小説『少女と嫉妬心』。 | 趣味部屋

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~ファイナルファンタジーⅩⅣ(FFⅩⅣ)~

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『小説-FFⅩⅣ(ナルシャ編)』・設定。



ナルシャ視点

最近、ゼンの様子がおかしかった。
でも、それもすぐにわかってしまった。
今目の前でベッドに横たわるゼンのお腹が大きくなっていたから。
まさかこれって…。

「メルナよ。」

お姉ちゃんが答える。
メルナ自身がそんなこと言ってたもんね…。
普段隠していたゼンの左目と左手は今は露わになっており、それは妖魔っぽくなく多分元通り…人間の身体になっていた。

「…あれ?ちょっと待って、お姉ちゃん。」

ゼンの近くで世話をしていたお姉ちゃんに詰め寄る。

「メルナって…その…ゼンとそういうことしないと、じゃなかったっけ?私じゃないし…じゃあ、お姉ちゃん!?あ、あんなに私のこと好きだ、って言ってるのにゼンとそんなことを…!?この浮気者!」
「落ち着いて、ナルシャ。私が愛してるのはナルシャだけでゼンともそういうことはしていないから。…遺伝子情報が手に入れば何でも良かったそうよ。」

と、お姉ちゃんは自分の頭を指差した。
なる程、髪の毛…。

「私とナルシャ、ゼン…後は他数人の遺伝子情報を解析し、組み換えて身体を作り出したそうよ。」
「何それ怖い…。」

流石は第一位の妖魔…?

「妊娠、ってもうこんなにお腹大きくなるもんなの?」
「まさか。メルナが妖魔だから、だろう。妖魔は得体の知れない存在だ。今更何が起きてもおかしくはない。…いざという時はブレイドにメルナを始末するように頼んでいる。」

ゼンはゼンで胎内に妖魔がいると言うのに冷静だね。

「いざという時?」
「ここにいる人間三人が生け贄かもしれない。メルナは妖魔。気を許していい存在ではない。」

そう、メルナは妖魔。
それは覆らない事実だと思う。
でも、メルナは人に害成す妖魔とも思えなかった。
騙されていると言われたらそうなのかもしれないけど。

「ところでナルシャ。」
「うん?」
「この浮気者、って言ってたのはやっぱりブレイドに対して気があるのでは?」

えっ!?
ゼンに言われて気が付いた。
無意識だった。
言ったつもりなんて微塵も無かった。

「う、煩い!」

からかうゼンに怒鳴り、部屋から出ていく。
正直…自分でもよくわからなかった。





お姉ちゃん…騎士ブレイドは紛れもなく帝国の人間のはず。
しかし、グリダニアの街を平然と歩き…その度に女性から黄色い歓声があがる。
見た目は美人だし、それだけでも納得。
でも、それだけじゃない。
頭もいいし、性格もいい。
何でも出来ると言っても過言ではないぐらい器用万能。
その上、ハイデリンの加護を受けた超越者であり、『ブレードダンサー』と謡われるぐらいの実力者。
…私とは違い過ぎていた。
皆の人気者で、好かれていた。
男性からも女性からも告白されてるところだって何度も見たことある。
でも、そんなお姉ちゃんに愛されていたのは私。
お姉ちゃんには劣等感を抱きながらもあのブレイドに愛されていたと言う優越感はあった。
…同時に、お姉ちゃんを慕う子達からは嫌われてたけど。

「風邪引くわよ?」

グリダニアに旧都市にあるアプカル滝をのんびり見ていたら後ろから声をかけられた。
昔から聞き慣れた声。

「…グリダニアは暖かいから大丈夫。」
「そうね。いい国よ。」

お姉ちゃんが私の隣に座る。

「ゼンは?」
「問題無いわ。…とは言え、妖魔の出産なんてことが人間に耐えられるのかが懸念点ね。ゼンの身体自体、赤子の急激な成長に対応出来ているかもわからない状況よ。尤も、メルナは死に行く肉体をも治療する。母体の改造さえお手の物なのかもしれない。」

