令和5年2月22日午前10時から、交野市議会で、約1時間10分にわたり、令和5年度の施政方針演説を実施しました。これまで交野市は、20年間にわたり、財政健全化のために緊縮財政を実施して参りました。一方で、近年は、そうした緊縮財政の中であるにもかかわらず、黒田実前交野市長の下で、頓挫したものの、市役所移転等のハコモノ行政が展開されようとしておりました。

  令和5年1月9日、交野市では二十歳の集いが開催されましたが、そこで集った若者が生まれた時から今に至るまで、交野市は緊縮財政を続けております。さらに、今後も27年間にあたる令和31年度までは、一定、土地開発公社の負担が続くというのはあまりにも理不尽です。そのため、「財政が厳しい」、「お金がない」と言い訳をするのではなく、知恵を絞って年2億円以上の財源を捻出することにいたしました。そして、捻出した財源については、交野市民の皆様のために使うことを考えており、市長自らムダを削ってお金を稼ぎ、交野市民の皆様には実のある改革を実現します。

 

1.財源確保

①借入金利の引下による財源確保

 平成28年9月21日から日本銀行は、当座預金の政策金利残高の金利を0%から-0.1%に変更し、今も短期金利はマイナス金利です。一方で、令和4年12月20日から日本銀行が10年国債の金利の変動幅を±0.25%から±0.5%に緩和したため、10年国債の金利は0.5%程度です。しかしながら、年限が10年を超える超長期国債ともなると金利が1.4%を超えるものもあります。

  令和5年度、交野市は、臨時財政対策債を除く約34億円を約1%の金利で借入する予定です。しかしながら、短期金利をベースに借入することにより、約0.3%まで金利を圧縮できます。令和5年度でも約2380万円の財源を確保でき、令和6年度で倍の約4760万円の財源を確保できます。

②基金の運用による財源確保 交野市は、令和3年度末の土地開発公社の保有残高が約61億円、土地開発公社関係の起債の残高が第三セクター等改革推進債の残額3億円を含めて約78億円です。すなわち、土地開発公社がらみの負債は合計139億円です。一方で、普通会計で約74億5889万円、特別会計を含めて約92億4947万円、の基金(貯金)があり、水道事業や下水道事業をあわせると約118億7470万円の残高があります。一方で、0.02%の定期預金で運用しております。10年国債の金利は0.5%程度ですが、地方債の金利は0.8%です。また、年限が10年を超える超長期国債ともなると金利が1.4%を超えるものもあります。超長期国債や長期地方債等を購入することで、元本保証付で、令和6年度には、年9000万円の財源確保を目指します。また、レポ取引や現先取引も実施することで、効率的な資金調達をしつつも、さらなる財源確保を実現します。※国債や地方債の売買手数料やレポ取引や現先取引の資金調達は無料

③都市計画税の公平性確保による財源確保 交野市において、現状、市街化調整区域の場合、税率0.3%の都市計画税が課税されておりません。しかしながら、市街化調整区域であっても、一定市街地形成されたエリアについては、今後の道路や公園等の公共施設の維持管理に多額の費用がかかります。大阪維新の会からも過去の一般質問で指摘を受けていることから、市街化区域との税の公平性を確保する必要があります。そのため、令和6年度からの都市計画税の課税にむけて、令和5年度中に必要な手続きを進めて参ります。なお、大阪府下では、島本町が下水道を敷設している市街化調整区域に税率0.3%の都市計画税を課税しており、河内長野市が地区計画の提案制度で形成された市街化調整区域に税率0.3%の都市計画税を課税しております。都市計画税は、目的税ではありますが、今後も一定市街地形成されるエリアも含めて年約4000万円の財源確保を目指します。

④未使用の財源の調査による財源確保

財源確保について、調査している中で、過去に実施した給食センター民営化により削減された費用のうち、年約2000万円を使用していないことが明らかになりました。また、駐輪場指定管理者を公募することにより削減された費用のうち、年約1600万円を使用していないことが明らかになりました。合計年約3600万円を使用していないことが明らかになりましたので、財源として確保いたしました。

⑤使用料や広告宣伝による財源確保

交野市内の小学生から、公園への自動販売機の設置の要望を受けました。他にも調査しましたところ、自動販売機のニーズがあると確認が取れましたので、交野市内の都市公園30か所で一斉に自動販売機の公募を実施しました。他にも広告掲載による財源確保も考えられますことから、交野市役所の封筒、公共施設への広告掲載、等、様々な可能性を検討して参ります。

 

2.重点施策

①便利な交野コミュニティーバス

令和4年10月22日から、藤が尾、妙見坂、妙見東、南星台、については、星田駅やフレンドタウンに京阪バスで行けるようになり、便利になりました。今後の他の地域の利便性向上のためには、京阪バスや国土交通省を含めた協議の場が必要です。そのため、道路運送法に基づく「地域公共交通会議」を設置します。ただし、その間、交野市民の皆様にご迷惑をおかけしないよう次の対策をします。

