鴨習太神社
(かもならいたじんじゃ)


河内国石川郡
大阪府南河内郡河南町神山595
(P有、北側より進入)

■延喜式神名帳
鴨習太神社の比定社

■旧社格
村社

■祭神
饒速日命
天照地照彦火明命
櫛玉命
[相殿] 高皇産霊尊


「石川」「佐備」「神山(こうやま)」「神奈備」などの地名が残る神々が宿る地域であり、古代を探る上で重要な地域でも。
◎この地域は葛城山の西側、物部氏や蘇我氏が拠点とした地。その物部氏が祖神である饒速日神を祀った社であり、ご祭神三柱とも饒速日神の別名としています。正式な神名を3分割したようでもあります。
◎式内社 鴨習太神社は廃絶して不明となっていたそうです。それを明治に復興させたのが当社、つまりこの地に復興させたのが理由でご祭神は饒速日神ということ。社名に現れる「鴨」は紛れもなく鴨氏のこと。式内社 鴨習太神社は鴨氏(賀茂氏)が斎祀る神社であったと考えるのが適当かと思います。 河内国式神私考では鴨氏の祀る社として、ご祭神は大田田根子神としています。
◎古事記に以下の歌が記されています。「天なるや  弟棚機の 頸(うな)がせる 玉の御統(みすまる)  御統に 孔玉(あなだま)はや み谷二(ふた)わたらす 阿遅志貴高日子根(アヂシキタカヒコネ)の神そ」 さらに続けて「天離る(あまさかる) 夷つ女(ひなつめ) い渡らす迫門(せと) 石川片淵(いしかわかたふち) 片淵に 綱張り渡し 目ろ寄しに 寄し寄り来ね 石川片淵」と。
この「石川片淵」は当社付近と考えられています。歌の意味はともかく賀茂大神である阿遅志貴高日子根神が登場しています。後段の歌は下照姫が詠んだ歌。河内物部氏の拠点でありながら賀茂氏の祀る社が鎮座していたと考えて良かろうと思います。
◎また天神神山神社に祀られていた高皇産霊神が、暴風で破壊されたため合祀されています。高天彦神社において高皇産霊神と同神化されている高木神が祀られているように、やはりこちらも賀茂氏が祀っていたのかもしれません。