦闘狂の二人。

「…命乞いとは格好悪い真似をするが…申し訳無いが今回は見逃して欲しい。我と戦うことを望む者がいるとあらば生きなければなるまい。」

う~ん…やっぱりダガドも戦闘狂…。

「…わかった。そもそも汝の命など興味は無いのじゃから。…そう、妾の敵は…。」

メルナが光の国を見る。
境となる場所付近には真っ白な竜がいた。
ヴォイドの世界には不似合いに思える神々しい竜。
でも、もしかしてあの竜も…?

「アーファ因子に…?」
「うむ。それも強い力を持つ竜に思える。そもそも妖異では無いと思う。…ヴォイドの者でもないかもしれぬ。」
「どこかから連れてきたってこと?」
「アーファはヴォイドゲートを作り出せるのじゃ。どこかの世界から捕獲してきてもおかしくはあるまい。…だとしても…。」
「確かにあの竜からは強大な力を感じる。そう、我と同等かも知れぬ。彼の者にこの竜を従わせるだけの力があるのだろうか…?」

ダガドと同等…。

「それなら大したことはないわね。」

とお姉ちゃん。
ずばっと斬り捨てたね…。

「生意気な人間だ。いや、貴様の実力は疑うまい。」
「とにかく、門番っぽいから倒さないとだよね?ダガドはここで休んでて。」
「…その言葉に甘えるとしよう。と言いたいところだが…。」

ダガドは後ろを向き、構える。

「敵はアーファ因子だけではない。ヴォイドの妖異はそこら中にいるのだから。」
「大丈夫なの…?」
「誰に聞いている?我はいずれ最強の妖異となるダガドなるぞ。」
「…うん、わかった。お願い!」

ダガドが吼えた。
殺意に満ちた妖気は恐ろしくも頼もしくもあった。

「さて、アーファまでもうすぐ。皆、準備は?」
「大丈夫!」

ゼンの確認に皆頷く。

「じゃあ、行くよ!」

走り出すピピメア。
速い。
臨戦態勢ではなかった竜に一撃を与えた。
竜は吼え、ピピメアに反撃するけど彼女は簡単に回避してしまう。

「続け!」

ゼンとイーテナが続く。





エオルゼアの英雄と帝国の騎士達…そして、属さない冒険者。
立場や出身が違う人達が一丸となって強敵に立ち向かう。
ううん、妖異まで仲間になっている。
今思えば不思議な光景だよね。
でも、皆こうやって協力出来るようになれば世界は平和になると思う。
先の長い話だと思うけど。

「お姉ちゃん!」
「えぇ。」

竜から放たれた複数の光の球。
竜もこのヴォイドには相応しくない光の力の持ち主だった。
どこかの世界で聖竜だった存在だったのかもしれない。
その力は強大で、光の球からも強い魔力を測定した。

「当たれ!」

機械による銃口補正に頼りながら長銃の引き金を引く。
銃弾は光の球の中心を貫き、光が破裂した。
私自身は強くない。
でも、知識や科学技術で賄える。
…お姉ちゃんはガンブレードで普通に撃ち抜いていたけど。
流石は私の騎士様。

「今だよ!」
「任せて!」

ピピメアの剣の一閃。
竜の首元に一筋の線が入る。

「はっ!」

その線にゼンとイーテナ、二人の大剣の突きが入り、首を貫いた。

「やった!」
「…まだよ。」

普通の生命体なら致命傷。
でも、竜はまだ動いていた。
アーファ因子の不死性によるものだと思う。
ゼンとイーテナが剣を抜き、竜から距離を取る。
致命傷も見る見るうちに治っていく。

