[摂津国] 生國魂神社



■表記
生嶋神(イクシマノカミ)、生島神、(生國魂神)
足嶋神(タルシマノカミ)、足島神、(咲國魂神)


■概要
◎「延喜式神名帳」に記される、宮中の式内社三十六座に含まれる神社二座。「生島御巫祭神二座 並名神大 生島神 足島神」(いくしまみかんなぎ)とあります。いずれも月次祭・新嘗祭の幣帛を授かっています。現存はせず、宮中三殿のうちの神殿に継承されたと考えられています。

◎「古語拾遺」には「生島 是大八州之霊 今 生島巫所奉斎也」とあります。つまり生島神は日本国土の神霊であると考えられます。一方の足島神は「神名帳」の記述からみて、生島神と合わせて捉えるべきかと思われます。そうすると生島神は生成の神、足島神は充足の神つまり繁栄の神といったところでしょうか。

◎二神は「八十島祭」の主神であったと考えられます。まず生島巫が参加していること。祭祀が行われた「難波津」に生國魂神社が鎮座しており、その社が二神を祀るとされていること。この祭では祭壇で天皇の神衣が納められている箱を開けて、揺り動かされていたようです。これは二神の神霊を神衣に招魂させることであり、そして天皇がそれを着ることで天皇の身体に招魂させるという儀式であるとされます。つまり「天皇の国土支配権を企図する祭祀」であったと考えられます。
この「八十島祭」は即位後の次の年に必ず行われていたもので、即位儀礼の一つとされます。


■祀られる神社(参拝済み社のみ)

[大和国高市郡] 生國魂神社
[摂津国] 生國魂神社

*関連する神社
[大和国高市郡] 牟佐坐神社