もうメルナって何でもありな気がしてきた。

「出産には私が立ち合うわ。メルナが敵である可能性は否定出来ないから。」
「襲ってきたら斬る…?」
「そのつもりよ。ゼンとの約束でもある。」
「…無理はしないでね?」
「えぇ。…無理をする必要も無いかもしれないけれども。私はメルナを敵であると思っていないから。ナルシャがそう信じているように。」
「…ありがとう、お姉ちゃん。」

お姉ちゃんは微笑む。
昔からその表情を見る度に安心する。





一週間後。
妖魔メルナはあっさり産まれた。
しかも…。

「その姿って…。」

お姉ちゃんが言うには産まれた時は確かに赤子だった。
でも、あっと言う間に成長し、数時間経った今、目の前にいる全裸の美女は何度も見たことがあるメルナの人間体と全く一緒だった。

「うむ、上手く行ったのじゃ。」

…口調は古臭くなった。
見た目は人間…のように見えて、どこか人間ではなく、人間を超越したような何か…そんな感じがした。

「ゼンは?」
「無事よ。」

ベッドの上で眠っているゼンと介抱しているお姉ちゃん。
出産、だもんねぇ~…。

「ふむ、人の身体というのも悪くない。」
「いいから服着て。」
「そうじゃった。…服、か…。」
「無いじゃん!」

すっかり忘れていた。
簡単にメルナの身体を確認して服を買いに行くことに。





服を買って着替えさせて…メルナと二人っきりでグリダニアの街を散歩することとなった。

「妖魔が日中に堂々と歩いてて大丈夫なの?」
「それは人が判断すること。…しかし、人目が多少気になるところではある。汝、何故だかわかるか?」

人が私と擦れ違う度に皆メルナを見ていた。

「スタイル抜群の美女が歩いていたら見るって。」

胸が大きく、ややミステリアスな雰囲気もある長身の美女。
自由に姿を変えられるとはいえ、羨ましかった。
自分の身体を見る。
同い年の子でももう大きい子は色々と大きい。
私は残念ながら…。

「…いい街じゃ。」
「…うん、いい街だよね。帝国人はグリダニアを田舎と笑うかもしれないけど、私は住むなら田舎がいい。」

不便なところもあるけど、気にならない。

「聞いていいのかわからないけど…異界ヴォイドはどんなところなの?」
「…一言で言えば闇の世界。人にはとても住めぬ世界じゃろう。弱肉強食の世界であり、強き者が支配者となる。」
「暗闇の雲みたいに、だよね?」

メルナは頷く。

「暗闇の雲はヴォイドを統べる魔王の一角、ってことは他にも魔王がいるんだよね?」
「いる。しかし、妾もよく知らぬのじゃよ。支配者同士互いに仲が悪く、故に隙を見せようとはしない。根城がわからぬ者もおる。」
「メルナは違うの?」
「統率力が皆無なのだから。国など妾には無用。」

権力がいらない人なら一人の方が楽なのかもね。

「…寂しくはないの?」
「寂しい、ね…。以前の妾であれば全く思わなかった。しかし、ゼンから始まり様々な人間を見ていしまった今では…。」

メルナはちらっと私を見た。

「失うのは惜しく思う。」
「…そっか。」

何か嬉しかった。
人間を好きだと思う妖魔がいるのは。

「…この世界は…本当に美しい。ヴォイドの同朋が憧れを持つことも納得する。尤も、大半は…食料がたくさんあることに惹かれているのかもしれぬが?」
「食料って人間のことだよね?…メルナも人を喰らうの?」
「妾にも好みがあるのじゃよ。人は不味い。」
「…食べたことがあるから言える言葉だよね、それ…?」

メルナがにやりと笑む。
別に驚かないけど。

「…一つ聞きたい。仮に妾が裏切るとしたら迷い無く妾を斬ることが出来るのか否か。」

メルナの裏切り…考えたくはないけど有り得る話。

「…ゼンとお姉ちゃんなら斬ると思う。私は…出来ない。…何でそんなことを聞くの?」
「妾を斬ることが出来るのであれば、まだ妾を妖魔として見ているからであろう。であれば…妾が敗れた場合であろうとも心の傷になりはしないだろうから。妾が窮地に陥った場合であろうとも躊躇無く見捨てるだろうから。そう、その選択肢を選んで欲しい。」
「それは違う!」

