天狼院書店と、僕と。

 

11月24日(土)に一夜限りの上映が決定した短編映画『つま先の残像』(中尾歓都己監督)に川崎役(主演)で出演いたします。

この映画は「天狼院の大文化祭」というイベントにて天狼院映画部の作品として池袋HUMAXシネマズで上映されます。

 

 

 

ところで、天狼院書店とはなにか。

 

天狼院書店のホームページによると、こう。

 

天狼院書店が提供するのは、「READING LIFE」という新しいライフスタイル。
「本」だけでなく、その先にある「体験」までを提供する次世代型書店です。

 

確かにそう、確かにそうなんだけれど、このスタイリッシュな説明文からは読み取れない決定的な、天狼院の特徴があると思う。

 

それは、圧倒的な熱量。攻撃的で、異常とも言える攻めの姿勢。

 

 

2015年3月22日。僕は、天狼院書店の映画・演劇『世界で一番美しい死体〜天狼院殺人事件〜』に出演した。本屋が映画を作るのも、本屋が演劇を作るのも、なかなかに理解がし難い。さらにその上、会場はキャパ802席の豊島公会堂。映画は長編、演劇も1時間を超える作品だった。どこから突っ込んで良いのかわからない。突っ込んで良いのかもわからない。

 

しかし、天狼院書店は完全に本気だった。

 

作中に出てきた「自分の作品のチケットを200枚売れない役者はプロではない」というセリフを僕だけが真に受けて、本気で声をかけ、本気でお願いし、本気で頭を下げた。結果、205枚チケットを買っていただくことができた。「205人」でないのは、お一人で複数枚を購入してくださった方々がいたから。僕はその行為が正解だったのかどうか、未だにわからない。しかしプロとして絶対に求められることの一つをここから学んだことは確かで、この実績によって後に俳優としての仕事を得たことは確かで、今でもずっと、この時応援してくださった方に、俳優として成功することで恩返ししたい。そう思っていることも確かだ。

 

だけど、あの時の僕はもういない。

 

いま僕の状況はあの時とは変わっていて。あらゆる面で慎重にならなければいけない時期で、自己判断だけで動いてはいけない状況で。それは、タレントとして少し上の段階にいったからかもしれない。そして、それだけではなくて、あの頃より「作品の中身」にこだわるようになったから、というのもある。役者としての自分が常に成長していけるように、常にベストであれるように、そのことに時間も、頭も、お金も、全てを捧げている。

 

どんな映画なのか、どんな演劇なのか、実態がわからない状態で大風呂敷を広げて宣伝したり、大量の時間を投じてチケットの手売りをしたり、宣伝方法に四六時中頭を悩ませることはもうできない。

 

わかっている、わかっているんだけど、あの頃のがむしゃらな自分を羨ましく見つめている自分が、確かにいる。

 

 

だからまた僕は、天狼院書店に戻ってきた。あの頃の自分に戻りたいわけではない。戻るべきでもない。だけど、今の自分にできる「熱狂」の形が、きっとある。天狼院書店はたぶん、そのことを教えてくれる。

 

 

池袋HUMAXシネマズの大スクリーンで、本屋が作った映画を上映する。今回も、なかなかに狂っていると思う。

 

狂っている書店と狂っているクリエイター、それを面白がれる人たちで作る映画。撮影現場でも随所に「らしさ」を感じた。その一端はきっと、スクリーンからも放たれることと思う。

 

 

天狼院書店の「狂」を、コンテンツから、クリエイターから、会場の熱気から、是非、感じてみてください。

 

 

天狼院の大文化祭は11月22日〜25日まで、連日池袋HUMAXシネマズで開催されます。落語部、フォト部、ライティングゼミ、天狼院を代表するコンテンツがこの日だけの形で楽しめるそうです。荒削りな部分もあるかもしれないけれど、熱を帯びた、妙な輝きを放つコンテンツたちが、多くの人の背中を押すことは間違いないと思う。

 

 

今回残念ながら僕は劇場に行けないのですが、スクリーンの中で皆さんにお会いできることを、楽しみにしています。短編映画『つま先の残像』は決して明るい映画ではありません。しかしその中で、生きるということについて、多くの方に考えていただくきっかけとなれば嬉しいです。監督、スタッフ、役者それぞれが物凄くタイトなスケジュールの中、全員がやろうと思えたのは天狼院書店の魔力だと思う。しかし実際に乗り切れたのは、中尾監督とスタッフの皆さん、撮影の拠点となった京都天狼院、そして女将の山中さんのおかげです。本当にありがとうございました。地元京都での映画の撮影という、役者デビューした時からの目標の一つが、今回叶いました。また、京都弁でのお芝居は新しい感覚を自分に与えてくれました。

 

これからも天狼院書店の爆発力に負けないよう、役者として、人として成長していかねばなりません。

 

 

 

きっとこれは天狼院書店の新たなスタートです。一回限りの打ち上げ花火ではなく、この先へと続く一歩目。そう信じて。

 

 

 

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天狼院の大文化祭〜the Greatest Show〜

 

 

「天狼院の大文化祭」イベントページ

 

映画部(24日)作品上映会のチケット購入ページ

 

11/24(土)
21:15~22:45 映画部ムービー放映/シネマ1
参加費:1,800円

 

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