寺島靖国 & 林正儀 オーディオイベント in オーディオユニオン新宿店 guest MAYA | UNTITLED

寺島靖国 & 林正儀 オーディオイベント in オーディオユニオン新宿店 guest MAYA

ジャズ評論家で吉祥寺MEG店主の寺島靖国さんと、オーディオ評論家の林正儀さんによるイベント『寺島靖国、林正儀両氏と聴く「寺島レコード新譜発表試聴会」』が新宿のオーディオユニオンで開催されました。


8日のJazz & Latin Singer MAYAさんバースディライブの際に、寺島さんから「ところで、12日のイベントは来るんでしょう?」と聞かれ、そのイベントの存在を知らなかったオイラは慌ててスケジュール帳に書き込んだのでありました。



そんなわけで日曜日、新宿のオーディオユニオンに向かいました。




オーディオユニオンに到着したのは13時半前。

イベントの会場となるオーディオユニオンの試聴室を覗くと、林正儀さんがDIWのスタッフと打ち合わせ中で、オイラに気付いた林さんから「あぁ、どうも久しぶり!」と笑顔で声をかけて頂きました。

林さんへのご挨拶をした後、オーディオユニオンや隣のディスクユニオン新宿クラシック館をブラブラしながら時間を潰していると、寺島さんが試聴室に到着。
寺島さんにもご挨拶をして再び店内をブラブラしていると、ドラマーの松尾明さんと、本日のイベントのスペシャルゲストのMAYAさんが試聴室に到着致しました。

MAYAさんから、「この間のサインの件は”なにも言えねぇ”っていう、北島康介みたいな感じの事だからね!」と言われてしまいました。

オイラがブログでイジケていたので「気にすんな」という事でしょうか。

まぁ、実際の所あまり気にはしていないのですが(笑)。


そんなこんなしながら、ディスクユニオンでESOTERICの「カラヤン指揮/ドヴォルザーク交響曲第8番&ブラームス交響曲第3番」を買ったりしながら時間を潰していると、イイ時間になったので試聴室へ。

一番後ろの一番奥の席に座って待っていると、次々に知った顔が・・・

他にも多くのオーディオファンの方々が集まり、すぐに満席状態になってしまいました。


そんなこんなでいよいよイベントは始まっていくのでありました。



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まずはお二人の挨拶に始まり、ブログで書けないような(?)話で盛り上がります。


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そして本日のシステムを紹介。

   スピーカー Avantgatde Acoustic社 uno G2
   CDプレイヤー Accuphase DP-700
   プリアンプ Accuphase C-3800
   パワーアンプ Accuphase A-65


とにかく今日は寺島さんが家でも、MEGでも使用しているAvantgatdeスピーカーで寺島レコードを聴くことに意義があるので、Avantgatdeの中で2番目に小型のモデル「uno G2 (¥2,310,000.-/pair)」を使用。
・・・「これだったら一般人でも死ぬ気になれば買えるだろ?」と言うことなのか??(笑)

ちなみに寺島さんが自宅で使っているのは「mezzo Ω G2」。




ということで、まずは挨拶代わりに松尾明トリオのアルバム『Meet Me In Paris』から「Marcellina」を再生。


「今の音、どうでしたか?」と、お客さんに聞く寺島さん。

う~ん、個人的には、ベースの音の締まりが足りない感じ。ベースの一音一音がもっと明晰に鳴って貰いたいなぁ。

オイラも指名されたのでその旨を言うと、寺島さんは笑っておりました。



次に、10月6日に発売される「FOR JAZZ AUDIO FANS ONLY VOL.3」から1曲。

奏者は誰だったか忘れたけれど、テナーのゾリッとした音色がたまらない曲。


FOR JAZZ AUDIO FANS ONLY VOL.3 (寺島レコード 10月6日発売)
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う~ん、イイ。

テナーの低域がゾリゾリッとして、最後に途切れそうな一音まで奏者の呼吸が感じられるようです。



というわけで、この音がどう変わっていくのか、まずはインシュレータを使って実験してみよう!と言うことになりました。


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インシュレータは寺島さんが持参したローゼンクランツのインシュレーター。
形からすると・・・PB-BOSSかな?

ちなみに寺島さん、作る人間は嫌いだけれど品物はイイ!(また喧嘩したらしい。)と、このインシュレータを褒めておりましたが、それでもオリジナルのままの音は気に入らなかったらしく、インシュレータの底をヤスリで削って「ジャズらしい汚れた音」にしたらしい。

これをプリアンプ下に設置して鳴らしてみます。
設置は奥2点と手前1点の3点支持。



おぉ!