無意識に叫んでしまった。
自分でもびっくり。

「メルナが妖魔だからじゃない。人間だったとしても…斬ると思う。だから…うん、きっと…。」

多分、そう。

「メルナがピンチになったら助けるよ、私達!」
「……。」
「…えっ?ど、どうしたの…?」

無言はちょっぴり困る。

「その様な言葉を言われたことが無い。なる程、嬉しさを感じておるかもしれぬ。…わかった。甘えさせてもらおう。尤もアーファに喰われるわけにはいかぬ。あの光の力はヴォイドには脅威でしかない。」

光を操る妖魔だもんね。
アーファがメルナ…第一位格の力まで手に入れてしまうとヴォイドが崩壊してしまうのかもしれない。
それは多分、私達にも良くないこと。

「…しかし、お主はいい子じゃ。良ければ妾の伴侶にしてやってもよいぞ?」
「えぇっ!?それは…ちょっと…困るかも…。」

と、お姉ちゃんのことが頭に過ぎった。
ゼンではなくお姉ちゃんが。

「わかっておる。お主には想い人がいることは。」
「べ、別にお姉ちゃんはそんな相手じゃ…。」
「やはり本命はブレイドか?」
「!?…お、お姉ちゃんは幼馴染みってだけだから!」
「もう隠さんでも良いと思うが。…今ここにいるのは人ではなく妖魔じゃ。人には話せぬ相談事も可能じゃ。」

見た目は完全に人間なんだけど。

「…正直わからないの。私、お姉ちゃんのことをあまり知らなかったから。もっと小さかった頃から活躍していたことすら知らなかったし、全身傷だらけなのも知らなかった。」
「じゃが、今はもっと知りたくなった?」

頷く。

「でも、お姉ちゃんが凄いのはよくわかったし…好かれてるのも知ったら…何だかね、お姉ちゃんに対してムカつくことも。」
「それは嫉妬?ブレイドは今まで汝のことを見てきたわけじゃが…そんな人が他人の方を向いているのはやはり嫌なものじゃろうから。」
「…そうなのかも。」

お姉ちゃんは私のことだけを見ていて、それが当然…確かにそう思っていたのかもしれない。

「不安であれば何か繋がりを作るのも良いのかもしれぬ。」
「繋がり?」
「何でも良い。安心に足る何か。物でも良いし、唇でも…身体でも良い。」
「えっ!?」
「子供という選択肢もある。」
「そ、そう!待って!大事で大変な問題があるの!私達は女同士なの!」

そう、今更だけど大切な問題。

「アラグはかつてクローン技術を編み出した。であれば、同性間の子を作る技術ぐらいありそうではある。もしくは…汝が編み出すか。」
「わ、私!?」
「妾にもよくわからないが、そもそも恋愛とは性別など些細なものであろう。女性のみで繁殖を行うアナンタ族もおる。人間とアナンタ族…種族の差は大きいのかもしれぬが、妖魔の妾から見れば下らぬことにも思えるのじゃよ。」

何か…メルナが凄い大物に思えてしまった。
妖異十二階位の第一位の一角、『女爵』メルナ。
数千年もの永い時を生きていた存在だったとすれば大物なのは大物なんだけど。

「ブレイドは同性からも人気があったのであろう?中には恋心を抱いていた者もおるのじゃろう。…そもそも、ブレイド自身が汝に恋心を抱いておるのじゃ。案外、珍しいこととも言えぬのではあるまいか?」

言われてみれば…。

「…じゃが、恋も知らぬ妖魔の言葉。的外れかもしれぬ。ゼンもゼンであやつは自分の恋心などなく、他人の色恋沙汰を楽しむ程度。何より戦うことが好きな者じゃ。人間を知る良き機会かと思ったが…相手を間違えた。」
「メルナも残念だったね。」
「そう。だから、ブレイドと上手くいかないのであれば妾が汝を頂こうかと。」
「魅力的な話だと思うけど…。」

