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ヌヌース・ヌヌース第5話



遺跡のたんけんはたのし

ぐまたちはきょうも
がさごそいそいそ探検中。

文字のおばけもそこそこ
こらしめて
本もだいぶことばを思い出してきました。


探検していると
古びた鍵や
ちょっとにおうフライパン
枠しかない扉
なんだかわからないぼっこ
いろんなものがみつかります。

へんなものがみつかるたびに
本のところへ見せに行きます。




でも目がないって言ってたよ。
見えるの?

口がないのに
話してるから
だいじょうぶじゃない?

鼻は?鼻はあるのかな?
フライパンくさいよ。

鼻は
知らないよ。
言ってなかったもの。


ぐまたちは
そんな会話をしながら
本のところへ走ります。


本のところに着くと
本は 言いました。

うわぁくさい。
すごくくさい。
はながもげる。

はなもげら。



ぐまたちは
鼻もあった!って心の中で思ったけど
言いませんでした。


本はゆっくりページをぱたぱたさせて
においをとばしながら
おはなしをはじめます。


このせかいには
かつて5つの種族が住んでいました。

インナーチャイルドと
呼ばれていたせかいに

マスコトピエロ族
スプーネヒーロー族
スケープコトリ族
ケアテイカポ族
ロストオネー族

その5つの種族の遺跡の記憶を
たどれば
なにかおもしろいものが
みつかるかもしれないし
みつからないかもしれないし
そんな種族はそもそもいないかも
しれないよぶつぶつ
ゴニョゴニョ……くさ…くs


そう言うと
本はゆっくりと閉じて
気を失ったように
寝てしまいました。



ぐまたちは
フライパンそうとうくさかったんだ!と
思いましたが
なんかたのしそう!ってなって
遺跡のほうへ走り出しました。


くさいものは
もってきちゃだめ。

ヌヌース・ヌヌース第4話




あれからたくさんの文字のおばけを
こらしめて

本もだいぶことばを思い出しました。

ぐまたちも
たのしくてしょうがないようです。


ほんらいのおつとめのことは
すっかりぽっかり忘れているけれど

けっかてきには
おなじことのようです。


月夜の晩に
本はゆっくりとひらき
ぐまたちにおはなしをはじめます。


ぼくには目がない。
だから何も見えません。

ぼくには耳がない。
だから何も聞こえない。

ぼくには口がない。
だから何も話さない。

ぼくには心がない。
だから時を感じない。


それでもまわりの時間はどんどん
過ぎていくのです。


過ぎた時間を
もしそこにあった物が
記憶しているとして
それを取り出すことができるなら
そこにあった時間を見ることが
できるかもしれないと
考えた人がいました。


それは 朽ちない石碑として
朽ちない像として
自分に代わって
長い過去になる未来を見てくれると
信じていたのでしょう。

のちに
それを感じとってくれる
誰かに

歴史を残したのかも
しれません。


物の記憶のとりだしかたは
遺跡の中のどこかに
あるかもしれないし
ないかもしれないし
そんなものはさいしょから
ないかもしれません。

ぶつぶつぶつぶつ


本はゆっくりと閉じると
おやすみなさいと
ぐっすり寝てしまいました。


ぐまたちは
さっぱりよくわかんないけれど
なんとなくまた
楽しいことが起きそう!って思いました。


そんなこんなでたぶん
ぐまたちのじかんが
うごきだしたのです。

ヌヌース・ヌヌース第3話




忘れものの森と呼ばれる遺跡の中で
ことばを忘れた本に出会って
数日が過ぎました。

ぐまたちは
毎日、遺跡に遊びに来ては
本とおはなしをします。


興味津々に
本に質問をしてみても

本は
もけもけ や もすんもすん
言うだけで
ちっとも会話になりません。


こまったくまった。

ぐまたちは
ことばを教えてあげようと
いろいろ教えますが
ぜんぜんまったく覚えてくれません。



そんなとき
ぐまたちは文字のおばけにでくわします。

文字のおばけを
ざくーめこめこーっと倒してしまうと

本はその文字のおばけを
吸い込みました。


ぐまたちは
これだこれだこれだーっと
よろこびます。


そして、本ははじめて
自分から話しました。


さいしょに
話したことばは


「おやすみもすん
またあした」

そう言うと
本はぐっすり寝てしまいました。


寝るの早い。


ヌヌース・ヌヌース第2話

春の穏やかな日は
たんけん日和。

きょうも朝から
すたこらさっさと
とおくの遺跡まで探険です。


ぐまたちは
大きな葉っぱを風にのせて
すいすい飛んでいきます。


上昇気流に乗ると
たかくたかく空を舞います。

ぐまたちはそれが楽しくて
しょうがないようです。


ずっと高いところまで行くと
とおくのほうまで見えるからね。


おおきなおおきな
錆びたつるぎの遺跡や
リング状の遺跡
妖鳥が住んでいたらしい巣とか
巨人が住んでいたという古びたお城。

いろんなものが見える。

でもぜんぶほんとかどうかは
わかんない。

出会うのは
けもの族と文字のおばけだけ。


つまんないから
たんけんしちゃう。


そんなまいにちを過ごしていたんだけど

遺跡のひとつから
一冊の古びた本を見つけちゃいました。

ことばを話す本のようですが
長いこと寝てるうちに
ことばを忘れちゃったらしいです。

文字のおばけと関係あるのかな
ないのかな?

