追悼、野口茜さん
ピアニストの野口茜さんが亡くなったという情報をネットで見て「まさか」との思いで慌てて情報収集をしてみましたが、残念ながらこの情報は本当でした。
38歳です。
まだまだ若いし、お子さんも小さいし、これから円熟味を醸してくるピアニストなのに。
本当に残念でなりません。
白血病で闘病中というのは知っていましたし、Instagramでも闘病の様子やご家族との温かい写真を拝見していましたが、急過ぎませんか・・・・
野口さんご本人、残されたご家族の方々、本当に悔しいと思います。
心からお悔やみ申し上げます。
野口さんのピアノはとても快活で、ライブでは全ての人を楽しい気持ちにさせる様な演奏を聴かせてくれました。
最後に野口さんのライブを聴いたのは2019年8月でした。
そのライブでも素晴らしい演奏を聴かせてくれましたし、休憩時間中も楽しくおしゃべりをさせてもらいました。
2017年にクラウドファンディングで制作したアルバム『NOGUCHI AKANE PianoTrio meets ERIC MARIENTHAL LIVE at AKASAKA Bb,TOKYO』はジャズ批評の「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム2017」でも書かせて貰いました。
このアルバムは1曲目と2曲目は野口さんのピアノとERIC MARIENTHALのサックスのDUOなのですが、その2人の掛け合いが素晴らしいのです。
1曲目の「My Romance」は冒頭の野口さんのピアノソロから「おっ!」と身を乗り出してしまいそうなメリハリ、陰影のある演奏で一気に引き込まれ、ERICのサックスが合流してからはまるで2人で長い間ドサ回りをしてきたのでは無いかと思うほど息の合った演奏に心が弾み、8分48秒というやや長めの演奏がアッと言う間に終わってしまいます。
2曲目の「Fiesta」では1曲目の朗らかとした楽しい演奏から急に雰囲気が変わり、野口さんの作曲者として、ピアニストとしての見事な構成力のあるドラマチックな演奏にERICのサックスが合流する前にノックアウトされてしまいます。そしてERICが合流してからは楽しそうでありながらも真剣勝負の掛け合いに、聴く方の体温もどんどんと上がってきてしまいます。
あぁ・・・・この土曜日、このアルバムを何回繰り返し聴いたでしょう。
今でも燦然と輝く名演奏に心を熱くしながら野口茜さんを心から追悼しています。
野口さん、辛く苦しい闘病生活から解放され、そちらの世界で素晴らしいピアノを奏でて下さい。
合掌