…うん。

「メルナじゃお姉ちゃんの魅力に勝てないよ。」

私がそう言うとメルナは微笑み、私の頭を撫でた。





数日後。
メルナも人間の肉体に馴染み、メルナを出産したゼンも復帰した。
妖魔の力か、出産時母体に負担をかけないようにしたみたい。
眼も治り、両手で剣を扱えるようになったゼンはより一層強くなった気がする。
双蛇党も帝国兵も着々と準備を進めていた。
アーファ討伐…その日が近付いているのがわかった。

「お姉ちゃん、調子はどう?」
「問題無いわ。いつでも戦える。」

お姉ちゃんと二人で黒衣森に。
依頼書の妖魔を退治し、戻るところだった。

「ねぇ、お姉ちゃん。」

私が足を止めるとお姉ちゃんも止まり、こっちを向いた。

「どうしたの?」
「…えっと…その…。」
「…もしかして、ナルシャの食べ残しを食べているのが気持ち悪いなんて…?」
「ち、違うよ!それは私が嫌いなのを残してるのが悪いんだし…。」

お姉ちゃんは私が嫌いな食べ物を食べれるようにとちょくちょく料理に入れていたりする。
色んな調理方法で。
ゼンは凄く誉めてたから美味しいんだろうけど、苦手な物はなかなか食べられなかった。

「じゃなくて…えっと、その…。」

いざ伝えようと思うと緊張する。

「あ、あのね、その…お姉ちゃん!」
「う、うん…?」
「…私と…したい?」

聞いてしまった。

「…何を?」
「…えっちなこと…。」

そう言うと、お姉ちゃんは真剣な表情になった。

「何かあったのかしら?ゼンに唆されたの?」
「ち、違うの。ほら、今度の戦いが危険なのはよくわかってる。アーファが有利な異界ヴォイドで戦わないといけないんだし…誰かが命を落とすことになってもおかしなことじゃないことも。だからね…。」
「ナルシャの気遣いは嬉しいわ。でも、それはダメよ。思い出なんかの為に身を捧げるなんて。そういうことは本当に好きな人と…ね?」

拒否されたのがちょっぴり意外だった。
でも、お姉ちゃんのことをまた一つ知れた気がする。

「…私がお姉ちゃんとしたい、と言ったら?」
「えっ…?」
「正直ね、自分でもお姉ちゃんのことをどう思ってるのかわからない。でもね、初めてはお姉ちゃんとでもいい…ううん、お姉ちゃんがいい、と思ってる。」

お姉ちゃんに近付いて…抱き付く。

「ナルシャ…。」

お姉ちゃんは珍しく困った表情をしていた。

「…わかったわ。でも、嫌だと思ったらすぐに言って。」
「うん。」

お姉ちゃんも私を抱き締めてくれた。
暖かい…。





翌朝…ううん、時計を見るともう昼だった。
美味しそうな匂いに釣られて起きる。
…たくさん寝たはずなのに全身がまだだるかった。
でも…。

「凄く気持ち良かった…。」

昨日のお姉ちゃんとの夜のことを思い出す。
自分でするより遥かに気持ち良かった。

「…ナルシャ、起きたか?」

部屋の扉が開く。
現れたのはゼン。

「ちょっ、ちょっと!?」

私はまだ全裸で、慌てて隠す。

「…ブレイドが昼食作った。身体洗ってすぐ来ないと無くなるぞ。」
「う、うん!…えへへ。」
「笑みが気持ち悪い。」
「う、煩い!」

ゼンは笑いながら扉を閉めた。
お姉ちゃん、昼食作ったって…元気だね。





ゼンの部屋に並べられた料理。

「あら、おはよう。」
「お、おはよう…。」

お姉ちゃんに声をかけられたけど…何か恥ずかしかった。
ゼンとメルナは私達を見て何とも言えない笑みを浮かべていた。

「揃ったことだし…話したいことがある。食べながらでいいから聞いてくれ。」
「どうかしたの?」
「昨晩、アーファの光を受けたとされる妖魔を発見し、撃破した。その妖魔のヴォイドゲートを簡易調査したところ、アーファの気配を感じたらしい。現在、ヴォイドゲートは封印と確保を同時に行った状態でまだ存在している。」
「つまり、いつでもアーファと戦えるってこと?」

