ステレオサウンドにコッソリ載ってた(笑) | UNTITLED

ステレオサウンドにコッソリ載ってた(笑)

年4回発売のハイエンドオーディオ専門(?)雑誌『STEREO SOUND』の現在販売中の223号は、55周年特別企画として「オーディオの殿堂 未来に語り継ぎたいオーディオコンポーネント105選」という特集記事が掲載されています。

 

 

季刊ステレオサウンド No.223 2022年 SUMMER

 

この特集では、オーディオ評論家の個人的見解だけでなく、読者によるWebやハガキなどによる投票で選ばれたこれまでに発売されてきたオーディオの銘機が掲載されております。

もっとも、完全にフリーな投票ではなく、編集部が提示してきた機器のなかから、個人的に思い入れがあったり、後世に残していきたいと思うオーディオ機器を選んで投票する・・・という形式だったため、「あぁ、このスピーカーが入っていない」「このアンプに投票したかったのに」という方も多かったのではないかと思います。

 

全部で2700の投票があったそうですが、そんななか、当方も思い入れのあるオーディオ機器を10機ほど選択して投票させてもらいました。

 

あぁ、オイラが投票したこのスピーカー105選に選ばれたなぁ・・・とか、感慨にふけりながら読んでいたのですが、「読者が選ぶオーディオの殿堂」というページで、コッソリ私の投票内容が掲載されておりました。

 

 

なんかうれしい。(笑)

 

 

というわけで、なぜこの機器に投票をしたのか、思い出と一緒に簡単に書いておこうかなと思います。

 

 

まずは「アヴァロン Osiris」。

1997年にAvalon Acousticsから発売になった、高さ189cm、重量400kgという超大型フラグシップスピーカーでした。

当時、父親が買ってきたSTEREO SOUND誌の表紙にもなっており、その威厳のある凛とした佇まいに魅了され、まだオーディオ沼に足を踏み入れる前でしたが、憧れのスピーカーになりました。

その後、オーディオ沼にハマってからオーディオイベントでDiamondを聴いて感動し、その後さらにしばらく経ってからようやく某オーディオショップで中古のOsirisを聴くことができ、Diamond以上の圧倒的なスケール感と定位に感動して目頭が熱くなったのが懐かしいです。

ちなみに、現在はAvalonの音響理論を突き詰めた究極のフラグシップモデルとしてTesseractという超ド級の化け物スピーカーが出ておりますが、まだ聴いたことがありません・・・

 

 

次に「アバンギャルド Trio + 6Basshorn」です。

これは、オーディオ沼にハマるきっかけになった、大学を出て一番最初の勤め先での体験が元になっています。

その勤め先では、ボスがオーディオ好きで様々な機器があったのですが、ある日、ボスがヨーロッパ出張の際に、まだEsotericが日本でのAvantgarde Acousticの代理店になる前にTrioを輸入してきたのです。

当時は未だBasshornはラインナップには無く、サブウーファーが方チャンネルに2台ついてくるモデルだったのですが、事務所に設置されたそのTrioを、ボスが不在の際には目いっぱい鳴らし込むことができたのです。

その時に聴いたTrioの超高能率なホーンスピーカーならではの解放感と鮮度の高さに感動した記憶が鮮明に残りました。

その後その会社を退職してしばらく経ってからインターナショナルオーディオショウで6Basshormが追加されたTrioを聴き、フルオーケストラやジャズのビッグバンドが目の前に「存在する」錯覚に陥り、当時の勤め先でTrioを聴き込んだ記憶が蘇ってさらに深く感動したのでありました。

 

 

次の「ウィルソンオーディオ X1/Grand SLAMM」です。

コチラも上記のAvantgarde AcousticのTrioと同じ当時の勤め先に、Trioが導入される前から設置されていたのがWilson AudioのX1/Grand SLAMM IIでした。

大学を出たばかりのアンチャンの勤め先にコイツがあって、MarkLevinsonのCDトランスポート、D/Aコンバータ、プリアンプ、パワーアンプで駆動されているわけです。

