伝承 桜木さん (五條市東阿田町)


大和国宇智郡
奈良県五條市東阿田町字宮山392
(八幡神社の隣横)

■祭神
(不明) *通称「桜木さん」


東阿田町に鎮座する八幡神社のすぐ脇にある社。鳥居もあれば小祠もあり、これは神社であると解しました。また形式上は八幡神社の摂末社ということになるのでしょうか。
◎当地は少なくとも縄文前期から人々が暮らし始めたという古代史上、非常に重要な地。そして案内板により示される伝承に、重要なことを内包しているのではないかと考えます。以下その原文をそのまま列記します。
━━古代私達の先祖は、稲の生霊は桜の木に宿ると信じていました。だから私達のずっと古い先祖の人たちは桜の木に田植前にはアメルホミ(雨乞)をしてサミダレを願い、田植始めには早苗(田植の神)をそえサオリの儀式をして無事田植が終わることを願い、秋の取入が終われば神饌を供えて感謝のアイナイの祭りをしました。桜木さんは稲の神様として信仰してきたのです。
このように「桜木信仰」の伝わっている当地は古くから、集落の形態をなし農耕生活をし文化も進んでいたと考えられ貴重な伝承なのです。吉野の桜も五穀豊穣を願うため古くから人々の寄進で植えられたものです。尚、応神天皇の持っておられた桜の枝が根付いた木だとか、白髪の老翁が川合前小学校附近にあった桜の枝をこの地に移したものもあるとか、伝わって来ましたがこれは後年当八幡宮の創建縁起を混同されたものです。古くから桜木さんは椋の木の南六奉祝の処に二抱えもある大木で天を圧する見事な老桜で春の満開は近郷の人たちから「東阿田の桜木さんは満開や苗代の準備せならん」と親しまれて来ましたが昭和三四年の秋、伊勢湾台風で根元より倒れ枯死しました。私達は先祖の人達の信じ敬愛した桜木さんをいつまでも伝えお祭りしていきたいものです━━と(案内板の原文は消えて読めなくなっているため、他サイトから引用しました)
民俗学分野にも考古学分野にも、そして神社史分野においても、非常に重要な伝承かと思います。「アメルホミ」などはいつの時代の言葉なのでしょうか、縄文語なのでしょうか、弥生語なのでしょうか。



こちらが案内板、文字が消えて判読不可。「いつまでも伝えていきたい」という熱い思いは…。