 交通系ICカード等運賃補助を年2300円から年4600円へ倍増 

 妊婦へのタクシー運賃補助を年14枚7000円から年20枚10000円へ増額  

 寺・神宮寺地区を通っていた巡回バスを東倉治地区まで延伸して東倉治にバス停を2か所増設

②市役所は移転せず耐震化

交野市役所別館は耐震工事済ですが、交野市役所本館は耐震性がありません。交野市役所へお越しの交野市民の皆様や職員等の安全性の確保が喫緊の課題です。耐震工事に係る費用を削減するため、耐震工事に伴う仮設庁舎機能はできるだけ既存の建物を有効活用します。あわせて、屋上防水、外壁補修、空調機器の更新といった、ある一定の長寿命化改修等も視野に入れた整備も実施します。また、青年の家へのエレベーター設置について、設置可能性調査を実施したところ、屋内の自動販売機付近に設置可能でした。今後、エレベーター設置を進めて参ります。

③水道料金の13%値上げ凍結

食品やエネルギーを中心とする物価高騰の中、水道料金の値上げはタイミングとして適切ではないと考え、公約どおり、水道料金13%値上げ凍結を実施しました。しかしながら、市長に就任後、水道料金を一定値上げし、水道の供給単価が水道の給水原価を上回った上で、基幹管路等の更新等を実施することにより、更新費用の3分の1の国庫補助金(年間数億円)を受けることが可能であると判明いたしました。そうなってくると、まずは、値上げをすることが、結果として、将来的な交野市民の皆様の負担を軽減することにつながります。そのため、国庫補助金と直近の電気料金の状況等を組込んだシミュレーションを作成のうえ、値上げに対しての激変緩和措置の実施も含めて、今後、経営審議会を開催し、事業経営の望ましいあり方を改めて、検討してもらうべきだと判断いたしました。経営審議会につきましては、時期を調整しつつ開催し、諮問いたします。なお、水道事業経営の改善のため、資金調達は短期金利をベースに調達することで金利負担を軽減し、資金運用は超長期で実施して収益を稼ぎます。また、乙辺浄化センターの更新時には、水道水を利用することで、年約5000万円の水道事業の改善を目指します。

④財政健全化

土地開発公社の令和3年度末の保有残高は約61億円でしたが、令和4年9月に、早速、土地開発公社における借入金利を0.145%に引下げてこれ以上保有残高がほぼ増えないようにしました。また、土地開発公社の土地を買戻し、令和4年度末の保有残高は約53億円に減少しました。令和5年度からもう7年間の令和11年度には、土地開発公社を清算します。  令和4年度に土地開発公社から買戻した星田山手4丁目の土地、令和4年度と令和5年度に2年かけて土地開発公社から買戻したないしは買戻す予定の私市4丁目の土地、未だ売却できていない郡津3丁目の市営住宅跡地、私部西3丁目の旧堤とう敷、を売却します。また、可能であるならば、森南の市営住宅の売却にチャレンジいたします。

 巨額の四交クリーンセンター(ごみ焼却場)の建設に係る借金は、令和5年度から令和11年度までに年間4億1000万円、令和12年度で2億7000万円、令和13年度で2億5000万円、令和14年度で2億1600万円、返済して完済します。

 

3.その他施策

①おりひめ出産・子育て応援事業 身近で相談に応じ、出産・育児等の見通しを立てるための面談等を行う伴走型相談支援を実施します。また、妊娠時及び出産後に合計10万円分の出産・子育て応援ギフトを支給します。

②放課後児童会の民間委託の再考と改善 放課後の子どもたちの居場所である放課後児童会につきましては、民間委託するとむしろ費用が高くなることから、指導員確保のための処遇改善や主任制度の導入を優先的に進めます。また、利用者の利便性の向上を図るため、ICTの活用を実施します。あわせて、星田小学校や倉治小学校の児童会については、新たな施設の確保を進めます。

③学校トイレの改善

交野市立小中学校のトイレ清掃は、今年度も民間事業者に委託します。また、まずは中学校の全トイレを大規模改修すべく、その設計を開始します。

④中学校給食無償化

受験等で特に家計に負担がかかる中学校3年生の給食費を無償化することで、保護者を支援して参ります。令和5年度中には、中学校全学年での給食無償化を開始します。とりわけ、中学校給食は、北河内7市でも枚方市と守口市が未だ選択制であり、選択制の市での中学校給食無償化は困難です。中学校給食無償化は、他市との差別化につながり、極めてインパクトがあります。

