皆さん、こんにちは。
俳優・涙ソムリエの佐伯恵太です。
今日のブログはこんな内容。
◎フィリピンのごみ山のこと、知っていますか?
◎そこに住む人たちのこと、考えたことはありますか?
どちらもイエスと答えた皆さんに、もう一つ質問です。
◎それについて、何か行動したことはありますか?
昨日ぼくは、舞台『little smile 〜パヤタスに降る星より〜』を観劇しました。
(プロデューサー:水野杏奈 原作者:山口千恵子 脚本・演出:貞岡秀司)
この作品は、山口千恵子さんの『パヤタスに降る星』という原作本を基に昨年上演され、今回脚本やお芝居の内容も新しくなり、キャストも一新されて再演、新たな作品のような形で上演されたものです。
フィリピンの首都マニラにあるパヤタス地区。フィリピンに複数存在するごみ山の中でも、有名なごみ山がある場所。
2000年7月にはそのパヤタスのごみ山で大規模な崩落事故が起き、300人とも1,000人とも言われる犠牲者が出たそうです。
その後政府によるごみ山の閉鎖、再開後も15歳未満の子どもの立ち入りを禁止するなどの措置が講じられますが、
それでも尚、子どもたちは生活するためにごみ山でごみを拾い、ごみ山で生活しています。
そんなパヤタスのごみ山に生きる子どもたちの物語。
ごみ山で生きるこどもたちは貧しい暮らしながら、子ども同士助け合ってごみを拾い、一緒に遊んだりもしながら日々逞しく過ごしています。そして、家族や学校の先生は、そんな子どもたちを優しく見守っています。
そこへ日本からボランティアの女性がやってきます。ボランティアの女性と、そこへ暮らす人々との出会い、心の交流。
最初はごみ山のごみやガス、匂いなどの強烈さに圧倒され、また子どもたちとの関わり方にも迷いがあった女性の心が、徐々に変化していく。そんな様子が繊細に、優しく描かれた作品でした。
生きるということは、綺麗事だけではない。
事実、ごみ山での暮らしは過酷なものであるし、仲良くしていた子供同士が奪い合ったり、思いやりを欠く行動をとってしまうこともある。
貧しい暮らしている人が等しく、清く正しい人間であるなんていうのは幻想で、反対に金持ちは誰だって強欲、傲慢、そんなこともあるはずがない。
一人ひとりが、違う個性、違う価値観を持った、人間だ。
そのことを理解できるからこそ、自分たちと違う世界に住んでいる何者か、ではなく、自分たちと同じ人間が直面している問題に対して、心が動くし、何ができるかを考えたりもするのではないかと思います。
「社会問題」というと真面目で重たい印象を持ってしまいがちです。
でもそれは「社会」で暮らしている「人」の直面している問題であって、僕たちと変わらず日々頑張って、笑ったり泣いたり、楽しんだり苦しんだりながらも懸命に行きている人の問題であって。
「人」を描く演劇や映画、お芝居というものは、社会問題に直面している人、その問題に向き合う人、人と人とをつなげる強い力を持っている。そんな風に感じました。
「あなたは生きていますか?
本当の意味で、生きていますか?」
原作本に出てくる言葉ですが、舞台のシーンで出てくるこの言葉は本当に象徴的であったし、子どもたちの笑顔や思いやりの心、拾ったオルゴールの音色、きっと忘れることはありません。
役者の皆さんのお芝居はもちろん「メタファー」としてステージを彩るダンサーの皆さんも素敵でした。時に景色になり、花になり、動物になり、「心」になる。そんなダンス表現にも心を奪われました。
役者でもダンサーでも、僕は表現者のことをとても尊敬するし、自分も表現者の一人として、これからも道を突き進んでいきたいと思っています。
観劇後、劇場で原作本を購入しました。
>>パヤタスに降る星 ごみ山の子どもたちから届いたいのちの贈り物<<
この本を購入すると、収益の一部がSYD(公益財団法人修養団)の「幸せの種まき献金」を通じて、世界のストリートチルドレンをはじめとする貧困の中で暮らす子どもたちのために使われます。
少しでも支援につながることができてよかったです。そして、このブログを読んでくださった皆さんも、この問題に興味を持ってくださったり、本を手にとっていただけましたら幸いです。
子どもへの読み聞かせにもピッタリの本だと思います。
今の僕にできることはほんのちっぽけなことで、すぐに現地にボランティアに行くこともできない。
でもいつか行くことができればと思うし、同時に、ごみ山に行くことより、ごみ山が無くなることを祈る。
もちろん、単純に無くせば良いということではなく、難しい問題なのだと思う。
だからこそ、少しずつでも知っていきたい。
その一歩は、踏み出せたと思う。