さっきよりもテナーの音に潤いが出た。

さっきはカサカサとしたゾリゾリだったけれど、今度はややウェットな湿度のあるゾリゾリだ。

中域に少し厚みが出たみたい。


「最近オーディオに興味を持ち始めたオーディオ初心者の松尾さん、どうですか?」と、松尾さんに感想を聞く寺島さん。


「う~ん、変わったような、変わっていないような。」

苦笑いの松尾さん。

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「ちなみにねぇ、いま、手前のインシュレータは(プリ)アンプの奥の方に有るんですけど、これをもっと手前に設置すると、ベースの音が前に出てくるんですよ。」

と、今度はインシュレータの位置で音が変わるかを実験。

現状の位置で再度CDを聴き、今度はインシュレータの3分の1が見える位手前に設置をして同じ曲を聴きます。


・・・うん、確かに音象に前後の奥行きが出てきた。

松尾さんもオイラの後ろで何か変わった事を感じたらしい。


「今度はどうでしたか?」と寺島さん。

「確かに音が前に出てきた感じがする。でもなんか、暗示にかけられてそう聞こえてるみたい(笑)」と松尾さん。

「それで良いんですよ、オーディオは暗示ですよ。」と笑っている寺島さん。




と、ここで本日のゲスト、MAYAさんの登場です。

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これまでの「ちょっと手を加えるだけで音が変わる」というオーディオ遊びを見ていたMAYAさんの、

「アルバムを作っていくときに、「こういう音で自分を表現したい」と思いながら音を決めていっているんですが、こういう風にチョットしたことで色々と音が変わってしまうと、自分が伝えたい、表現したいことが伝わらないんじゃないか?と心配になる」

という言葉から「原音とは」という話に展開。

会場がにわかに活気付きます。


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「その昔、オーディオ業界では”原音再生こそがオーディオの神髄”のような風潮があったけれど、最近はそんなことを言うメーカーはなくなった。」

という話や、

「そもそも原音なんて有るのか?」

「ライブに行ったって、会場や座る位置で聞こえてくる音は違う」

などなど、昔から繰り広げられてきた様々な話で盛り上がりました。



と、おしゃべりが長くなってしまったので、再び試聴会に戻り、MAYAさんのニューアルバム『YOU BELONG TO ME』から1曲、林さんがLP盤で聴いていて非常に気になった、気に入った曲「LIBERTANGO」。

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というわけで、今度はこの『YOU BELONG TO ME』の「LIBERTANGO」で聴き比べをすることに。



まずは、林さんが持ってきたTMDの368,000円のケーブル。

ケーブルの色を見ると・・・「AMRITA JAZZ-MODEL」かな?

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これで「LIBERTANGO」を聴いてみると・・・

おぉ?

なんだかやや湿っぽく、重鈍になってしまいました。
音が前に出てこない。

音象が引っ込んでシンバルのアタックが弱くなってしまいました。




続いて寺島さんが持ってきたTMDの268,000円のラインケーブル。
多分「SERA-THOTH」。

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今度はコチラで聴いてみると・・・


うん、さっきよりも音象が浮き出てきて音が明瞭になった。

シンバルも太く、力強くなり、音の解像度も増しました。



寺島さんの圧勝。


林さんも聴き終わるなり「悔しいけど負けた。」と一言。


「せっかく小田原から重い思いをして持ってきたのになぁ・・・」と項垂れておりました。





ラインケーブルの次は電源ケーブルです。


まずは、林さんが持ってきたゾノトーンの電源ケーブル。

200本限定の「7NPS-5050 Grandio」。

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さっきはCDプレイヤーとプリアンプ間のラインケーブルを替えたので、今度はパワーアンプの電源を替えてみることに。


その間、林さんによるゾノトーンの紹介。

「ゾノトーンの前園社長は、オルトフォン社長時代にケーブルの純度に着目して6Nの純銀や7Nという超高純度の純銅でケーブルを作った第一人者。」

「巷では8Nの銅を使っていると謳っているケーブルもあるけれど、どういう基準で測定したの?とか、本当に端から端まで8Nの純度なの?とか、かなり眉唾。」

などなど・・・止まらなそうなトークをひとまず堪えて、とりあえず聴いてみることに。




お!

低音が締まってベースの輪郭がしっかりした。

シンバルも太いままで音象が明瞭になって、低位も遙かに向上。

音場に奥行きが増しました。




次は寺島さんが持ってきたケーブル。

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寺島さんが持ってきたのはアコースティックリヴァイブの特注真っ赤っかケーブル。

アコースティックリヴァイブの社長が「寺島さんの為に」ということで、寺島さんの要望に応えて特別に作ったケーブルなのだとか。

しかし、太くてど派手な真っ赤っかケーブル。
まるで「セクハラケーブル」だ。


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これに繋ぎ替えて聴いてみると・・・



あれ?

