仁義なき宅配という本を読みました。ヤマト運輸と佐川急便、日本郵便の戦い、それぞれの従業員の過酷な労働などを、著者の取材、潜入取材などを基に書かれています。競争が果たしている意味や効果、経営や価格の問題などが、実感を持って理解できました。宅配の仕組みも、かなり理解できました。
考えれば分かることでしたが、宅配が翌日配送できるのは、夜勤の人が、集配所で仕分けしたり、トラックに積み込んだり、トラックを運転しているからです。今後の人手不足の社会では、翌日配送は止めなければならないでしょう。今の消費者は、誰かが知らないところでしている競争による恩恵を、当たり前のように受けている。なぜそのようなサービスが実現しているかを考えることはない。しかしそれが、労働者としての自分に跳ね返ってきている。日本は、労働者が仕事を辞めることによって、労働者側から社会を変えていくということが非常に苦手です。そこは難題です。
これも考えれば分かることでしたが、時間帯指定の配送というものは、効率的な配送ルートを根本的に壊してしまう。時間帯指定のために、あっちへ回り、こっちへ回りという非効率な動線になってしまう。しかも、時間帯指定しているのに不在ということも多いそうです。少なくとも、時間帯指定に対しては割増料金を取り、時間帯指定で不在の時には再配達はしないなどのサービスの変更が必要です。
この本は、どのように人手不足社会に対応していくかを推測させるものでもありました。宅配においてポイントとなるのは、荷物の積み込みです。そこを機械化すべきです。トラックの荷台の天井を開けて、AI搭載のクレーンで最も効率的に積んでいく。これで過酷な労働がかなり軽減されます。2015年発行の本なので、現在はすでに実現しているかもしれませんが。もう一つは、幹線輸送の自動運転です。高速道路だけでもトラックの自動運転が実現すればいい。
以上、二つの改善は、日本人なら必ずできます。もう出来ているかもという期待も、日本人だからこそ持てる。一つ一つの分野で、具体的に考えていけば、人手不足社会も乗り越えていけそうな気がします。