*世界一大切にされる神鹿


花山院宮司の書からタイトルを勝手に頂きました。あまりに素敵なものであったため。


春日大社を中心に、神鹿は1200頭ほどいるようです。境内はもちろんのこと、鹿が道路を横断し渋滞に…道路に居座りしばし通行止め…はよくあること。

民家の庭にもゴソゴソ入って来ます。風呂場の窓に視線を感じたら鹿が覗いていた…なんてことも。

秋の鹿は角がもっとも伸びており危険です。鹿せんべいは隠し持たないと襲われます。

鹿せんべい売りのおばあちゃんたちは、鹿を蹴って寄せ付けないようにしています。
鹿も賢く、おばあちゃんは襲わずに買う人を速攻襲います(笑)

…これが奈良の日常。

もちろん奈良県中ではなく、春日大社周辺のこと。


そもそも、なぜ奈良では鹿は神扱いされるのか。

これは春日大社の鎌倉時代の「古社記」に、武甕槌神は常陸から、経津主神は下総から、天児屋根神は河内から、それぞれ白鹿に乗ってやって来たと記されているからということ。

もちろん神話の世界ですが、饒速日神の天磐船に乗って空から…よりは現実味があるのかも。

それこそ武甕槌神や経津主神は実在したのかどうかなど、知る由もありませんが。
少なくとも1300年以上も昔から、日本人はそうやって崇めてきたわけで、それでいいのだ!…と思います。


古くは承和八年(841年)に太政官符として、「春日神山」での狩猟伐採が禁じられています。

樹木と生き物ということですが、生き物はもちろん鹿を始めとして…ということ。

そして弘安元年(1278年)には、鹿を殺めた者は春日大社と興福寺が処罰すると。
さらに中世には鹿殺しは死刑になると。

そうやってどんどんと鹿は増えたようです。


縄文時代において鹿は食用でした。そこら中にいて、また鹿肉は美味い!…といったところだったのかと。

ところが弥生時代になると神聖視されるようになります。肩甲骨が占いに用いられたり、銅鐸に描かれたりと。
食用にもされていたらしいですが。

鹿の角は一年ごとに生え変わるということが、神聖視された理由ともされますが…。


なお今ではすっかり名物となった「角切り」は、江戸時代に始まったようです。


現在「神鹿」は少々減ってきているようです。車の数が増え轢かれることも多いとか。
ビニールを食べて窒息死などというのも。
また開発で鹿の居場所も少しずつ減ってきていたりと。

「奈良の鹿愛護会」という団体があり、鹿を守る活動をされています。昔会社を経営していた頃は会社と個人と両方で会員となっていましたが…。


ま…つぶらで美しい鹿の目を見ていると、
また会員になろっかな~とも。