皆さん、こんにちは。

佐伯恵太です。

 

昨夜撮った写真ですキョロキョロ

 

 

今日のブログのタイトルは、こちら。

 

日常会話における「俳優向いてるんじゃない?」発言に対する違和感の正体

 

なんのこっちゃという感じですよね。

 

 

例えば、トランプでババ抜きをしていて、ジョーカーを持っている人がポーカーフェイスで自分は持っていないという風に騙しきって勝利した時など「本当にジョーカー持ってないと思った!凄い!俳優向いてるんじゃない!?」みたいな会話になることがありますよね。

 

 

もしくは、上司の話がつまらなかったのに、めちゃくちゃ面白そうに聞いていて、上司が去った後に、実は全然面白いと思わなかった、と同僚に打ち明けたという時なんかも、同様の会話に発展することがありそうです。

 

 

ゲーム終盤で自分がジョーカーを持っていて本当は焦っているしドキドキしているのに、平静を装っている。

 

上司の話がつまらないのに、面白いと思っている風に振る舞っている。

 

どちらも日常における「演技」であって、演技が上手い=俳優に向いている

 

という考え方なのだと思います。

 

 

 

でも実際にお芝居をやっていると、もちろんそのようなシーンや、そういう役どころもありますが、それより例えばババ抜きであれば、ジョーカーを引いてしまった時の悔しい表情であったり、相手にジョーカーを引かせようとする時の祈るような気持ち、そして勝った時には喜びを爆発させるなど、あらゆる感情が素直に出せる、ということがかなり重要であることに気づきます。

 

もちろん感情を押し殺したり、感情に反する行動を取ったり、ということはありますが、それよりまずは感情がしっかり出てくる方が大事なのではないかと思います。

 

 

さらに言えば、お芝居であるということは基本的にストーリーや台詞全てを知った上で演じているので、感情を無にして演じるということはそんなに難しくなかったりします目

 

日常生活でだったら言われたら嬉しいことも、言われたら悲しくなることも、お芝居だと全部何を言われるかがわかっています。なので、あ、次こういう風に言ってくるぞ、って冷静に聞いていれば、感情を無にして聴くことは簡単です。

 

反対に、お芝居の中で感情が素直に出てくるためにはトレーニングや慣れが必要で、全部知っているのに喜ぶ、全部知っているのに悲しむ、ということが、お芝居を始めたばかりだと難しかったりします。

 

 

なので、

 

「日常生活における演技が上手い」=「俳優としてお芝居の現場で求められる演技が上手い」

 

ではなく、

 

単純に「演技」という言葉で両者を結び付けられていることが違和感だったのかなぁと、一連の整理をしていて思いましたひらめき電球

 

 

 

ところで、

 

このブログを書くにあたり色々調べてみると、こんな論文を見つけました。

 

 

演技パターンに影響を与える諸要因の検討 1) ―日常生活演技尺度の作成および賞賛獲得欲求・拒否回避欲求との関連

定廣英典 望月 聡 筑波大学大学院人間総合科学研究科 筑波大学人間系

 

 

この論文では、日常生活における演技の方がテーマになっていて、この日常生活での演技を分類しています。

 

「好印象演技」には、できる人に見えるように振る舞う、という演技や、礼儀正しく見えるように振る舞う、という演技などが含まれます。

 

「調和的演技」には、面白くなくても笑って見せる、という演技や、自分がいつも通りに見えるように振る舞う、という演技などが含まれます。

 

 

また、これらの演技をなぜ行ったのかということについても調査されています。人間関係を円滑にしたいから。本当の自分を見せたくなかったから。など様々な理由があるようでした。

 

 

さらに、どういう状況でこれらの演技をするのかについての調査も。相手の話に興味がないときや、あまり親しくない人といる時、といった様々な状況でたくさんの演技が実行されているようです。

 

 

これらの調査により、男性は称賛を得るための演技を、女性は人から嫌われたり拒絶されたりしないための演技をより多く行っている傾向が明らかになりました。

 

 

もちろん個人差がありますし、国によっても違うと思いますが、たしかに日本の中で考えると、そんな感じはしますよね目

 

 

そしてこの傾向は、お芝居にも関連しているように感じます。

 

お芝居(特に初心者)が演技が上手くいかない理由として、男性は自分をよく見せようとしているから、女性の場合は、悪く思われたくないから、という傾向があるように思うからです。

 

これは、純粋に役を演じているのではなく、役を離れた俳優個人が演じている、という状況であって、「日常生活での演技」と同様のことをやってしまっているわけです。

 

なので、日常生活の演技で見られる男女差がお芝居を演じるという状況にも介入してくるのだと思います。

 

こういう時のダメ出しとしては、良く見せようとするな。自意識を捨てろ。もっと役に入り込め。という風に言われたりします。どうしても人間なので、ちょっとでも良く見せたい、みたいな気持ちがちらつくことはありますが、やはりそこは突き詰めていきたいところですビックリマーク

 

 

日常生活で演じるということ。役を演じるということ。

 

 

演じるというのは人間社会の中で長い年月をかけて生み出されたものであって、演じることができるというのが、人間の大きな特徴の一つかもしれませんね。

 

 

 

 

最後に。

 

 

この「演じる」ということをあらゆる角度から楽しめるオススメの最高傑作映画がありますのでご紹介します。

 

映画『スペシャルアクターズ』

 

 

絶賛公開中です!!

 

僕なりの、映画『スペシャルアクターズ』の宣伝でしたニヤリ