『魔法教師の放課後』。 | 趣味部屋

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放課後。

一日の授業が終わり、生徒達は部活に。

中には帰宅する者もいる。

昼間も賑やかなこの学園は放課後になっても変わらない。

活気溢れる学園としても有名で、そんな雰囲気が好きでもある。


生徒のはしゃぐ声を遠くに聞きつつ…私は一人、作業を行っている。

この部屋は私の為にわざわざ作ってもらった部屋であり、他の者の立ち入りは許していない。

そもそも、この部屋には窓はあっても扉は無いのだけれど。


一人でいるには広いかもしれないけれど、所狭しと様々な物が置かれている。

中には危険な物体も存在する為、この部屋は出入り禁止ではなく、出入り不可となっている。

本当に危険、正体不明の存在は学園内の魔法大倉庫の中。

そこも当然のことながら私の管轄下。


「……。」


私が見ているのは学園対抗の魔導部大会の資料。

重要な部分を確認している。

他の学園の魔導部と試合を行うのだけれど…今回の大会の内容は正確さを競うもの。

瞬時に最善のテクニックを選択し、いかに標的に命中させることが出来るか…なのだけれど、簡単なようで結構大変。

あの子達に出来るかしら?


基本的に私の部活は自由に活動させている。

毎日練習内容を伝えてはいるけれど、その量も大したことはなく、すぐに終わってしまう程度。

自分で考え、自分で身に付けるのも実力の一つだと思っている。

勿論、わからないことがあれば答えるけれど、それは自ら考えた者にだけ。

自分で考えることもしなければ身に付くことも無いのだから。


大会なども勝ち負け関係無く楽しんでもらえればいい…そうは思っていても、折角なら勝たせてあげたい気持ちもある。

生徒がそれを望むのであれば、私は全力でそれを支えるのみ。


…本来であれば、今も部活の時間の最中。

生徒達は魔法館の中で部活をしている…はず。

魔法館は学園内で唯一魔法の使用を許している場所。

私の許可があれば、なのだけれど…許可は出さないことが多い。

以前は誰でも利用出来る場所だったのだけれど、過去に生徒達が遊びで魔法館を火事にしそうになったことがあった。

それ以来、魔法館は授業か部活の時にしか使用許可を出していない。

つまり、私に関わっている時ではないと開放していないことになる。


私が顧問を務める魔導部なのだけれど…私は見ていないけれど、コウマズリ達が生徒の相手をしてくれている。

今日はコウマズリが使用したデバンド、ザルアに対する対策の練習。

他のテクニックに混ざって時々使用されるその二つの魔法にいかに素早く対処出来るか…そういう練習。

…それももう既に終わっているでしょうけれどね。


練習が終われば、後は自由に魔法練習。

コウマズリ達も生徒達の組み手相手になっている。

私に仕えているコウマズリは普通とはちょっと違って結構強い。


ちなみに、私が部活に顔を出さないのは単純な理由。

生徒達と一緒になって遊んでしまい、部活にならないから。


「…不審者、ですね…。」


不審な気配を感じ、手を止めて資料を置く。

直後、遠くからは小さく聞こえた悲鳴が。


「アイン、いますか?」


私以外に誰もいない部屋で呼びかける。


『ここに。』


声ではない声を聞き、一体のコウマズリが現れる。

コウマズリは人語を話すことが出来ない。

よって、テレパシーによって私や生徒との会話を成立させている。

尚、フォースではないと聞き取れないらしい。


「何か異変が起こったようですね。」

『はい。…生徒一人を人質に閉じ籠った男がいるようです。』

「情報が早くて助かります。」


人質がいるのであれば、例え強者揃いのこの学園の教師陣でも迂闊に手出しは出来ないはず。

生徒は学園の宝。

大怪我をさせることさえ許されないこと。


それにしても、この学園に忍び込むなんて変わった人間もいるようで。

何の利点があるのかしら?


