☆亀石 (明日香村)



大和国高市郡
奈良県高市郡明日香村大字川原108
(P無し、おそらく民家の敷地内かと思われるので見学の際には節度を守って)



飛鳥に数多く存在する石造物の一つ。それらについては…
*加工が施されている
*5~6世紀頃のものが多い
*用途不明のものが多い
*磐座とは異なり、神が宿るといったものではないと考えられる
*仏教などという宗教由来のものでもないと考えられる

これらが主な特徴でしょうか。

結局のところ、よく分からない加工された石がゴロゴロとあちらこちらにある…と。

「飛鳥石造物」などと一くくりにされているものの、非常に多種多様に富んだもの。未だ目にしていないものもいくつかありますが、それらは興味深いものでもあり、また非常に面白いものも。

そもそも岩というものは、石器時代から神が宿るものとして奇岩巨岩そのものを崇めたり、加工して組み上げて磐座としてみたり、寄せ集めて磐境、神籬などとして神の依り代としてみたりと。時代が下ると古墳の石室にされてみたり、修験道や仏教により禍々しい石像にされてみたり…と。

様変わりはしていますが、思想に関しては多少なりとも受け継がれているように思います。

この「飛鳥石造物」の多くは、古墳の石室利用と仏教や修験道の石像との間くらいのものであろうと、個人的には位置付けています。

この「亀石」もその類いの一つで、明確な意図目的は不明であり、また加工途中のものではないかという人まで。

案内板にもあるように川原寺の四至に…という説がありますが、果たしてそうなのでしょうか。まだ飛鳥の研究があまり進んでいなかった頃に、学者さんが唱えられたもののように思います。

未だに過去の産物を掲げているのもどうかと思いますが、かといって答えが出るまでも研究が進んでいるわけでもないのですが。

注目される事実は外宮の背後の「高倉山」から運び出されていること。
伊勢の神宮システムが創出される以前、つまり天武天皇の御代に内宮や外宮が整えられる以前にそこから運び出されているということ。

ここには古墳群があるとされ(現在は入山禁止の禁足地)、その石室用材だったのかもしれません。加工は当地で行ったのでしょうか。

この程度の岩であれば近くにいっぱいありそうなものを、なぜに「高倉山」から?

いろいろと想像が膨らみますが。

そもそもですが、「亀」ではなく「カエル」にしか見えない…。そう感じるのは私だけでしょうか。もし「亀」であるのなら四神の一つということも考えられるのですが。

*写真は2018年4月と2022年6月撮影のものとが混在しています。


亀にも見えますが蛙にも…。

側面

背面