アリスとテレスのまぼろし工場 | 若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

一昨日の夜、全ての仕事を終えて映画のレイトショーを見に出かけました。



  アリスとテレスのまぼろし工場

製鉄業で潤う地方都市、見伏市。
この町に住むマサムネは、友人ら合計4人で部屋に居た。突然夜空が明るくなる。
窓から見ると、製鉄所が大爆発していた。そして空に、まるでガラスが割れるように幾つもの罅(ヒビ)が入った。
爆発の煙が、龍のような、狼のような姿に変化し、その罅を埋めていくのを呆然と見るマサムネたち。
爆発の影響で、町から外へ出る道は全て塞がり、そして何故か時の流れも止まってしまった。
季節は冬のまゝ、マサムネら子どもは子どものまゝ、年寄りは年老いたまゝそれ以上年は取らない。そして身重の女性もそのまゝ、赤子はいつまでも生まれない。

山を神として崇める一方、その山を切り崩して鉄を採るという矛盾した行為が神の怒りを買ったのだと、神社の男が云う。
いつか世界が元の形に戻った時、以前の自分と変化していると不具合が生まれるから、などと変化、進歩を拒む住民たち。住所氏名はおろか趣味趣向髪型までも書き込む「自分確認票」の提出を義務化した。
(しかし何故か、中学生から免許取って自動車の運転出来るようになると、この部分だけ変化が許されている)

マサムネは、嫌いな子として例の確認票に書いた、同じクラスのムツミに立入禁止の製鉄所内へ誘われる。
そこには一人の少女が。元気に走り回りガサツに食べ言葉も知らぬ少女に、まるでオオカミと印象をもらすマサムネ。
ムツミは先ほどの見伏神社の男、サガミの妻の連れ子だった。
一切の時が止まったこの町にあって唯一、成長している少女。特別な存在、変化は神の怒りを買うとして、サガミの手によって人知れず幽閉されていた。
ムツミはその子の世話をしており、マサムネに交代で世話をと頼む。


別な映画の公開時期を調べようと検索していて偶然見た、このアニメの予告編。
以前にテレビ放送で見てとても印象に残っている「さよならの朝に約束の花をかざろう」のスタッフが再集結したとあり、これは見たい!とすぐに思いました。


ムツミに何処か似ている少女にイツミと名づけるマサムネ。そんなマサムネはやがてムツミに恋心のようなものを感じる。
しかしそんなマサムネに「好き」と想いを伝えたクラスメートのユウコは、「変化」したからか、煙のオオカミに飲まれて消えてしまった。

この世界の仕組みを知ったマサムネら子どもたちは、ある決断をするのだった。
 

 

興行成績はあまりよくないとありますが、良作でした。
ラストシーンでイツミにムツミが云い放った言葉が忘れられない。

次は、本当はこちらを見る予定だった作品を見に、また出かけようかと思います。