「やっぱり、メルナしか…。」
「そのようじゃ。大丈夫。妾は既に動いておる。」

メルナが両手を地面につけた。
そして、魔法の気配。

「…喰らえ、グラドロスの鯨。」

光の竜の周囲の地面から闇が吹き出し、竜を包み込んだ。
抗う竜が少しずつ地面に沈んでいく。
しかし、闇は更に増していき、やがて竜は地面に消えた。

「倒したの?」
「うむ。アーファ因子も消滅させた。復活の心配は…。」

そこで言葉が途切れ、メルナは倒れた。

「大丈夫!?」

メルナに駆け寄る。
お姉ちゃんが起こすと意識はあった。

「魔力の多大消費による反動じゃ。全く、人間とは不便じゃのう。尤も、この不便さが楽しいとも言える。」

笑むメルナ。
大丈夫そうだね。
良かった。

「光の竜は?」

イーテナが帝国兵に確認する。

「確認致します!…反応無し!消滅を確認致しました!アーファ因子の痕跡もありません!」
「了解した。確認御苦労。…これが第一位妖異の力か。恐ろしいものだ。」

対象をアーファ因子諸共消滅…確かに恐ろしい力だと思う。
全盛期はこんな魔法も何度も使えていたのかもしれない。

「もう大丈夫じゃ。」

メルナが立ち上がる。

「無理しない方がいいんじゃない?」
「そうは言っておれぬ。この先にアーファがいるのじゃから。」
「…わかった。じゃあ、メルナは後方支援をお願い。」

メルナは妖異…それはわかってる。
でも、仲間だから。
失いたくない。

「…うむ、前衛では汝等の足手纏いとなろう。ナルシャを心配させるわけにもいかぬ。大人しく後衛を務めよう。」

メルナは笑顔で私の頭を撫でた。

「流石はメルナだ。素晴らしい力だ。」

メルナを賞賛したのは工法を守っていたダガドだった。
そっちも片付いたみたい。

「ちょっと、大丈夫!?」

彼は頑丈で生命力が高い妖異だと思う。
しかし、その身体には傷だらけだった。

「ここまで疲弊する戦いはいつ振りだろうか。いやはや清々しい気分だが、残念ながら我にもう戦う力は無い。…これからアーファと戦うのであろう?必要であればこのダガドの命、貴様にくれてやろう。」

崩れるように俯せに倒れたダガド。

「…必要無い。自ら言っていたではないか。汝にはまだ戦うべき相手がおるであろう?ここにいるハイデリンの小さき聖騎士もそうじゃ。」
「そうだよ!死なれたら困る!」

近寄るピピメア。
そして、回復魔法を発動する。

「無駄だ。人の回復魔法など通じぬ。」

ダガドを包んだ光が弾かれた。
回復魔法が通じないのは妖異だから…?

「しかし…そう、確かに死ぬわけにはいかない。情けないが頼みがある。一時間でいい。我に強固な防御魔法を施してくれ。」
「一時間だけでよいのか?」
「構わぬ。我の回復力は並みの妖異より遥かに高い。」

斬られた腕が一瞬で再生しちゃうぐらいだもんね。

「わかったのじゃ。」

メルナがダガドの周囲に結界を張り巡らした。
ダガドは目を瞑り、動かなくなった。

「さて、行こうかのう。」

光の国…ここにアーファがいる。
家出してゼンとメルナに出会って…お姉ちゃんが迎えに来た。
思えば長かったね。

「ナルシャ、大丈夫?」

お姉ちゃんが私の手を握る。

「うん!行こう、お姉ちゃん!」

その手を私も握り締める。
恐れは無い。





『少女と妖異心』・終わり






後書き

実はアーファ戦まで一話の予定だったのですけれども長くなり過ぎて二話に分かれてしまったわけで。
なお、二十四人レイド方式です。
それをほぼ八人で攻略しているわけではありますけれども。

パーティーは以下の通り。

ピピメア
ジョブ:ナイト
ロール:タンク

ミーン
クラス:槍楯士
ロール:タンク

ナルシャ
クラス:マシーナリー
ロール:DPS(サポーター)

ブレイド
クラス:ブレードダンサー
ロール:DPS(オールレンジ)

ゼン
クラス:魔法剣士
ロール:DPS(近接&キャスター)

イーテナ
クラス:大魔剣士
ロール:DPS(近接)

シュリラ
ジョブ:白魔道士(ピピメア特化)
ロール:ヒーラー

メルナ
ー:妖異(第一位妖異:メルナ)
ロール:オール

主人公はナルシャですけれども…活躍は次回です。