前回、エレクトーンを購入する方法について書きました。

今回は、古いエレクトーンを購入したらすぐにやるべきこと、です。

 

それは、「内部清掃」です。

 

エレクトーンの内部を開ける人は滅多にいません。

つまり何年、何十年も一度も開けられたことのないエレクトーンが届いたわけです。

想像するとわかると思いますが、内部はホコリだらけ、ゴミも入っていることが多いです。

これは子供の頃にエレクトーンを習っていた方ならわかるはず。

あのシャッターの隙間や鍵盤の隙間から、小さいもの、小銭などを落としてしまったりしたことはないでしょうか?

そういった思い出(?)が、エレクトーンに詰まったまま届きます・・・

ホコリやゴミならまだいい方です。

昆虫の死骸もあるでしょう。ネズミが入ったという話も聞きます。

そのようなものを部屋に持ち込んで同居するわけですから、衛生上、これを放置するのは危険です。

 

裏蓋と上蓋のネジを外すと簡単に開けられます。

 

 

 

実はこれは一度清掃したあとの写真です。

もっとホコリだらけでしたし、ゴミも小銭もありました。一部昆虫の死骸も。

しかし思ったよりは綺麗な状態でした。これは非常にラッキーでした。

(ネズミの糞だらけという最悪の事態は避けられました)

逆に言えば内部が綺麗だったからこそ、ほとんどの機能が動作していたのかもしれません。

 

掃除機や雑巾、ウェットティッシュ等で可能な限り清掃します。

基板部分に積もったホコリも極力除去する必要がありますが、ここは注意が必要です。

部品を傷つけたり壊したり曲げたりしないよう、筆などで優しくなぞりながら掃除機で吸い取ります。

 

 

清掃することによって、機能が復活することもあります。

このエレクトーンは届いた当初はトレモロ関係が一切作動していませんでした。

 

(少し脱線)

トレモロとは、スピーカーを回転させたり、スピーカーの前に回転体を置いて音にうねりを持たせる効果です。このためにモーターなどが入っていることがあります。

しかしこのC-301では電子トレモロ化され、そのような物理的な装置は入っていません。その結果、安く作れて故障も少ないという利点があります。ただし電子トレモロは、物理トレモロに比べると効果はイマイチです。

 

 

そんなわけで故障が少ないはずの電子トレモロですが、全く機能していませんでした。

しかし清掃したあと試してみると・・・

ちゃんと動作するようになりました。基板上のホコリが悪さしていたのでしょうか。

 

ただし清掃しても動作しないところが主に2か所ありました。

 

1つは、電子トレモロのスピード調整。

「うねり」のスピードを変えるボリュームが効かないようです。

 

 

もう1か所はリバーブ。

残響、いわゆるエコーを全体的に付ける効果ですが、これも全く動作していません。

 

 

このリバーブは、今ではデジタル処理で作りますが当時は物理的に作っていました。

その装置がエレクトーン内にあります。

これです。

 

 

これは「スプリングリバーブ」と言って、2本のバネでできています。

このバネの片端に音声信号を与えると、バネ内を音声信号が反射を繰り返して減衰し、エコーになるという仕組みです。

見たところバネが切れているわけではないので、どこか配線が切れているのかもしれません。いずれ修理に挑戦したいと思います。

(リバーブ自体はデジタル処理であとでいくらでも掛けられるので、実用上は壊れていても特に困りませんが)

 

このほか押しにくいボタンなどは一部ありますが、鳴らない鍵盤も無いし、効かないボタンもありません。

本当に40年以上前のものとは思えない素晴らしい状態でした。

 

 

もし古いエレクトーンを購入された方は、ぜひ内部清掃をお勧めします。