「ツヴァイとドライは何をしています?」

『生徒達の相手をしています。生徒達の避難をさせますか?』

「いえ、その必要はありませんわ。」


眼鏡を外して机に置く。

そして立ち上がり、コウマズリ…アインに近付く。


「私が動けばすぐに終わる話です。行きましょう。」

『了解。』


コウマズリの魔術による瞬間移動。

この部屋の出入りは主にこれで行われる。

その魔術によって私達は光に包まれ、姿を消す。






瞬間移動…故に一瞬。

こればかりは私も出来ない。

コウマズリを研究して一般的に使えるテクニックを生み出そうとも考えてはいるけれど…。


到着したこの場所は科学実験室。

私も魔科学の授業で時々使用させてもらっている。


部屋の中心には男と、泣きじゃくる女子生徒。

背後にいる私の気配には気付いていないようね。


「あなたは糀谷先生を呼んできてください。」


糀谷先生は保健医。

後々必要になる御方だから。


私の言葉に従い、アインは姿を消す。

同時に男も私に気が付き、慌ててこちらに振り返る。


「な、何者だ、貴様!?一体どこから…!?」


慌てふためく男。

その男が持つ拳銃の銃口が泣きじゃくっている女子生徒の頭に突き付けられている。

様子から見て…彼女を落ち着かせることは無理と判断。

状況が状況だもの、これは仕方が無いことね。


「定番ですからね、これだけは聞いておきましょう。何が目的ですか?」

「…話が早そうだ。金だ!金を持ってこい!それと足もだ!」


金と逃走用の車…ね。

…下らない…。


「そう怒鳴らないでください。一つ、面白い物を見せてあげますね。」


一本のロッドを取り出す。

光のサイコウォンド。

存在を知らない者が見てもロッド…つまり、武器であることは一目瞭然だと思う。


「き、貴様!余計なことするとこの女の頭に風穴が開くぞ!いいのか!?」

「安心してください。争いごとはお互いの為になりませんもの。」


ロッドに力を込める。

その力に反応するかのようにロッドは光に包まれ、光は形を変えていく。

人の形に。

そして、光の中から現れたのは一人の少女。

他人から見れば弱々しい印象の少女に見えると思う。


「…!?」


驚く男。

武器が人に変化すれば、初めて見た時のその反応は当然のこと。


「可愛らしいでしょう?」

「そ、それが一体何だと言…ぅ…。」


男と女子生徒の身体が崩れるように倒れる。

そう、これで終わり。


この子に注目させたのは発動条件を満たす為。

注目させれば目が合う。

光属性の彼女の目を見れば途端に眠気に襲われる。


本当に眠らせたかった対象は女子生徒の方。

銃口を頭に突き付けられ、死に直面している恐怖から少しでも早く助けてあげたかったから。

そして、男が眠らなかった場合の時用に予備に考えていた荒っぽい手を見てもらいたくなかったから。

男の方は飽くまでもついで。


「聞こえていないでしょうけれど教えてあげます。…魔女の言葉に耳を傾けてはいけない、と。」


この学園の生徒を脅かしたのだもの、多少荒っぽいしてでも許すつもりも無い。

…でも、しっかりと眠ってくれたので無駄な力を使わずに済んだのだけれど。


「ありがとうございます。助かりました。」


愛用の武器に礼を言う。

サイコウォンドは笑顔で一礼し、元の姿に戻った。

それを仕舞ったところで再び現れたアイン。


『案の定、終わっていましたか。糀谷先生はすぐにこちらに向かうとのことです。』

「お遣い、ありがとうございます。…私達の役目はここまでですね。」


女子生徒の心のケアはその手の専門家に任せるしかない。

アインと共に、私は元の部屋へと戻る。

願わくば、彼女の心に傷が付いていないといいのだけれど…。




…警備員は減給かしらね?






