杵築大社(出雲大社)の大国主命像
*画像はWikiより






【古事記神話】本文
 (~その72 根堅州國 3)






まだまだ体調不良、経済的困窮が続いてはいるのですが、そろそろ1日1記事UPまでには戻そうと考えています。

大がかりなテーマ記事を多く抱えており、困難ではありますが。

そして近いうちに1日2記事UPにまで。

1日3記事は
肉体的にも精神的にも到底戻せそうにはないですが…。


大幅に縮小となりましたが、
掲げた目標に向かって余生を過ごしたいと考えています。



【読み下し文】
是に於ひて其の妻 須世理毘賣は喪具を持ちて而して哭きつ來まし 其の父大神は已に死に訖へたと思ほして 其の野に出で立ちし 爾に其の矢を持ちて奉りしの時 家に率き入り 而して八田間の大室に喚び入れ 其の頭の虱を取らしめたまひき 故に爾に其の頭を見しは 呉公多に在り 是に於ひて其の妻 以て牟久の木の實と赤土を以て其の夫に授けき 故に其の木の實を咋ひ破りて赤土を含み唾を出したまへば 其の大神 以て呉公を咋ひ破りて唾を出さんと爲す 而して心に於ひて愛しと思ほし而して寢たまひき


【大意】
妻の須世理毘賣は喪具(はふりつもの)を持って哭きながらやって来ました。須佐能男命は已に(すでに)死に絶えたと思って、その野に出て行くと、大穴牟遲命がその矢を持って奉っているので、須世理毘賣は家に連れて帰り大きな部屋に喚び入れ、須佐能男命の頭の虱(しらみ)を取らせました。その頭を見たら呉公(ムカデ)がいっぱいいました。須世理毘賣は椋の木の実と赤土(あかはに)を夫に授けたので、その木の実を喰い破り赤土を口に含んで唾を出すと、須佐能男命は、大穴牟遲命が呉公を喰い破り吐き出し須佐能男命ているのだ、かわいい奴だと思い、そのまま寝てしまいました。


【補足】
野焼きによる火攻めの危機を、鼠のおかげで間一髪脱出した大穴牟遲命ですが…
どうやら妻の須世理毘賣や義父の須佐能男命は、死んでしまったと思ったようです。

◎「八田間の大室」「頭の虱を取らしめたまひき」「呉公多(ムカデさは)に在り…」
これらの描写を考えると、須佐能男命はガリバー並みの巨大さ?こういった発想は見たことがないのですが、私の頭の中では子供の頃より、須佐能男命は巨人なのです。

呉公は大抵は10cm以下のものですが、田舎へ行くと30cm超のものが当たり前のようにいます。弥生時代だともっと巨大なものが普通だったのかもしれません。
それが頭髪の中に「多に(たくさん)…」となると、ガリバー並みの巨人としか思えないのです。だから大きさを表す基準が田圃の大きさとなっているのではないかと(八田間)。

もちろん神話ですから、そのような巨人が実在したわけではありません。大事なことは、須佐能男命が良くも悪くも、それほどに畏怖される存在であったと表現していること。
…とすると、天照大神も巨人???

◎「椋の木の実」と「赤土(あかはに)」を口に含んで吐き出すと、呉公を喰ちぎったと須佐能男命は錯覚した…とあります。

「椋の木」は比率的にはさほど高くはないものの、御神木とされることもある樹木。「赤土」と並べられることにより、ただ錯覚させるためだけに選ばれた樹木ではないように思います。甘いようですが。

実の色は黒なので、こちらが神聖視されたのではなく、樹木そのものが神聖視されたのでしょうか。「赤土」はいうまでもなく鉄分を多く含む土壌。霊力を有するものを合わせて須佐能男命より与えられた危機から脱出したように思います。


春日神社(御所市佐田)のムクノキ(御神木)。



*誤字・脱字・誤記等無きよう努めますが、もし発見されました際はご指摘頂けますとさいわいです。