昨日、読書の秋だね〜なんてブログを書いたもんで、早速今日は読書感想文を書きたいと思います。今回読んだ本はこちら。

 

PROOF OF GENIUS 天才の証明 / 中田敦彦著

 

 

まず最初に気になるのはタイトルですよね。タイトルに「天才の証明」と書いてあって、中田さんの顔写真が大きく載っています。中田さんのキャラクターも相まって、ああこれは中田敦彦という人間がいかに天才かを証明してくれる本なんだな、と理解します。

 

そう思ってからの、帯の文言。

 

「あなたには才能がある 私がそれを証明する」

 

おい、そこのお前!今この本が中田の天才性を証明する自己顕示欲にまみれた本だと思っただろう。それも無理はない。まずそう思わせるように仕向けたのだから。とほくそ笑む中田さんの顔が浮かびます。

 

 

しかしこのタイトルと帯の文言、表紙の作り込みに既に中田さんの天才性が見え隠れしているという点において、中田さんがいかに天才かを証明する本というのもあながち間違いではないようです。ちなみに本文を読み進めていくと中田さんがいかに天才かがますます浮き彫りになります。

 

 

本の中身は小項目で30まであるので全部の感想は書きませんが、僕がこの本で特に印象に残ったことについて書きたいと思います。

 

 

◎才能について

 

この本の中で「才能」という言葉がたくさん出てきます。その中でなるほどなと思ったのは、才能は発揮される場所があってはじめて発揮されるということ。こう文章にすると当たり前のようにも思えますが、これは既存の社会、業種やコンテンツの中で、自分に合うものを選べと言っているわけではありません。自分の才能が発揮される場を自分で作ってでも、才能を活かせる場所で戦え、と言っています。それを実行に移すことは決して簡単なことではありません。だからこそ、その実例としてのオリエンタルラジオやRADIO FISHとしての活動、その舞台裏が本の中で語られているのは本当に参考になる部分が多いし、何より背中を押されている気持ちになります。

 

また、才能を発揮することに関して、まずは自分の才能を見つけることが大事だと書いてあります。しかも、ピンポイントで、本当に一番輝けるのは何かを探していくことが大事だと。本の中では「お喋りが上手い」というのにも、笑わせるのが上手い、説得するのが上手いなど色々あるという例が書かれていますが、これは例えば「芝居が上手い」でも、リアルな芝居ができる、役幅が広い、強烈なインパクトを出せる、など色々あると思います。リアルな芝居にもさらに分類があって、心理や感情に対する深い理解からくるリアリティや、形態模写的な意味でのリアリティもあって、それぞれに求められる才能も確かに変わってくると思います。また、自分で自分の才能を見つけることの限界についても書かれていて、思い返してみると自分でない誰かによって見出された能力や評価されて気付いた部分ってあるなぁと思いました。

 

 

◎価値観について

 

本の中で「価値観」についても触れられています。今の世の中の価値観というのは今のものに過ぎない。変動することもあるし、国によって、人によって違うことも大いにあります。そんな中で「今ここにある価値観」に縛られることのリスク。価値観に縛られていると新しいことを生み出す上で障害になる。それは結果的に、自分の才能を活かして戦える場を作る、ということに対してもハードルになってしまいます。芸能の世界ではテレビやネット、フィールドの違いで求められることも変わってきます。今ここにある価値観を鵜呑みにしないこと。そのために「なぜ今の価値観は生まれたのかを理解すること」も重要だと考えました。

 

 

◎人と人

 

RADIO FISHでの活動についても本の中で紹介されていて、その中でもそれぞれのメンバーの長所について書かれている部分に惹かれました。今ではすっかりRADIO FISHファンでもある僕ですが、RADIO FISHがなぜ面白いのかというと、個々の魅力や才能はもちろん、才能を活かしあえるチームであるからなのだと思いました。中田さんをはじめとするメンバーそれぞれが、長所を認め合える空気を作って活動していることや、個々のメンバーもチームの中で何ができるか、ということを主体的に考えている結果なのかなと思いました。一見チームではなく単体での活動に見える役者の活動なども、事務所や作品毎のスタッフ、共演者の方々など、多くの方との共同作業で成り立っています。その時に「自分」を軸に自分の才能について考えるというベースはもちろん、その時々のチーム、集まりにおいて、この中で自分が一番できることは...と考えるのはどんな活動においても重要だと感じました。

 

 

 

お笑い芸人でありアーティストでもある、という肩書や括りや中田さんにとってどうでも良いのかもしれませんが、事実それぞれの方面でプレイヤーとして大活躍されている中田さんがこれだけプレゼンや言語化に長けていて、この本や色々な場で思考をさらけ出してくださるというのは僕たちタレントにとっても本当にありがたいことです。吸収するだけ吸収して、自分も芸能のフィールドで大活躍できるよう頑張らねばと思います。中田さんの素敵な本に大感謝!!!

 

 

 

僕は今、役者として活動しています。一方で、ここ2年ほど「涙活」という活動に携わっていて今では「涙ソムリエ」として感動や涙について研究したり、感動作品を紹介したりもしています。最近思っていることなのですが、感動や涙に特化した表現者でありつつ研究者でもある人はいないのではないかと思っています。

 

自分自身がプレイヤーであるからこそ、涙を流すとは、感動するとはどういうことかというのが実感を持ってわかりますし、またそれを研究していくことで表現に深みが出たり幅をもたせたりすることもできるかもしれません。自分自身が被験者となってこの分野の研究を進めていくこともできます。人生の中でできることが限られているのであれば「感動」に特化した研究者であり表現者である、そんな風になれないかと模索している今日このごろです。

 

と、自分の宣伝にもなってしまいましたが、そんな中でこの本に出会えたことで、多くのヒントをいただけた気がします。僕も僕のフィールドでがんばります。