YUKIMUのバキューム式レコードスタビライザー『CVS-1』を使ってみた | UNTITLED

YUKIMUのバキューム式レコードスタビライザー『CVS-1』を使ってみた

さて、先日届いたYUKIMUのバキュームスタビライザー『CVS-1』を使って見ました。

 

ターンテーブルのレコードのバキューム機構と言えば、エアーポンプでレコード裏面の空気を抜いて真空状態にしてレコードとターンテーブルを密着させるもので、昔からいくつものプレイヤーで導入されているモノではありますが、最近の機器でもっとも高品位に導入しているレコードプレイヤーっと言えば、TechDASの「Air forceシリーズ」でしょう。

 

 

そんなバキューム機構を、使用しているレコードプレイヤーでお手軽に使える様になるのが今回の『CVS-1』なのであります。

 

8月末にニュースサイトでリリースを見た瞬間に予約をしてしまいました・・・

 

 

というのも、以前、吉祥寺のジャズ喫茶MEGのオーナーだったジャズ評論家の寺島靖国さんがウチに来た際に「後藤さん、レコード聴いてないでしょ。レコードの方は手、抜いてるよね。」とバレてしまったため、重い腰を上げて(笑)TRIODEのフォノイコライザー「TRX-EQ7」を導入したり、スタビライザーを変えてみたりと程ほどにやって来たのですが、TechDASの「Air force Zero」で感動をしたバキューム機構に手が出せる・・・ということで、速攻予約に走った訳であります。

 

まぁ、税込み10万円前後だったTEACの「TN-550」に定価16万5000円のバキュームスタビライザーを使ってどうするんだ?というのは置いていくとして・・・。

 

 

 

 

で、まずは開梱の儀式。

 

 

段ボールを開けるとマニュアル・・・の前に「<ご使用前>のご注意」なる紙が。

 

注意書きには以下の様な注意が書かれております。

 

 

1.レコードプレイヤーのスピンドル長が20~22mm以上あると使用出来ない場合がある。(プラッターにマットを敷いて調整をすると使用出来る場合もある)

 

2.スピンドルにマグネシウム・ディスクを装着しにくい場合は、スピンドルに軽くずいぶんを付ける。

 

3.レコード再生音に異常がある場合、レコード盤とアームが水平になるように調整する。

 

4.ホースが長い場合、ホールを切って調整する。

 

5.レコード盤に大きな変形(裏反りや部分的な反り)がある場合は吸着が出来ない場合があるので、再吸引するか別売の吸着アダプターを使用する。

 

6.別売品、メンテナンスサービスの内容はYUKIMUのHPを参照する。

 

 

買った後で「20~22mm以上のスピンドル長があると使えないよ」って言われても困るよね。

 

 

 

それはさておき、箱に入っていた機器一式を並べてみました。

 

 

まずはこちら。

 

 

バキューム機構の心臓部であるポンプを内蔵した「サクションBOX」。

一見重量がありそうなサクションBOXですが、木製の箱にウレタン塗装をしただけらしく、奥行き108mm、幅138mm、高さ96mmほどあるのに560gの重さしか有りません。

 

 

お次はこちら。

 

 

吸引スタビライザー。

コイツに先ほどのサクションBOXから出ているホースを繋いで使用します。

真鍮とマグネシウムのハイブリッド構造になっており、このサイズで480gほど有るので、こちらは先ほどのサクションBOXに比べてかなり重量を感じます。

 

 

そしてお次は一番の大物。

 

 

マグネシウム・ディスク。

コイツをターンテーブルに乗せ、コイツの上にレコードを乗せて、先ほどの吸引スタビライザーでレコードを押さえつつバキュームをしてレコードをこのマグネシウム・ディスクに密着させるわけです。

かなり精度の高い造りなのですが、段ボールの中にクッション材なども無く、ビニールにくるまれることも無く入っているので段ボール屑がたくさん付着してしまっているのが残念です。

使う前に掃除から始めなきゃ・・・

 

 

そしてサクションBOX用のACアダプタ。

 

 

ちゃちいです。

でもまぁ、こんなもんでしょう。

 

 

 

 

さて、マグネシウム・ディスクの掃除を終え、ターンテーブルの上に乗せます。

 

サクションBOXに電源を供給し、サクションBOXから出ているホースを吸引スタビライザーのプラグに差し込みます。

ちなみに、吸引スタビライザーに差し込んだホースですが、一度しっかり差し込んだら簡単には抜けません。

 

 

 

さて、一通り使う前の準備は終わりました。

箱を開けてからここまでの所要時間は約10分。

割と簡単に準備出来ました。

 

 

では早速、CVS-1のマグネシウム・ディスクにレコードをのせて、レコードを吸引スタビライザーで固定したらサクションBOXの電源ボタンをONにして吸引の開始です・・・

 

 

 

 

 

吸引の様子をYoutubeに載せましたので見て頂ければと思いますが・・・分かりますかね?