ゼンは頷いた。

「双蛇党、帝国軍共に突撃する準備は整いつつある。二人も準備をしておいてくれ。」
「わかったわ。」

準備、か…。
機械の手入れでも…あっ!
私に出来ることがもう一つあるのかもしれない。





昼食を終えた後、私はお姉ちゃんの四本のガンブレードを見ていた。

「…凄い…。」

四本あるのに一本一本がまさに業物だった。
軍団長が使っていてもおかしくはないものだと思う。

「ガンブレードなんか眺めてどうしたの?」
「…お姉ちゃん、私が整備してあげる。…ついでに、改造してみてもいい?」

匠が作ったであろうガンブレード。
でも…わからないけど、何かが足りない気がした。

「えぇ、お願いするわ。」

お姉ちゃんは即答だった。

「う、うん!頑張るね!」

私だってただエオルゼアでのんびりしていたわけじゃない。
帝国の技術力とエオルゼアの技術力…そして、マーケットに流れている豊富な金属を組み合わせれば…。





面白いぐらい頭の中に設計図が頭の中に浮かび、無我夢中で武器を作った。
完成された匠のデザイン…でも、それがお姉ちゃんに合っているとも限らない。
デザインを踏襲しつつもお姉ちゃん専用にアレンジする。
帝国には無かった金属を用いるとかなり軽量化となり、頑丈になった。
銃の部分も改良し、弾速と精密性、連射速度が上昇…したと思う。
飽くまでも推測に過ぎなかった。

「恐ろしい性能ね。」
「恐ろしいのはお姉ちゃんなんだけど…。」

試験結果。
お姉ちゃんの周囲にあった十体の木人は全て無残な姿になっていた。
性能は上がっていたみたい。

「ナルシャ、この武器の名は何かしら?」
「えっ、名前?」

想定外の質問だった。
名前、か…。

「…かつて、ネール様…いえ、ユーラ様と言うべきかもしれないわね。ユーラ様はかつて、亡くなった兄ネール様の名を用い、そしてガンハルバードにはネール様の後を追った兄の婚約者であるブラダマンテ様の名を刻んだわ。ユーラ様は御二方をとても慕っていたのかもしれない。そして、二人の名を身に纏い、復讐を果たしたわ。名は意志を、想いを揺るぎない程に強固とするものなのかもしれない。」

軍団長の一人であるネールの名は私も知っている。
亡くなったことも。

「この武器にあなたの名を付けてもいいかしら?愛するあなたを護り続ける為に。そして、あなたの元に必ず帰る為に。」
「お姉ちゃん…。」

私、ナルシャが作った武器、ナルシャ。

「うん、いいよ。ナルシャをお姉ちゃんに授けるね。」
「ありがとう。」

お姉ちゃんは私を抱き締めた。
きっと大丈夫。
この剣は…私の分身はお姉ちゃんを護ってくれる。





『少女と嫉妬心』・終わり






後書き

何なのでしょうかね、この回…。
日常回、と言うよりは準備回ではあったのですけれどもね。



メルナ(人間体)

様々な人間の遺伝子データを用いてメルナが自分で作り上げた身体。
身体能力が人間離れしており妖魔でもある為、半妖とも言える。



ナルシャ

四対のガンブレードであり、四本使うこと及び女性であるブレイドが使うことを前提に改良されている。
匠の技術を生かしつつナルシャの技術が加わったことにより凄まじい性能を誇る。
ただし、ブレイド以外が使うとかなり使いにくいらしい。
また、カスタマイズによる拡張機能の可能性も残している設計となっている。