映画『コーヒーが冷めないうちに』鑑賞してまいりました。

 

小説『コーヒーが冷めないうちに(川口俊和著)』の映画化作品です。

 

 

ストーリーについては是非映画の公式サイトをご覧ください。わかりやすいあらすじが読めます。ただこの作品、原作が小説ですし、多くの方が小説を読んでから映画をご覧になられることと思います。実際僕もそうでした。その率直な感想としては、ストーリーを知っていたとしても全然問題なく楽しめましたし、感動しました。感動に関しては、このあと活字で読んでいたあの展開になるのか......って知っているからこその期待や色々な感情も生まれ、ストーリーを知っていることに関してはむしろプラスに働いた印象です。

 

とはいえ自分から小説を読んでストーリーを知るのと、たまたま読んだブログに断片的に書かれていて知ってしまうのではわけが違うと思うので、ブログにはネタバレ的なことは極力書かないでおきます。

 

ちなみに『コーヒーが冷めないうちに』はシリーズ化されていて『この嘘がばれないうちに』『思い出が消えないうちに』が現在出版されています。映画版では完全オリジナルのシーンもありますが、コーヒーシリーズの中から抜粋されたシーンも出てくるので小説『コーヒーが冷めないうちに』に出てこないシーン、変わっているシーンが全て映画だけの完全オリジナルのシーン、というわけではありません。

 

 

と、前置きが長くなりましたが、この作品、とっても好きでした。

 

もし過去に戻れるとしたら、っていうのは誰もが一度は想像する話だと思います。そしてこの物語は実際に過去に戻る話でありつつ、過去に戻って日本の歴史を変えるとか世界を救う、ではなく、大切な誰かに会いに言ったり何かを伝えに行ったり「過去に戻れる」という点を除けばすごく現実的な、誰にでも起こりうる話ではあります。この作品にとって過去に戻るというのは、人の心、人と人とのつながり。そういった部分により迫るためのスパイスとしてのいち要素であって、その中身は濃厚なヒューマンドラマだと思います。

 

多くのレビューにも書かれている通り、数々のぐっとくるシーンの中でも松重豊さんと薬師丸ひろ子さんの演じる夫婦のシーンは極上でした。キャストの皆さん、僕が小説で想像していた姿と必ずしもイメージ通りではありませんでしたが、映画にとって最適のキャストで、会話中心で進行していく作品を飽きさせず濃厚なものにしているのは、お芝居の力も相当感じました。もちろん、音楽や舞台となるカフェの雰囲気も魅力的だったので、何か一つというより色々な要素が見事にかみ合ったという風に思います。

 

 

それで、このあたりでブログのタイトルで書いていることに触れます。

 

映画『コーヒーが冷めないうちに』ー150回(粒)泣けますー

 

これは想像や誇張ではなくて、実際に正確に測定しました。かなり混んでいる映画館で観ましたので、絶対に他の方の迷惑にならないように、音や不審な動きなどしない範囲で、映画を観ながら涙の粒をカウントしていきました。その結果が150粒。僕は役者として活動する傍ら「涙活」という活動に携わっておりまして、日々、感動や涙について研究したり涙活を実践して毎日涙を流しています。なので、ものすごく涙を流しやすい体質にはなっています。ですのでこの数字が一般的な数字とはおそらくかけ離れた値にはなっているかと思います。ただし、何かまじないのようなことをして泣いているわけではなくて、そこには間違いなく150粒分の感動があります。

 

『コーヒーが冷めないうちに』は小説、映画共に ー4回泣けますー というコピーを採用していて一躍有名になったいま、やはり4回泣けるか泣けないか論争のようなことが起こっています。

 

人によって何に感動するかというのは違います。親子愛に強く感動する人もいれば、そこにはあまり感動しない人もいます。スポーツものに感動する人、動物者に弱い人、人それぞれです。また、平均的にどれくらいの涙が出るかというのも人それぞれで、涙がものすごく出やすい人もいれば、大人になってから泣いた記憶がない、という人もいます。そのことが不思議で面白くて、僕は感動や涙を研究しているのですが。

 

なので、例えば映画を評価する際に、必ずしも自分が泣けるから良い作品、自分が泣けないから悪い作品、ということは一概に言えません。しかし映画や小説のレビューを観ていると、自分の好みや感性の部分と、作品に対する批評の部分がごちゃ混ぜになっているようなものも散見されます。

 

今や作り手側のPRと同じくらい、第三者のレビューなども大きく動員に影響したりする時代なので、本来この映画を観て思いっきり感動できるはずの人がレビューを観て不安になって観るのを辞めてしまったりしたら悲しいなあと思っていました。

 

そこで、僕のできることとして、レビュー上で議論をふっかけたりするわけではなく、実際に映画を観て、涙を測定して、その数字を声を大にして叫ぼうじゃないかと思ったわけです。150粒も涙を流した人もいるよ、と。

 

人の心、特に感動や涙というのは凄く繊細で、作品の質はもちろん、前評判として良いものを見たか悪いものを見たかの違いだけでも実際に作品を観た時の印象が変わったり、それによって泣けるものも泣けなくなったりします。観る前から不必要な悪い評判にふれることは幸せなこととは思いません。もちろん前評判が良すぎてハードルが上がりすぎてしまった、という例もあるので、期待感を煽りすぎてしまうのも慎重になるべき部分はありますが。

 

ー4回泣けますー のコピーは、ある人が見たら「わざわざ回数とか言わなくても」と思うかもしれませんし、ある人が見たら「凄い感動できる映画なんだ!観てみたい!」と思うかもしれません。ただ、少なくとも肯定的に捉える人が多いから、長い映画史の中でこういったコピーが生き残っているのだと思います。

 

冒頭にも書きましたが僕はとっても好きな作品なので、多くの人にこの映画に出会ってほしいし、観ようか迷っている人がいたら後押ししたい。だから今回こんなブログを書いてみました。いざ書いてみて、こんなブログに影響される人がいるのだろうか。このブログを読んで不快に思う人はいないだろうかと不安も押し寄せてきておりますが。

 

ともあれ、素敵な映画に出会えて本当に嬉しかったです。映画『コーヒーが冷めないうちに』応援します!!!