銀座ブロッサム中央会館の圓朝祭で歌丸さんの噺を聞いてきた
7月16日の日曜日、炎天下の銀座に行って参りました。

今日は銀座ブロッサム中央会館で開催60周年の圓朝祭が開催されるのです。
しかも、本日の大トリは先日まで入院をされていた落語界の重鎮、桂歌丸さんが務めるのです。
そんなわけで、会場に行く前にちょっと腹ごしらえを・・・と思い、有楽町駅から会場までの道すがら、目にとまったラーメン屋に入ってみることに。

「香味徳」という牛骨でスープをとっているラーメン屋さん。
鳥取では牛骨でスープをとるラーメン屋さんが多いらしく、このお店も数年前に銀座に進出されたそうです。
兎にも角にも、鳥取県には行ったことがないし、牛骨でスープをとっているラーメンというのは食べた記憶がないので、お店のスタンダードなラーメン「香味徳ラーメン」を注文してみることに。

なんだかあまり見ない雰囲気のスープの色と香りに圧倒されつつ、まずは一口スープだけを飲んでみると・・・あれ?なんだろう。
なんだか妙に親近感を覚える味なのはなぜだろう??と思っていたら、そうか、韓国料理のコムタンスープの雰囲気なんだ。
あれをもっと上品に、濁りをとったスープになるとこんな感じになるのかもしれないな・・・と思いながら、スープによく合う細い縮れ麺をいただき、あっという間に完食。
でも、なんでスープは牛骨でとっているのにチャーシューは豚なんだろう?
兎にも角にも、とてもおいしかったです。
ごちそうさまでした。
というわけで、お腹もいっぱいになったのでいよいよ銀座ブロッサム中央会館に向かいます。
道中、かき氷とパンケーキで有名な「雪ノ下」の前を通ったら、やはりというかなんというか、当たり前のように長蛇の列。
落語の帰りに寄ろうかな・・・と思いましたが、これでは無理だろうなぁ・・・
そんなことを思いながら会場に到着すると・・・あれ?会場の周りにお客さんがいないぞ??
訝しがりながら会場の入り口に回ってみると、うん、ちゃんとやってるよな・・・

で、フとチケットを見てみると・・・・しくじった!!!
開始時間を思いっきり間違えておりました!!!
開場時間が11時30分で開演時間が12時から。
しかし、今の時間は・・・13時少し前!!
うわぁ~~~っ!!
しくじったぁぁ~~~!!
大慌てで会場に入ると、すでに2つほど噺は終わっていて、ちょうど3人目の瀧川鯉昇さんの「蛇含草」が始まったばかりとのことで、ホール内に入ったところでこの噺が終わるまでの間、立ち見をさせてもらうことに。