どうでもいいけど
楽しくなりそう!って
ぐまたちは思いました。













ヌヌース・ヌヌース 第1話

ちいさな世界に大樹がひとつ


穏やかな風がながれるちいさなせかい


そこには
もけもけ けもの族という
へんないきもの達が住んでいた。


せかいにたったひとつの大樹を
まもって
まいにちとおくの水たまりから
水を運んで
せっせとはたらくけもの達。


だけども夜になると
どこからともなく文字のおばけが
大樹を食べにやってくる。

古代文字は
せかいのいろいろなところの
石碑から
わらわらわらわらやってくる。

意思を持つ文字達は
けものたちをみつけると
もしゃもしゃ食べてしまいます。

きのうも
たくさんのけもの達が
食べられてしまいました。


そんなけもの達の国
ハニルナル。

はちみつとお月さまを
モチーフにした国のようで

ふたごのくまが
きょうもげんきに走り回ります。

大樹の守り人としての
役目を果たすはずのふたりですが

そんなことは
おかまいなしに
遊んでばかりのまいにちです。


こまったくまった。




大樹が食べられたらどうなるの?
そんなの知らないよ。
だって食べられたとこ見たことないもん。

そんな会話をまいにち
繰り返しては
とおくの方へ行ってみたり
遺跡をたんけんしたり
じゆうほんぽう ぐま。


それでも なんだか
ふたりは腕が立つ。

文字のおばけに出会っても
ざくーめこめこーっと倒してしまいます。


そんなじゆうほんぽうな
ゆるいゆるい
ぐまたちのおはなし。



ひかりのおひめさま

むかしむかし
あるところに

たかいたかい壁に囲まれた
裕福なお屋敷の中に
ちいさな女の子が住んでいました。

ちいさな女の子には
とくべつなちからがあり

じぶんの血とひきかえに
みんなのねがいをひとつかなえてあげることができるのです。


でも、女の子自身のおねがいは
かなえることはできませんでした。

ある者は一夜にして
せかいを平和にした。

ある者は一夜にして
王になった。

ある者は一夜にして
富豪になった。

そのかわりに
女の子のからだには
たくさんの傷がのこりました。

傷がたくさんになると
からだが痛み
しばらく眠りにつかなければなりません。

あと数回
おねがいをかなえたら
おやすみです。


ねがいをかなえてもらえた人々は
見返りに女の子に
たくさんの素敵なプレゼントを
あげました。


でも
女の子には
ほしいものはなにもなくて

ただこのじぶんの存在できるせかいがずっとあれば
いいなと思っていたのです。


ある日、壁の向こう側に
傷ついていたくてつらい思いをしている
男の子をみつけます。

屋敷からでることができない女の子は
まいにちその男の子が
つらい思いをしているのを
見ていることしかできずにいました。


でも、女の子は
かんがえました。

みんなのねがいをかなえてあげる
見返りに
あの男の子をこの壁の中に
入れてあげてほしい。


屋敷の中の人々は
それならばと
次々にねがいを言います。

女の子のからだには
たくさんの傷がついていきました。


それでも
あの男の子が
しあわせになれるなら
いいと思ったのです。


そのあと男の子は
壁の中で暮らすことになりました。


つらい思いをすることもなくなりました。


でも、女の子がかなえたねがいは
強欲なものばかりでした。

ある者は力を求めて権力をにぎり
ある者は財力を求めて権力をにぎり
ある者は知識を求めて権力を得ました。


すべてのものが
それぞれにせかいを手にしようと
争いをはじめてしまったのでした。

町も城もたくさん燃えていきました。


そんな中
女の子には
もうわずかな力しか残っておらず
寝込んでしまいます。


女の子の異変に気づいた男の子は
女の子を助けようと

女の子を守っていた壁の中から
外へと連れ出してしまいました。


壁の守りがなくなって
たくさんの亡者が女の子を探しはじめます。


生き返りたい 生き返りたいと
漂うのです。


その中でも
かつてせかいを支配していた王様の亡霊は
女の子の力を強く欲しました。


壁の外に出てはいけなかったのです。


そんなことを知らない
男の子は
眠り続ける女の子をずっと
看病していました。

はやくよくなるようにと
おねがいしながら。


しかしある日
王様の亡霊は
女の子みつけると
大きな剣でつらぬいてしまいます。

ねがいをかなえて
いきかえり
すべての罪を消して
せかいをてにいれるため。


それを知った男の子は
悲しみました。


女の子はさいごに
男の子におねがいをします。


わたしの血をつかって
このせかいを消してほしい。



女の子は
じぶんのちからも
かなえてしまったたくさんの欲も
それに手を貸したじぶんも
すべて消してしまいたかったのです。


でも、
男の子がかなえた最後のねがいは

女の子のいる
このせかいを守ってください
でした。


男の子は
さいごに王様の亡霊に
自分の血を浴びせて
言ったのです。


ぼくは
人の血で叶える夢に
喜びはなにもない。

彼女の血を使った
罪を背負って生きていく。


男の子の血を浴びた王様の亡者は
そのからだを男の子の姿に変えます。


女の子の最後の血の
おねがいがかない

このせかいを守るものになるため
男の子は存在していくことに
なったのです。





すべてを終えて
女の子の元に帰ったとき

女の子はたくさんのお花に
変わっていました。


そのお花は
人の罪を浄化し
ねがいを叶えてくれるという
言い伝えがあり

いまでも
ほしのふるよるに
時々、こっそり咲いているそうです。

男の子は
その後、この地の守り神となり
彼女を失った痛みと罪を
そのこころにもちながら
このせかいをずっと守っているそうです。


おしまい