冨田勲がつくば万博のために作った幻の曲|1985年NHKの謎の楽曲を探す | ZEL's:写真とジオラマとプラネタリウム

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趣味は写真、プラネタリウム巡り、科学施設巡り、ジオラマ初心者、フィギュアスケート観戦、かつてはゲーム音楽の作曲も。
2021/8月にこのブログを開設。

今日から大阪・関西万博が開催しました。

が、今回は万博といっても「つくば科学万博(1985年)」、作曲家の故・冨田勲氏の話です。

 

冨田勲氏は、科学万博ではいろいろなパビリオンの音楽を担当されていました。

 

・電力館テーマソング「すてきなラブ・パワー」作曲

・サントリー燦鳥館:音楽

・日本政府出展テーマ館:音楽

 

ところが私の記憶ではまだほかに1曲あります。

しかしネットをどう検索しても出てきませんし、SNSなどで質問しても全く情報がありませんでした。

それがこちらの曲です。

 

 

私の記憶では、1985年1月1日、NHKで放送していた番組の中で披露されていました。

 

1985年1月1日 番組表 初の深夜放送

(NHKアーカイブスより引用して加工)

 

元旦の深夜。これから開催されるつくば科学万博を期待して、開催前の会場の中継映像とともにこの曲を流していました。NHKが冨田勲さんに依頼して作られた曲だと思います。

 

番組の中で作曲の様子も紹介していました。

当時、フェアライトCMIという革命的なオーストラリア製のシンセサイザー(当時の価格で1200万円)があり、冨田勲さんも自宅スタジオに所有されていました。この曲はそれを使用して作られていました。

 

フェアライトCMIシンセサイザー 冨田勲 万博

(Wikipediaより引用)

 

フェアライトCMIにはPCのようにキーボードとCRTがあり、このCRTにはライトペンというデバイスが付いています。このライトペンで画面をタッチしたりなぞったりして操作ができます。

このように音声信号を波形で描いて、それを鳴らせる機能もありました。

 

フェアライトCMIで波形編集する冨田勲氏

(ChatGPTによる生成画像。実際のものとは異なります)

 

この曲は万博の各パビリオンをイメージしたお祝いの音楽。

冨田勲さんは、パビリオンの形を音にしてその音で演奏しよう、ということで、この機能を使って音を作っていました。

 

※こちらは当時番組で見たものをイメージ化したもので、実際のものとは異なります。

 

つくば科学万博 pavilions and waveforms

 

実際の曲では、その音がソロパートで流れるとともにそのパビリオンの映像が映されていたように思います。

まだ日本が科学の未来に希望を持っていた時代。シンセサイザーの音が、万博会場やパビリオンの風景にマッチして、とてもキラキラして見えました。

 

この曲は、当時ビデオで録画して何回か聴いただけで、もうその録画も録音も残っていません。

もしかしたらNHKには録画が残っているかもしれませんが、公開はされていません。

YouTubeなどを探しても見つかりませんし、そもそもこの曲があったという情報さえどこにもないのです。

でも私はこの曲をよく覚えていて、その40年前の記憶だけで冒頭の演奏をしました。

おそらく原曲はもっと長くて、ソロパートなどももっとあったかと思いますが、そこまでは再現できませんでした。

 

できれば当時の録画や録音が見つかって、答え合わせができるときが来ることを望んでいます。

もし何か情報をお持ちの方や覚えておられる方がいましたら、コメントいただけると幸いです。