☆ 鍋倉溪


大和国山邊郡
奈良県山添村大字大塩
(P有)


「磐座」信仰の名所の一つ山添村。その中核を成すのが「神野山」(こうのやま、標高618.8m)であり、その中心が「鍋倉溪」。

漆黒の岩々がおよそ650mにも及び、累々と連なる様は圧巻の一言。

「イワクラ(磐座)学会」に属される「山添村いわくら文化研究会」の方たちの綿密な研究成果により、「鍋倉溪」そのものが「天の川」をなぞらえたもの、周辺に点在する磐座が「夏の大三角形」を形成していることが分かっています。

「鍋倉溪」そのものは、おそらく自然の造形物であろうとされます。そしてその周辺に磐座を形成させたものと考えられています。

これを鵜呑みにできないのが、三輪山山頂に見られる人工造形物の磐座群。規模は「鍋倉溪」より短いものですが、ほぼ同様の石質の岩々が圧倒的なスケールで累々と連なり、こちらは周辺から運んできたもの。その様はまさに「鍋倉溪」と被さります。したがって個人的には「鍋倉溪」も自然造形物ではなく、人工造形物ではないかと考えています。

また神野山には他にも「冬の大三角形」、「北極星トゥバン」、「オリオン座の三つ子石」、「南斗六星」(いずれも自身未確認)などが研究会の方々の手により発見されています。

「神野山を天球とみなして、神野山に天空を再現した」と、山添村いわくら研究会では結論付けられています(「イワクラ」イワクラ(磐座)学会編著より)。

誰が名付けたのか、「神野山」とはまさしく「神の山」。おそらく少なくとも1万年ほど前から「神の山」であったのだろうと思われます。

この分野はまだまだ知見不足が否めず、今後のぜひとも注力したいテーマの一つ。非常に有難いことに学会の方々の研究成果が多く提示されており、そこから学んでいきたいと思っています。


とある東京在住の方に、この史跡を紹介したところご好評を頂き(当然のことですが)、自身も再び感動を!と三度目の見学となりました。今回は少々奥地まで潜入、初めて見るものもいくつかありました。







「イワクラ」 イワクラ(磐座)学会編著より。この図案は非常に明解で、いくつかのパンフにも散見されるので写真を撮り使用させて頂きました。