三文ゴシップ!!! | UNTITLED

三文ゴシップ!!!

椎名林檎、待望のニューアルバム『三文ゴシップ』が24日に発売になりました。


ようやく自宅オーディオシステムで聴くことができたのですが・・・いやはや、さすが椎名林檎!と唸ってしまう程の作品。


参りました。


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三文ゴシップ / 椎名林檎





愛用のiPod Touchにも入れましたが、いや、これは是非とも自宅のオーディオでしっかりと聞きたい1枚です。


主にどっしりとしたベースの重低音に下支えされた曲が多いのですが、ビックバンドやオーケストラの生音が鮮明に描写されており、そこに椎名林檎ならではのサウンド作りとも言える歪みある電子楽器の音が違和感なく融け込み、全ての楽器の音が何とも魅力的に輝き出します。


椎名林檎サウンド、また新しい域に突入しました。






1曲目『流行』

最初、男性ボーカルによるラップが聴こえて来た時には「あれ!?買ったCD間違えたか!?!?」と大焦りしてしまいましたが、林檎嬢の歌声が聴こえて来た瞬間、一気に椎名林檎ワールドに引き込まれてしまいます。
ノリの良いスピード感のある曲で、ズ太いベースサウンドとバスドラムが非常に印象的です。



2曲目『労働者』

コチラも冒頭に男性ボーカルが入り、「今回は男性ボーカルとのコーラスがコンセプト?」と勘ぐってしまいましたが、別にそんな事は内容でした。
オルガンの音色から始まる本曲、ピアノの軽快な伴奏が始まると、林檎嬢の溌剌とした歌声が飛び出してきます。
男性ボーカルとのコーラスも入ってきますが、自らの声との和声もあり、軽快にハーモニーする能天気な若者の歌詞を聴いていると、新世代の「ドント節」を感じます。



3曲目『密偵物語』

なんてグルーヴィーでファンキーなジャズ感溢れるサウンドなんだ。
なるほど、編曲は服部隆之さんか。
このノレるジャジーなサウンドを聴いていると、一気に陶酔できてしまいます。
フルートの音色が非常に象徴的ですが、バンド規模がいきなり大きくなり、管楽器のハーモニーと、リズミカルでスピード感に溢れるサウンドが林檎嬢の歌声と合わさり、自然と体が動いて来てしまいます。



4曲目『○地点から』

先ほどの「密偵探偵」から一転、急にバラード調になった本作は、シンセサイザーサウンドと複雑な和声に支えられ、なんとも物憂げなメロディーがフッと胸に沁みてきます。
このメロディーはもの凄く好き。
なんだか聴いていると少しだけセンチメンタルな気分になってしまうのはオイラだけでしょうか。



5曲目『カリソメ乙女(Death Jazz Ver.)』

なるほど、デス・ジャズですか。
ファンキーでノリが良く、
林檎博'08では本作がバンド+オーケストラで演奏され、最後の「サヨナラ」の歌詞を歌うと同時に、林檎嬢は舞台の後ろに倒れ込むようにステージから消えてしまいました。
この曲を聴く度にその情景が頭の中でプレイバックされます。



6曲目『都合のいい身体』

おぉぉ!!
いきなりバンド編成が大きくなり、オーケストラをバックに林檎嬢が歌い上げています。

ん!?
メンバーを見てみると・・・村上"ポンタ"秀一さんやジャズギターの巨匠中牟礼貞則さん市川秀男さんまで参加しているではありませんか!?ジャズの大御所勢揃いです。
このゴージャスなサウンドと林檎嬢の張り裂ける様な歌声を聴いていると、まるでミュージカルを見ているかの様な錯覚に陥ります。



7曲目『旬』

美しいバラードメロディーで、先ほどの「都合のいい身体」とは逆ベクトルに張り裂けている林檎嬢の悲しい歌声をストリング隊が更に盛り上げ、さらにピアノソロではピアノも激しく歌っています。
切なく、痛々しく、自然と耳に、心に入ってくる名バラードです。



8曲目『二人ぼっち時間』

コチラの曲にも先ほどの中牟礼貞則さんが参加されています。
やはりオーケストラの大編成バンドで、先ほどの「都合のいい身体」で繰り広げられたミュージカルの第2幕が始まった様な印象です。
コチラの曲は激情型の楽曲ではなく、もっと楽し気で、キュートで、スウィングしています。



9曲目『マヤカシ優男』

「二人ぼっち時間」からスネークインするように始まる怪しいシンセサイザーのハーモニー。
こちらもまたグルーヴィーでジャズ魂を感じる曲です。
まるでジャズとサンバとロックが入り交じった様な複雑な楽曲。
優男のマヤカシの愛情を許してくれそうにない激しいサウンドが印象的です。
また、冒頭やサビでハーモニーしているメロディーは、フィフス・ディメンションの「輝く星座」を彷彿とし(全然違うんだけれど)、この激しいサウンドとその調和がなんとも魅力的です。



10曲目『尖った手口』

「マヤカシ優男」から唐突に続く本作。
先ほどの曲とストーリーが繋がっているのを彷彿とする歌詞の展開、そしてジャズ面影は消えて激しいロックが繰り広げられて行きます。
ん?これ、さっきの「マヤカシ優男」と繋がった作品?



11曲目『色恋沙汰』

あぁ、これまたスウィングしたメロディーでホッコリとした印象を受ける曲。
異常に強調され、少しだけ歪んだウッドベースがもの凄く特徴的。
しかしこの曲も「尖った手口」から滑り込むようにして繰り広げられて行きます。
もし、「二人ぼっち時間」からこの「色恋沙汰」が繋がった一連の作品であるとすれば、なんとももの凄い構成です。




12曲目『凡才肌』

アコーディオン奏者Cobaさんと林檎嬢のデュオ。
Cobaさんのアコーディオンが哭き、林檎嬢の慟哭、絶望を感じる本作はまさに「魂」の曲。
アコーディオンとのデュオなので、この「魂」は痛い程ダイレクトにオイラの「魂」に突き刺さってきます。



13曲目『余興』

林檎博'08の最後を飾った曲。
林檎博ではオーケストラをバックに最高に華やかだった本作ですが、このアルバム収録バージョンは、重く歪んだギターサウンドと野太いエレキベースサウンドに支えられたドが付く程のロック。
林檎博のアレンジも良かったけれど、これもまた「林檎サウンド」の真骨頂を感じる非常に濃厚なロックアレンジで、どちらも良いとしか言いようがありません。



14曲目『丸の内サディスティック(Expo Ver.)』

林檎博'08のエンディングのスタッフロールで流れた曲。
ただのRe-MIXバージョンではなく、歌詞の一部も英語化された全く新しい曲になっています。
この曲で終わられると・・・林檎博の感動の余韻が蘇ってくるじゃないですか・・・。





などなど書いてみましたが・・・いや、是非、『三文ゴシップ』をその耳で、その体で聴いてみて下さいませ♪