岐佐神社


遠江国敷智郡
静岡県浜松市西区舞阪町舞阪1973
(P有、社前道路を挟んで向かい側、少々分かりづらい)

■延喜式神名帳
岐佐神社の比定社

■旧社格
郷社

■祭神
蚶貝比売命(キサガイヒメノミコト)
蛤貝比売命(ウムガイヒメノミコト)
[配祀] 市杵島比売命


女神に神格化された貝を祀る神社。両神は大国主神の神話(古事記、出雲国風土記)に登場する貝神(詳細は → こちら)。神話に基づき出雲国より勧請されたものと思われます。
◎浜名湖の南端、遠州灘を臨む風光明媚な「舞阪」に鎮座。浜名湖はこれらの貝の産地であろうと考えられるため、古事記神話にちなんで二柱の貝神が祀られたとすると創祀は712年以降のことかと。もちろんそれ以前に海神、配祀の市杵島姫神あたりが祀られていた可能性も十分にあり得ますが。遠江国風土記伝(江戸時代)にはこの辺りは「象島(きさじま)」と呼ばれていたこと、岐佐貝が多く採れたことを記しています。
◎当地の歴史で忘れてはいけないのが明応の変(1498年)。「岐佐神社由来記」に「舞澤の郷は人家と共に海中に漂没せり」とあるように、大地震と高さ8mにも及ぶ津波が押し寄せたことが推測されています。かつて淡水湖であった浜名湖が太平洋とつながり、今切と呼ばれる湖の切り口ができたのもこの時。当社ももちろん流されてしまいましたが、漂着していた(当地)小祠を再建したそうです。当社は希望の星でもあったのかもしれません。
◎境内には出雲神話に基づき「赤猪石(あかいし)」が設けられています。「赤猪石」の詳細については伯耆国の赤猪岩神社の記事にて。




「赤猪石(あかいし)」大国主命神話に基づき祀られています。