明日の俺 | 日曜は勝手にショートショート
2014-04-13 07:04:58

明日の俺

テーマ:ショートショート

仕事を失い、彼女と別れ、貯金も底をついた。

もう死のう、という時にドアのベルが鳴った。

ドアを開けると、そこには俺がいた。

だがいつも鏡で見る自分より少し年を取っているようだ。

「だれ?」

「40歳のお前だよ」

「えっ」

「10年後のお前だよ。しけた顔してるな」

そう言うとずかずかと部屋に上がりこんだ。

「ちょっと」

その後ろにさらに白髪の多い俺と、さらに年を取った俺がいた。

「あ、俺50歳のお前な」

「若いなぁ」たぶん60歳の俺が言った。


まるで保険のCMみたいだった。

将来の俺たちと俺の4人が食堂テーブルに向かい合わせで座っている。

CMほどのイケメンではないが。

「どうして、こんなことが」俺は俺たちに質問した。

「お前がピンチだからさ」

「励ましてやろうかと」

「60になってもまだハゲは増してないけどな、ハハハ」

「生きてれば、いいことあるさ」

「今を乗り越えたからこそ、俺たちがある」

「ガンバ大阪、なんちて」

明日の俺たちはかわりばんこに俺に声かけしてくれる。

「あんたたちがいる、ということは、俺は死なないということだな」

俺はあくびをしながら尋ねた。

明日の俺たちはうなずいた。

「でもさ、薬、もう飲んだんだよね」

「えっ」

「遅かったよ…」俺の意識が薄れていく。

死ぬ前に走馬灯で過去を見るというけど、

俺は未来の俺を見たのか…。









目が覚めると病室のベットにいた。

「よかった、目が覚めて」と心配顔の彼女がいた。

いや、元カノか。

「勝手に別れようってないし。

薬飲んで死ぬつもりだったの?」

「…いや、仕事クビになって、君に迷惑だと…」

「そんなことない。これからも二人で一緒よ」

彼女の涙に濡れた目に見つめられて、俺はうなずいた。

未来の俺たちが病室の外からのぞいて笑っていた。



※日本生命のCMを参考にしました。

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