しかも、仕事終わり、ボスが居ないときだったら遊んでても良いよ・・・ということになったら、オーディオ沼にハマらないわけがないわけです。

しょっちゅう鳴らしてみたいCD、いつも聴いているCDを家から仕事場に持っていき、仕事終わりに聴いては自宅のプアなオーディオとは全く世界の違う異次元のスケール感、奥行き、緻密さに打ちのめされ、いつか自分の家でもこんなウルトラハイエンドスピーカーで音楽を聴いてみたい・・・と夢を見ていたわけです。

そんなわけで、オーディオ沼の入り口となったWilson AudioのX1/Grand SLAMMは私的オーディオ殿堂入りなのであります。

 

 

お次は「オンキョー Grand Scepter GS1」と「マランツ Project T1」。

Grand Scepter GS1は2004年に吉祥寺のMEGで交流を持たせていただいていたオーディオ評論家の長澤祥さんのお宅で聴かせていただき、ステージの広さや奥行き、抜群の定位の良さに感動をしました。今にして思えば、この頃から「空間表現」というのが自分がオーディオに求める軸になったのかもしれません。

そしてこのGrand Scepter GS1は、こちらも以前の勤め先に保管されており、さらにmarantzの大型真空管パワーアンプProject T1も同じ場所に保管されておりました。で、ボスに「鳴らしてみたい!」とお願いをしたところ、「ちゃんとセッティングするんだったら良いよ」との承諾を得てじっくりと聴き込むことができました。

ONKYOがタイムドメイン理論に基づき技術、物量を惜しみなく投じた当時のフラグシップスピーカー「Grand Scepter GS1」、前述の通りステージの広がりや奥行き、各楽器の定位が抜群で、姫神の「神々の詩」を聴くとスピーカーよりもはるかに左右に広大に音が広がっていき、音に包まれる感覚が最高でした。

そしてそのGS1をしっかりドライブして豊かな温かさを与えていたのがProject T1でした。長澤さんのお宅で聴いた時は、良く言えば解像度が高く、悪く言えば生真面目が過ぎてややヒステリックになりそうな感覚がありましたが、Project T1でドライブされたGS1は非常に懐が深く、ヒステリックに感じることは一切なくスピード感のある低域にも感動し、真空管アンプの「凄み」を堪能できた最初の経験でした。

 

 

お次は「ジャーマン・フィジックス The Gaudi」。

これも2004年頃、まだTimelord社がGerman Physiksの代理店だったころ、Timelordの本社試聴室で開催されたイベントで聴きました。

試聴室に入るなり、もはや部屋の壁と一体化しているような巨大なThe Gaudiからオーケストラのクラシックが流れておりました。ボリュームは絞り目でしたがとても自然で広大なステージが出現し、コンサートホールに居るような錯覚に陥りベンディングウェイブ方式のDDDドライバの実力を実感しました。

試聴会イベントでは菅野沖彦さんがご自身のオーディオルームにも導入したDDDドライバについて熱く語っていらっしゃいましたが、思えばこの時の感動が同じくベンディングウェイブ方式のMANGERユニットを搭載したAudio PhysicのMEDEAを購入したきっかけだったかもしれません。

そんなわけで、その後のスピーカー購入に大きな影響を与えてくれたThe Gaudiも私的オーディオの殿堂入りスピーカーです。
 

 

お次は「ダイヤトーン DS-V9000」です。

そもそも自宅にオーディオらしいオーディオが来たのは私が中学生の頃で、ある日父親がDENONのCDプレイヤー、SANSUIのプリメインアンプ、そしてダイヤトーンのスピーカーDS-600Zを買ってきた・・・というのが私のオーディオとの出会いでした。(それまでもラジカセやTechnicsのシステムコンポはあった)

なので、大学時代にその後の勤め先になる会社でウルトラハイエンドオーディオに触れるまで、ズッとDIAONEスピーカーで育ってきたわけです。

既にその頃のDIATONEは3wayまたは2wayのユニット構成のスピーカーしかなく、4wayユニット構成のDS-3000やDS-5000、そしてDS-V9000は憧れの存在でした。