『魔法教師の放課後』・終わり






…何でしょう、これ?(^_^;)

適当に思い付いたまま書きましたが…糀谷さんしか出ていないという…(笑)


と言うのもですね、私は基本的に他人のキャラの口調などにこだわってしまう質でして、完全に再現出来ない限りは使用しないのですよね…。

なので、2次創作は苦手としております。


取り敢えず、謎が多いらしく、半ばネタキャラと化しているKeizの一面を楽しんでもらえたら、って感じですね~。


一応、生徒や学園に何か危害があったりすると容赦が無くなることを前提に書いてみました。

なお、教師が襲われた場合は自分でどうにかするでしょう、という考えでほぼ無視(笑)


あとですね、サイ子出現と眼鏡を取ったら本気、ってシーンを書きたかっただけ、と言うのもありますけれどね(笑)

えぇ、完全に趣味全開ですね(^_^;)


コウマズリは本来壁貫通テレポは出来ないのですが、今回は演出上そうなっています。

また、設定上…と言うより私の性格上、悪者が相手でも悪口を言ったり、口が悪くなったりはしません。

言ったとしても…「少しぐらい痛い目に遭ってもらいましょう。」ぐらいですかね?(^_^;)




ちなみに、おまけシーン。

所謂…没(笑)


どこかの戦闘中。

多分、原生生物が攻め込んできたって設定?




「前方へサ・バータ。」


女性の命に従い、三体のコウマズリは一斉に氷のテクニックを放つ。

吹雪が前方にいた多くの原生生物を凍らせ、大きな氷の塊を作り上げた。


「ラ・フォイエ。」


続け様に女性がロッドを振るう。

凍らされた原生生物の中心で起こる大爆発。

氷諸共燃やし尽くす。

テクニックで作り上げられた氷をも一瞬で昇華させる炎。

受ければひとたまりもないだろう。


「アイン、後方へダム・バータ。ツヴァイ、左前方にラ・バータ。ドライ、右方の怪我をしている生徒達にレスタ。」


状況を判断し、命令する。

それも瞬時に。

学園中に数え切れぬ原生生物が溢れる中、彼女達の周囲の原生生物はほぼ全滅している。


「…数が多いですね。ここはどうにかなるとしても他がどうなるかがわかりません。」


コウマズリが残りを倒したのを見、更に周囲にいないかを確認する。

彼女の目に見える範囲ではもう存在していない。

それがわかった生徒達も戦い疲れたのか、気が抜けてその場に座り込む者が続出する。

しかし、いつまたここが襲われるかはわからない。


「…仕方がありません。多くの生徒を助け出す為にはこれしかありませんね。」


七色七本のサイコウォンドを取り出す。

同時に、その七本は人型へと姿を変える。


「アインは敵殲滅。ツヴァイは情報収集。ドライは生徒達を安全な場所へ。あなた達は生徒の保護、回復を行ってください。」

『しかし、あなたは…。』

「私を誰だと思っているのですか?」


女性の右手には命を刈り取る両剣鎌、クロノスケィス…そして、左手には守護両剣、エンシェントクォーツを出現させる。

両剣は普通両手で扱うもの。

それを彼女は一本ずつ片手で持っている。


『失礼いたしました、我等が主。』

「では、頼みます。」

『了解。』


一斉に散る十名。


「(強き力は戦いを終わらせることが出来る。けれども、より多くの者を救うには数が必要。生徒を護る為なら、私は…。)」


自らの力よりも数を選んだ女性…Keiz。

魔法を得意とするフォースである彼女だが、愛用のロッドが無ければ充分な実力は出すことが出来ない。

それでも余裕があるのか、彼女の表情には全く焦りは見えない。

運良くこの学園には強き者がたくさんいる。

殲滅はそちらに任せたのだろう。

同時に信頼もしているのかもしれない。

だからこそ彼女は両剣を構え、更に生徒を救出すべく走り出す。




おまけ・終わり。


何故か学園中が大参事(笑)

実は、最初は香奈小説を色々と入れておりまして、そちらの設定はほぼ削りました。

コラボでも良かったのですが…それは今度にしようと。


…書き終えて思ったのですが、十名も従えているってかなり凄いですね(^_^;)

ちょっとした小部隊です(笑)

フォース×11の部隊って…ある意味恐ろしいですけれどね~。