まだ枕が始まったばかりだったので、立ち見ながら枕から本編までしっかりと楽しめました。
鯉昇さんの噺は生で初めて聞きましたが、いやいや、枕の見事さはさることながら、蛇含草本編のキャラクターの描き方が素晴らしくて、餅を食う様は終始笑いっぱなしでした。
そんな鯉昇さんの噺が終わり、自分の席に移動すると、隣の席には会社の大先輩。その隣には会社の大大先輩。その隣には会社の偉い人。
遅刻してしまったのでチョットばつが悪い感じで会釈をして次のお話、柳家喬太郎さんの「死神」をじっくり堪能。
落語の凄さを感じるのが、何度も聞いているわかりきったネタなのに噺家さんによって全く違う世界観があるところ。
そういう意味では、やっぱり落語とジャズとは相通ずるところがあるんですねぇ。
だからジャズ好きには落語好きの人が多くて、一癖も二癖もあるんですなぁ。(人のことは言えませんが)
そんなことを感じながら喬太郎さんの死神を聞いていると、終盤のなんとも悪いタイミングで会場のどこかで携帯電話が鳴り出してしまいました。
しかし、ここが喬太郎さんの凄さだと思ったのですが、死神と主人公との掛け合いのシーンだったため、急遽その携帯電話を噺に盛り込み、笑いを倍加させていきます。そのあまりにスムーズな盛り込み方に「実はこの携帯電話の着信音は仕込みなんじゃないか!?」と疑ってしまうほど。
そんなところに感動しつつ、喬太郎さんの「死神」も終了。
ここで仲入りということで、15分の休憩時間。
改めて会社の諸先輩方に挨拶をしてトイレ休憩。
休憩が終わると、次は柳家権太楼さんの「代書屋」。
枕というか、本人曰く「時間つなぎ」で爆笑し、これまた有名な噺の代書屋も名人芸で飽きさせるところは一切なし!
70歳とは思えないマシンガンのような代書屋と素っ頓狂な男とのやりとりはただただ爆笑。
そんなマシンガンのような語り口調でも、しっかりと代書屋の心情を小声のぼやきと間とで表現され、目の前で噺の中の主人公たちがやりとりしているのが見えてきます。
そして、権太楼さんの「代書屋」が終わると、いよいよ本日の大トリ。
桂歌丸さんのお熊の懺悔(真景累ヶ淵より)。
いわゆる怪談噺で、話を聞けば内容をなんとなく知っている人も多いんじゃないかという作品。
酸素吸入器を鼻につけた歌丸さんは、細く、小さく、笑点の司会をしていた頃の雰囲気はありません。
本当に最後までこの話を続けられるのか・・・・
とんだ杞憂でした。
枕は殆どなく、いざ話が始まると、このシリアスな噺を朗々と語りあげ、その声量、声の張りは全く衰えを感じません。
これが筋金入りのプロ、名人なのかと感動をしてしまいました。
殺しの場面では切迫感と緊張感がビンビンと伝わってくるような語りになり、新吉とお賎と作蔵のやりとりが見えてきます。
途中、数秒間話が飛んでしまう事がありましたが、そこからの持ちかえしも流石でした。
歌丸さんの芸を見て、聞いていると、確かに今の一発屋的な芸人や、それをただただ消費しているテレビの作り手側の仕事は本当にプロの仕事なのか?と、歌丸さんが先日発した小言がいかに説得力があるのかを実感してしまいます。
本当に命をかけて芸をやっているのか?番組を作っているのか?・・・などと、生意気にもそんなことを考えさせられる歌丸さんの名人芸でした。
圓朝祭も終わり、会場を後にします。
会社の大先輩とはここでお別れし、大大先輩お二方と喫茶店を求めて軽く放浪。
SUZU CAFEでパフェを食べて、GINZA SIXを見て回り、解散となりました。
解散後、オイラはさらにかき氷を求めて放浪するも、時間が時間(17時頃)で、お店に行ってもかき氷が売り切れだったり閉店していたり・・・
途方に暮れつつ歩いていると、中華料理店の「麒麟」のCAFEコーナーはギリギリ注文できそう!!!
ということで急いでお店に飛び込んで「六豆黒蜜かき氷」を注文!

かき氷自体は普通のクラッシュ氷なのだけれど、上に乗っている6種類の豆が個々の豆の味がしっかりとしていておいしい!
そこに黒蜜をかけながら食べると、黒蜜の甘さと香ばしさが豆と良く合って、かき氷も進む進む。
そしてかき氷の下に入っているアイスクリームが杏仁の香りがたっぷりとしていて、黒蜜とも豆とも最高にマッチしています!
冷たくなった口の中に温かい龍井茶を含むと、お茶の香りと黒蜜と豆の香りがフワーッと鼻に抜けてたまりません!

かき氷とお茶を飲んだだけなのに、なんなんだ、この満腹感は・・・。
お豆の力、恐るべし・・・
諦めないで歩き回って良かったぁ・・・
そういえば、圓朝祭の入場時にもらった団扇、これからの時期家の中でも重宝しそうです。


かき氷の食べ歩きは叶いませんでしたが、圓朝祭、特に歌丸さんの落語を堪能し、GINZA SIXも初めて行って、さらに最後においしいかき氷まで食べられて素晴らしい休日でした。
歌丸さん!!まだまだ5年先も10年先も、落語の芸の力を我々に見せつけてください!!