 

ヴゥゥ~~~~と、ポンプが動く音が続き、少しずつレコード背面の空気が吸引されてマグネシウム・ディスクに密着していきます。

 

側面からみると、マグネシウム・ディスク端のゴムとレコードがどんどん密着し、ゴムが反り返っていって密着している様子が分かります。

 

上面からみると、反っていた(?)レコード盤面が小さな音を立てて真っ直ぐに伸びていくのが見えます。

重量盤よりも普通の厚みのレコードの方が違いは分かりやすいと思います。

 

 

約20秒の吸引が終わるとポンプの動作音が止まり、サクションBOXの電源ボタンが点灯から点滅に変わります。

 

 

そうしたらレコードを聴く準備は完了。

ターンテーブルを回転させてレコードを再生していきます。

 

ちなみに、吸引スタビライザーとサクションBOXを繋いでいる吸引ホースは、ターンテーブルの回転には特に影響は無さそうです。(当たり前か)

 

 

 

ゆっくりレコードに針を落としていくと、今までのスタビライザーでは感じたことのなかった、まるでターンテーブル自体に針を落とすような盤面のどっしりとした安定感に感動します。

そうそう、この感覚を味わいたくてバキュームスタビライザーを買ったんですよ。

 

 

 

針を落とした後の滑らかなカートリッジヘッドシェルの動きを見ていると、燕三条で精密加工された吸引スタビライザーとマグネシウム・ディスクの性能を実感できます。

 

 

では、音はどうか・・・というと、なるほど、これが「安定」なのかと実感できる低域のどっしりとした伸びと、高域の活き活きとした響き、そして定位の存在感。

 

ジョン・マクラフリンとアル・ディ・メオラ、パコ・デ・ルシアのギタリスト3人によるライブ盤「FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO」の当時の国内盤を再生してみると、通常のスタビライザーを使用して聴いていたよりも、アル・ディ・メオラとパコ・デ・ルシアの立ち位置が今まで以上にハッキリとしただけでなく、ギターを指で弾いた時の細かい音のニュアンスがより生々しく聴こえてきて、以前、吉祥寺のMEGでのイベントで神代さんがこのレコードをかけた時に感じた感動が蘇ってきて少し鳥肌が立ちました。

 

盤の状態も決して良いものではないのですが、それを忘れて聴き通してしまいました。

レコードがビッタリとマグネシウム・ディスクに密着して固定されているため、カートリッジの針圧がしっかりとレコードに伝わったのでしょうか。

 

なるほど、これが我が家で聴くレコードの世界か・・・

 

 

 

レコードを聴き終わったら吸引スタビライザーを取り外して、マグネシウム・ディスク端っこのゴムを指で少し下げてやると、レコードとマグネシウム・ディスクの間に隙間ができて空気が入り、簡単にレコードを取り外すことができます。

 

 

なるほど、これはレコードと聴くときの新しい儀式になりそうです。

 

 

 

 

と、CVS-1の導入はかなり感動的な結果となりましたが、1点、大きな問題があります。

 

商品説明では「バキュームのモーター音は40~45dBという消音設計ですので、音楽再生の邪魔をすることはありません。」と書かれていますが、最初の吸引の後、レコードを再生しながらも8分後、16分後、24分後に再吸引をする際のポンプのモーター音がやはり気になります。

 

特に我が家のような狭い部屋で、しかも音楽のボリュームがそこまで大きくない楽曲や演奏の場合では、この片面を聴き終わるまでの3回の再吸引がかなりネックとなってきます。

間欠吸引ということで、一定間隔で再吸引を行うことでレコード盤の吸着を維持する仕組みだ・・・というのは理解しているのですが、音楽と関係のない「ヴゥゥ~~~~~」というポンプの動作音がどうしても気になってしまうのです。

 

このサクションBOX、もう少しポンプ音が抑えられるような頑丈な仕組みにできなかったのかなぁ・・・

 

 

 

 

 

しかしながら、この安定感と音質の向上は代えがたいものがあります。

 

あとは、このサクションBOXの処理をどうするかが課題かな・・・・

チョット、いろいろと試してみたいと思います!!