丹後国一ノ宮 籠神社






◆ 丹後の原像
【80.古代海部氏の系図 ~1】







「丹後叢書」の現代語訳に飽きてきたわけでもないですが…

一時中断します。

そして新しい題材「古代海部氏の系図」をしばらくは綴っていくことにします。

詳細は本文にて。



■ はじめに

本来は数年後に予定していた課題を、方針転換して今から始めることとします。

私のライフワークとしている古代史探索は、アメブロを開始した際に「敬神活動」として、
◎1~10年 … 参拝活動を主とする
◎11年目以降 … 机上の探索を主とする
このように決めていました。そして6年目に突入。

ところが自身の体調面等から、やむなく参拝活動を少し抑える必要性が出てきました。
その分、机上での探索を増やすことにします。

その取り掛かりとして、「阿蘇ピンク石」製石棺の謎に迫ることを行ってきましたが、間もなく閉幕。第2段として活動の主を丹後の海部氏に迫る探索へと移します。

そもそもの「敬神活動」の最終目標は、丹後の「豊受大神」の本質を明らかにすること。
自身にとって至高神とする「豊受大神」への理解を深めることにより、より一層、畏敬致すこと。

ほとんど無関係とも思われる日頃の活動も、これらから得たものを集積させることで骨太なものが築き上げられると信じてきました。

少しばかり方針転換を行うことで、やや近道を選択しようかと。「丹後叢書」については、こちらがひと段落してから再開させる予定です。




■ 序

写真に掲げた書をテキスト代わりに用います。
購入したのは15年ほど前だったと思います。

古代「海部氏(アマベノウジ)」の系図など、変化することもなければ、色褪せることもない。
故海部穀定氏・故光彦氏により、他者が取り入る隙など無きほどに既に研究され尽くされたと思います。また遺跡等の新たな発見等があっても大筋に影響はありません。

昔のものを取り出してきたからとは言っても、何ら問題なく大いに活用できるものと思います。

わずか15年の間に変わったことと言えば、海部光彦氏が御逝去になられたこと。著者である金久与一氏はご存命なら御年百一歳?まだお元気でいらっしゃるのでしょうか。



■ 著書の概略

古代「海部氏」を取り上げた数ある著の中で、なぜこちらを入手することになったのかと言えば…

手に取りパラパラと捲ると、海部光彦氏と親しくなされていたのか、氏から直接に系図の原文や書き下し文を拝領されるなど、氏が信頼のおける人物として捉えておられたのであろうことが窺えたのです。

さほど著名な研究者ではないものの、「海部氏」の系図、籠神社の歴史について光彦氏から一定の評価を得られていたのだろうと思います。何せこのテーマについて著された書の中では、最も知られたもの。

なるべく著者の個人的推量に左右されず、ちょうど良いとなったわけです。



■ 古代海部氏の系図とは

大伴氏やら久米氏、紀伊国造家…最近の記事は系図まみれになっておりますが(笑)
いずれも日本の古代を彩ってきた氏族ばかり。ましてや海部氏などともなると…それはそれはもう…恐れ多くて。

丹後国一ノ宮 籠神社の宮司家は「海部氏(アマベノウジ)」といい、神代の時代の彦火明命(ヒコホアカリノミコト)から続く直系子孫。

その「海部氏」が、代々極秘伝として世に出さずに保護管理を続けてきた系図があります。これが昭和五十一年に「国宝」指定。翌年に地元文化財関係者のみに公開(「本系図」のみ)。そして平成四年に初めて「勘注系図」全文が世に公開されました。

この間の昭和六十二年には、籠神社の神殿奥に秘されてきた伝世鏡二面「息津鏡(おきつかがみ)」「辺津鏡(へつかがみ)」も公表されました。
*「息津鏡」 … 後漢時代のもの
*「辺津鏡」 … 前漢時代のもの

およそ二千年前という大変な代物。
ま…ドえらいものが世に出されました。まだ古代史をかじり始めていなかったワタシなんぞは、ただただ驚くのみで、まったく消化しきれなかったのを覚えています。

この伝世鏡が海部氏系図の信憑性を高めた原因の一つとなりました。

話を系図に戻します。
いわゆる「古代海部氏系図」というのは2種類からなります。

*「籠名神社祝部氏系図」 … 略称「本系図」
*「籠名神宮祝部丹波国造海部直等氏之本紀」 … 略称「勘注系図」

*「本系図」
始祖 彦火明命から三十二世孫までの当主名と在位年月を、縦一本の線で連ねた縦系図。それぞれに「丹後國印」の朱印が押印されている。

*「勘注系図」
始祖 彦火明命から三十三世孫までの当主、その兄弟姉妹にも言及。かつ詳しい注記が附されたもの。

つまり当主だけをずらっと並べたシンプルな縦系図が「本系図」。それを補完するものとして兄弟姉妹や注記を加えたものが「勘注系図」ということです。


「本系図」巻頭 *画像はWikiより



■ 著書について

著者は金久与市氏。この書以外にググっても出てきませんが、この書は「海部氏」系図のバイブル的なものとなっています。




今回はここまで。

序章的なものに留めました。
次回からいよいよ本格的に細部に踏み込んでいきます。