☆恵利原の水穴(えりはらのみずあな)・風穴


三重県志摩市磯部町恵利原
(P有)


朝熊(あさま)山地の山中にあり、湧水が出る穴及びその一帯を「恵利原の水穴」、さらにその先にある、風が出る穴及びその一帯を「恵利原の風穴」と呼んでいます。
湧水は日本の名水百選にも選ばれ、また志摩地方の水源にもなっています。
森林は伊雑宮の社叢でもあり、往古は奥地に猿田彦大神を祀る社があったとか。猿田彦の森とも呼ばれていたようです。「伊勢参宮名所図絵 巻之六」にあります。また「先代旧事大成経」という書の「二社三宮図」には伊雑宮が日神、内宮が星神、外宮が月神を祀るとあります。そして皇大神宮が創建される前から鎮座していたと。ちなみに先代旧事大成経は偽書であると江戸幕府からは決定付けられていますが。
これらを元に推測すると、伊雑宮は元々は太陽神 猿田彦大神を祀る社で、その神霊は恵利原の水穴の奥地にある猿田彦の森に鎮まっている、となります。そして天照大神に国譲りが行われ、太陽神の座と伊勢の大神の座は天照大神に取って変わられた─ということです。あくまで推測の範囲ですが。
水穴の横には滝祭宮があります。こちらは天照大神の他、泣沢女神、美都波女神、そして猿田彦大神が祀られています。泣沢女神は泉の精霊、美都波女神は水の精です。
そう考えるとこの地は本当の意味で伊勢の聖地であると思われます。