その後、社会人になって4年目の2003年に憧れが高じて当時使用していたTAOCのFC3000を売却し、DIATONE最後の4wayスピーカーDS-V5000を購入したわけです。

こちらも、本当はDIATONE最大の4wayスピーカーDS-V9000が欲しかったのですが、良い出物がなかったのと、部屋に運び入れられない(これが一番大事)ため、DS-V5000を迎え入れ、Audio PhysicのMEDEAを買うまで聴き込んだのでありました。

そんなわけで、DS-V9000はDIAONEで育った私の憧れの存在だったので、こちらも私的オーディオ殿堂入りスピーカーなのです。

 

 

お次は「ビビッド・オーディオ G1 GIYA」と「ゴールドムンド Telos5000」です。

VIVID AudioG1 GIYAは言わずと知れたB&WのNautilusを作った鬼才、ローレンス・ディッキー氏がNautilusの構想をアップデートして作り上げたフラグシップスピーカーで、異形とも言える形状のこのスピーカーを初めてインターナショナルオーディオショウで見て大きな衝撃を受け、その異形な巨躯から「この異形なスピーカーの存在が消える」ような豊かな音場、演奏そのもの音楽そのものが目の前に広がる全く経験のない音楽体験が出現し、「いつか、絶対にこのスピーカーを買ってやる!」と心に強く決めました。

その後、なんだかんだで本当に手に入れることができ、今日も我が家で新しい音楽体験をさせてくれています。(苦労の方が多いですが)

なので、オリジナルのNautilusよりも、VIVID Audio G1 GIYAは個人的オーディオの殿堂入りスピーカーなのです。

ちなみに、GOLDMUNDのTelos5000パワーアンプは、VIVID AudioのG1 GIYAと同じタイミングで、インターナショナルオーディオショウのステラ(当時はステラヴォックス)ブースで登場し、G1 GIYAを駆動していたのですが、まるで冷蔵庫の様な巨大な筐体、連続最大出力が2Ω時に5000Wという化け物パワー、ペアで3800万円という「家?」という販売価格に驚愕しましたが、それ以上に、ここまでの巨体でここまでのパワーなのに、GOLDMUNDならではの「静寂」や「透明感」の極致を体験させてくれてただただ唖然としてしまいました。

 

 

最後は「リン Sondek CD12」。

LINNの製品はどれも無駄がないデザインで、出てくる音も変なクセがなくスッと音楽に入っていくことができます。

そんななか、Sondek CD12はCDプレイヤーの金字塔として評価されてきたと思いますが、実際にオーディオイベントや吉祥寺MEGの元オーナー寺島靖国さん宅で聴いた時にもその実力を痛感しました。

ただ、個人的にはプレイヤーからスピーカーまで全てのオーディオコンポーネントをLINNで統一されていると、尖ったところが全くないのでやや退屈に感じてしまいます。

しかし、そんなかSondek CD12は何とかして自分のオーディオに取り入れられないか・・・と、本気で考えてしまうほど魅力的なCDプレイヤーでした。

ですが、LINNはディスクメディアと早々に決別し、ユニバーサルプレイヤーのUNIDISK1.1を最後にネットワークトランスポートへと舵を切ってしまいました。

なので、Sondek CD12の後継機種を購入することは叶わず、UNIDISK1.1を手に入れたのでありました。

本当は買って自宅オーディオに組み込みたかった幻のCDプレイヤー、Sondek CD12もまた、個人的にオーディオ殿堂入りのコンポーネントなのでありました。

 

 

 

今回のステレオサウンド誌の「オーディオの殿堂 未来に語り継ぎたいオーディオコンポーネント105選」にはいろいろと思うところがある方もいらっしゃるでしょうが、個人的には今までの自分のオーディオ体験を振り返ることができた良い機会になりました。

 

また是非、読者参加型の企画をお願いします!!