音全体が引っ込んで、湿っぽく鈍くなってしまった。

音象もぼやけ気味。


寺島さんも慌てて曲をフェードアウト。


「ダメ、ダメ!これは全くダメ!自分が持ってきたケーブルをけなすつもりはないけれど、林さんのゾノトーンの圧勝だね。アコースティックリヴァイブの良さは透明感のある綺麗な音なのに、太くなったら曇って鈍くなっちゃった。」

と、なんとも苦々しい顔。


うん、これは林さんの圧勝。




こんなやりとりと音の変化を聴いていたMAYAさんが後ろでポツリ。
「こんなに音が変わっちゃうんだったら、私たちが音作りに必死になっているのって、無意味なのかな?」

丁度その前に座っていたオイラ、慌てて、

「いやいや、あのね、CDの基の音が良くなくちゃ、それをどう変えたってダメなの。音の悪いCDなんて、どうやったって良くならないし、わざわざ高いオーディオで聴く気にならないもの。」

と、フォロー。



そんな話をしていると、丁度良いタイミングで(?)、寺島さんが持ってきたケニー・バロンのThe Super Premium Band『Softly, As In A Morning Sunrise』のクリスタルCDと普通のCDを聴き比べてみることに。

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まずは普通のCD盤、その後にクリスタルCDの順で聴いてみる。



うはぁ・・・全然違う。

まるでマスタリングをやり直したように全く違う。

クリスタルCD盤は、音は痩せていないのにクリアで解像度が高く、爽快感と疾走感が増しています。
音場も広がり、低位もカッチリとしました。

5万円は出せないけれど、1万円だったら即買いだなぁ。


ガラスCDは何度も聴いているという林さんも「思っていたよりも全然違った。」と、やや興奮気味。




いよいよイベントも終わりの時間が近くなった所で、お客さんが偶然に買ってきていたMAYAさんのニューアルバム『YOU BELONG TO ME』のLP盤を発見。

なんでも、偶然にdisk unionでこのLP盤を買い、たまたまオーディオユニオンを覗きに来たらイベントがやっていた・・・と言うことらしい。

何という偶然!



ということで、このLP盤をベタ褒めの林さんがこのLP盤の魅力について熱く語りました。

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で、お客さんにお願いをしてこのLP盤をかけてみることに。




・・・・・うわぁ・・・・この音の違いは何なんだ。


満場一致で本日最高の音。



音が太く、厚く、かといって曇った感じは一切無くてシンバルの微細な振動もしっかりと聞こえてきます。

なんだよ、これ。


これまでの苦労(インシュレータやケーブルの比較)は何だったんだ?


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この凄い音はLP盤の素質も良かったのだろうけれど、このプレイヤーの影響が強かったのかも。

VPIのターンテーブルのフラグシップモデル「HR-X」。



そんなこんなで、最後に大どんでん返しがあり、イベントは終了。

MAYAさんのCD即売会&サイン会へとなだれ込みました。






・・・が、このまま終わるわけがありません。


林さん、寺島さん、MAYAさんと、MEGでお馴染みの面々で2次会に突入です。


Y田さんが幹事になってお店を押さえてくれたので、みんなでゾロゾロと移動。

向かった先は、ASIAN GARDENガドガド新宿店


ここからはもう、とにかくブログでも書けないことのオンパレード!

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ざっくりと話に上がったことの一部をご紹介すると・・・



「大西順子の”Baroque”みたいなのがジャズをダメにするんだ!」by寺島


MEGで女性のお客さんのみを集めて「女子ジャズ」イベントをやろう!


オーディオ超初心者のMAYAさんを筆頭に、「女子オーディオ」を展開して、オーディオに関心の無い普通の女性にも、オーディオに関心を持って貰おう!
「音女」と書いて「オトメ」プロジェクトだ!


MEGのメニューに「ナポリタン」を加えろ!



んで、最後は林さんの

「今、オーディオの世界はどんどんとPCオーディオに席巻されている。企業も雑誌も、その潮流に疑義を抱かせる暇を与えない様に、PCオーディオがオーディオ界に進出している。オーディオ界はこういうことで良いのか?企業の利益が優先されて、利用者の「想い」は置き去りにされていないか?」

と言う問題提起により、林さんのMEGイベントが決定!



もう、詳しくは書けないことだらけですよ。


ちなみに、大西順子の「Baroque」の件に関しては、まぁ、寺島さんは嫌いなタイプのジャズだろうな・・・というのは百も承知。
寺島さんが気に入らないのは、こういうタイプのジャズが一斉に各方面でもてはやされていることなのかも。

まぁ、分からなくもないけれど、いわゆる伝統的な50年代のモダンジャズとして「Baroque」を聴こうとしたら「聴けない」かも知れないけれど、クラシックからヘヴィメタまで何でもござれのオイラとしては、メタルのような感覚で、この「Baroque」というジャズを聴いているわけです。
要するに、「Baroque」を聴いてメタルロックを聴くときのような興奮を得ている。

こういう音楽の聴き方もまた、有りだと思うわけですよ。




ちなみにこの宴会は、夕方の4時から10時まで、約6時間も続いたのでありました・・・