岩上神社 (栗東市伊勢落)


近江国栗太郡
滋賀県栗東市伊勢落265
(境内の西外側に広い空き地有り)

■祭神
事代主神


「野洲川」下流に広がる平野部、南側に鎮座する社。背後に200mほどの美しい山を控えます。
◎創建時期については不明ながら、社伝には以下のように伝わります。天正六年(1578年)「日向山」の頂上に屹立した霊岩が豪雨のため東の谷底へ墜落、「伊勢大路村」の村民等がこの霊岩を崇め、慶長十六年(1611年)にこの霊岩上に小祠を建立したと。
「日向山」とは不明ながら、背後の山であろうと思います。事代主神を奉斎し、岩上社と称したようです。また現社地への遷座は永正五年(1508年)のことと。
◎以上が滋賀県神社庁が示す当社概要。ところが創建より遷座の方が先という、明らかに矛盾するお粗末なもの。
◎「近江栗太郡志」においては、「日向山」頂上にあったが文明三年(1471年)に兵火にかかり焼失、永正元年(1504年)に現社地へ遷宮したとあります。
◎「葉山村郷土誌」においては、遷座前は「日向山」の巨岩の上に祀られていた、「近江與地誌略」においては、「日向山」中の巨岩が岩上社旧社地「鎮座石」であるとしていると。
◎これら限られた資料から思量するに、太古からの巨岩信仰に被さった社であり、既に中世には創建がなされていた、遷座は江戸時代初頭であろうと。そして既に霊岩は消失したのではないかと。
◎同じ山の尾根違いの麓に壽泉神社が鎮座しています(未参拝)。こちらには元伊勢「坂田宮」伝承があります。この霊岩に天照大神を鎮めようかとも考えたのかもしれません。
現在のご本殿はあらぬ方角を向いており、意図したものかどうかは不明ですが、少々残念な形になっています。


向かって右手に車を停めています。冒頭写真だとよく分かります。

拝殿無し、覆屋のみ。



こちらは社殿方向から北の「御上山(三上山)」を。ちょうど鳥居の真ん中に見え、これは明らかに意識していたと思います。