ある訃報 | UNTITLED

ある訃報

数日前、ある方の訃報が飛び込んできました。



葉山にある料亭日影茶屋の当主、角田庄右衛門さんの訃報でした。






角田庄右衛門さんと初めてお会いしたのは、私がJazz & Latin歌手MAYAさんを特集した本「MAYAのすべて」の制作に関わっていたときのことでした。



本の冒頭にカラー写真を大きく、何枚か掲載しようという話になり、MAYAさんサイドから撮影場所として提案されたのが葉山の日影茶屋でした。



アポイントを取ったところ、角田庄右衛門さんのご厚意により非常にスムーズに撮影の許可をいただけました。



そして写真撮影の当日には、自ら率先して「日影(料亭)の方は今日は休みで何時からでも撮影できるから、営業前のラ・マーレ(日影茶屋のすぐ近くにある系列フランス料理店のラ・マーレ・ド・チャヤのこと)の方で撮影しよう!」と、慌ただしく下ごしらえをしている店内を案内して頂き、いろいろな場所で撮影をさせて頂きました。


本店の日影茶屋では、自らレフ板を持って撮影に参加され、場の雰囲気を最大限に盛り上げて下さっていました。
それはボクの仕事なのですが、至らなさに歯痒く思われてその役を買って出てくれていたのかも知れません。



そして撮影を終えた後には・・・


カメラマンのSakyoさんも、ヘアメイクの釣谷さんとも、この時初めて一緒にお仕事をさせて頂きました(Sakyoさんとは事前に一度お会いして打ち合わせをさせて頂いていました)が、この日の撮影は全員の胸に残っているのではないでしょうか。
Sakyoさんとも釣谷さんとも、今でも仲良くさせて頂いており、恐らく角田庄右衛門さんの様々なご配慮がなかったら・・・こんなに全員が口を揃えて「またあんな仕事がしたい!」という撮影はできなかったでしょうし、Sakyoさんや釣谷さんともあれっきりだったかも知れません。



その後も、ライブ会場でお会いする度に、暗がりでコチラが気付いていないときでも満面の笑みでポンッと肩を叩きながら「元気!?」と声を掛けて下さいました。
未だにその角田庄右衛門さんが亡くなったという実感が持てずにいます。



角田庄右衛門さん、あなたは一期一会の体現者であったのだと思います。


角田庄右衛門さん、あなたにお会いできたことを誇りに思います。


そしてMAYAさん、角田庄右衛門さんに会わせてくれてありがとう。


UNTITLED-MAYAのすべて写真撮影