⑤全小学校での公費での見守りスタート

現在交野みらい小学校において通学路の危険個所に配置している交通誘導員について、旧交野小学校の多くの児童が岩船小学校に通学している現状を踏まえ、岩船小学校側にも交通誘導員を配置します。また、その他の小学校においても公平性の観点からまずは1か所ずつ配置します。今後、さらにその対象の拡大を目指します。

⑥重症心身障がい児支援事業所の開設促進

交野市に不足している重症心身障がい児支援事業所の開設促進のための補助制度を創設することにより、サービス提供体制を整備いたします。

⑦医療的ケア児等コーディネーターを配置

医療的ケアを必要とする医療的ケア児等に対して、地域において必要な支援を受けながら、安心して生活し続けることができるよう、医療的ケア児等コーディネーターを配置します。

⑧補聴器等購入費の一部助成制度を創設

効果的な介護予防事業を推進するため、加齢性難聴の方が補聴器等を購入する場合、購入費の一部を助成する制度を創設します。

⑨ワンコイン・無償健診スタート

がん検診や特定健診等の市民健(検)診について、自己負担金のワンコイン化や無償化(国民健康保険加入者)により交野市民の皆様の負担を軽減するとともに、適切な広報・勧奨により受診率の向上に取組み、疾病の早期発見・早期治療を図って参ります。

⑩骨髄バンクドナー助成制度スタート

白血病等の治療法の一つである骨髄等の移植を促進するため、骨髄等を提供される方に、提供時の入院等に伴う経済的負担を軽減するための助成制度を創設します。

⑪野球場の設備改善

私部公園内に設置する照明灯についてLED化を実施いたします。また、倉治公園は、長年の課題であった防球ネットを高規格化し、ボールがネットを超えないようにして、実質的に野球場が交野市に1つしかない状況の改善を目指します。

⑫防災減災対策の強化

国の避難情報改定や、土砂災害・浸水エリアの更新等の、最新の防災情報を盛り込んだ「総合防災マップ」の改定を行い、生駒断層帯も明示して全戸配布します。指定避難所等に、停電時にも利用可能な可搬型蓄電池に加え、新たにLPガス方式の発電機を導入します。防災行政無線が聞こえにくい地域やSNSによる防災情報受信が困難な方のため、固定電話やFAXに避難情報を通知するサービスを実施し、星田北エリア地区に防災行政無線の子機設備を新設します。星田エリアの急傾斜地対策工事とため池埋立で、事業者の募集・公募要領を作成し、事業者の選定を行います。

⑬防犯カメラを増設

106台設置されている防犯カメラについて、令和5年3月に124台に増設しました。また、警察や教育委員会等と連携・協議の上、144台まで増設します。

⑭防犯灯電気代をほぼ全額補助

地域の防犯灯の費用は、現在、半額を補助しています。しかし、自治会費加入者は負担しなくていいというのは不公平ですし、また、自治会の負担が大きいことから、補助率の大幅な拡大を行います。

⑮星田エリアでの防災防犯対策の強化

星田エリアは、人口面積とも交野市の約3分の1ですが、乙辺浄化センター、あさひ認定こども園、星田西体育施設、や学校施設しか公共施設がありません。そうした中、旧星田出張所の土地売却には、星田の消防団車庫の移転が必要です。そのため、約70%を国が地方交付税交付金で負担してくれる緊急防災減債対策事業債の活用を前提とした備蓄倉庫機能も含めた消防団車庫の移転を進めようとしています。また、星田駅前への星田交番移転について、移転候補地の確保までしましたが、大阪府警から、今後20年間の移転は困難であるとの回答を頂戴しております。しかしながら、断念するわけには参りませんので、交野市として、より、踏込んだ対応ができないか検討して参ります。

⑯公園等整備事業の実施

天野川緑地で、唯一トイレの水洗化を実施できていなかった藤が尾のトイレを水洗化し、近傍の四阿(あずまや)を再建築します。星田山手南公園について、イノシシの被害への対策として、獣害対策の工事を実施します。天野が原町1丁目の草川の緑道が経年劣化していることから、修繕工事を実施します。幾野の今池埋立地の一部は、今後、公園整備に向けた設計業務を実施します。また、地方交付税交付金を活用した会館整備等にもチャレンジします。私市2丁目の川辺ちびっこ広場については、フェンス未設置個所への設置工事を実施します。

⑰太陽光パネルの設置

ZOZOタウン創業者の前澤様が総額5億円の再生可能エネルギーをテーマとするふるさと納税の提案を募集していました。そのため、交野市長として、公共施設への太陽光パネル設置で提案いたしましたところ、500万円の寄付を頂戴いたしました。寄付の趣旨に則り、全額使い切るよう入札を工夫して、給食センターに太陽光パネルを設置して給食無償化の一助といたします。