厳島神社 (大和高田市奥田、捨篠神社)


大和国高市郡
奈良県大和高田市奥田470
(P無し、鳥居の少し東側、捨篠公園前に路駐か)

■旧社格
村社

■祭神
大辨財天


大和高田市南部の古い旧家が建ち並ぶ「奥田」集落内に鎮座。阿治須岐高日子根神の荒魂を祀るとされています。
◎ご神体は「捨篠池(すてしのいけ)」。この池には伝承があり、古代の重要な歴史の舞台となった可能性があるようです。阿治須岐高日子根神はもちろん鴨族の祖神、和魂が高鴨神社に荒魂が当社に鎮まるとされています。
◎池の伝承はその鴨族の子孫である役行者についてのもの。「役行者の母である刀良売(トラメ)が当社に参拝。蛙が蓮の葉に乗って浮いていたので池の傍らの篠を取って投げたところ、蛙の目に当たってしまった。蛙は片目となるが今もこの池に住んでいる。そしてこの池を捨篠池と呼ぶことにした」とあり、続いて「役小角は(今は亡き)父に会いに行くと言って捨篠池に向かった。母が不思議に思い付いていくと、役小角は池に向かって拝していた。すると池から人影が現れる。それは白髪の老翁がチガヤに乗って水面に現れたもの。その老翁は阿治須岐高日子根であった(以下略、全文意訳文)」。
◎当社公園に掲げられる伝承は少し異なるもの(下部写真参照)。刀良売や役小角、片目の蛙と登場人物は同じですが。
◎この伝承をどう捉えるべきか。まず「片目」ということから鍛治氏族が考えられます。次に「蛙」は何を指すのでしょうか、その蛙に向かって篠を投げ付けています。争いがあったという想像をしてしまいます。荒魂が祀られるということから尋常ではないことも想像できるかと。当地の鴨氏一派がこの地で滅ぼされたということなのでしょうか。
◎伝承を鵜呑みにするのであれば、刀良売や役小角が参拝したということは既に当社が鎮座していたことに。そして祖神の荒魂を祀るという、鴨族にとっては重要な位置付けの社だったのかもしれません。


*写真は2018年8月と2021年11月のものとが混在しています。


当社は西側、それに連なる公園は東側。






御神体の「捨篠池」。蓮の名所でも。


蓮の無い季節はこのように。