☆ 笠間峠


大和国山邊郡・伊賀国名張郡
奈良県宇陀市室生上笠間
三重県名張市安部田



大和の都の方から伊勢へ向かう際に利用された峠。また伊賀国名張から東大寺への往来にも利用されたとも。


現在の奈良県道781号線から三重県道781号線の路上。標高は460mほど。

奈良県側はかなり路線改良がされていますが、三重県側はあまりなされておらず、悪路として名高く、いわゆる「険道」などと。

かなりの狭小、九十九折りの急勾配、未舗装の箇所有りと、車で通って通れなくはないものの…というレベル。確実に車を傷めます(実際に通っていません)。

「酷道マニア」がいるとか…。

山間部の参拝に、後先考えず「酷道」にガンガン突っ込む人が、他人のことをとやかく言えませんが…。


文献においては鎌倉初頭が初見とのこと。文治五年(1189年)の「鎌倉遺文」という書に「黒田坂」として表されているようです。

これは三重県側へ下りきったところから少し東側にある、名張郡黒田荘という東大寺の荘園。


冒頭写真は「笠間峠」から南へ少し逸れて「室生深野」へ下る道沿いから撮ったもの。名張市南部の深い山々が美しく臨めます。

ちなみに「室生深野」は、奈良の都より斎王が伊勢へ奉仕するために通過した経路とされます。