DQウォークと寂寥感 | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

DQウォークはスマホのアプリゲームである。先月下旬にリスタートを切って以降、天気が大崩れすることもなく、僕は日々歩いている。歩くこと。即ちゲームを進めることになる。先を急いでいるのは、かつての自分に追いつくこと。以降は、いしくんさんやタロウさんを背中を追う。
 
 
それぞれの職業に適した装備を身に着けさせ、レベルはそれぞれ上限値一杯。武器や防具の強化に必要なお金は、道中の雑魚狩りで毎日貯まる。それより大事なモンスターのこころ。これもまた、各職業が理想とする種類を獲得する為に、日々ウォーク。仕事帰りに狩りに出る。
 
 
休日など、惰眠を貪ることが勿体ないと感じるほど、打ち込んでいる。午前中から近所の公園を回る日々。まだゲームを開始してから一ヶ月に満たないが、早くもメインストーリーは終わりが見えている。ゲームとは即ち現実逃避。画面から目を背けると、そこには子と遊ぶ親の姿。
 
 
もしくはカップルが手を繋いで歩いている様を尻目に、僕はロールプレイングゲームの世界をひたすら歩く。彼らには、互いへの関係値や信頼感が醸成されるが、果たして僕には何が残る。データの中身が少し改善されるだけ。お金でも買える世界観。終わりが見えて寂しいのか。
 
 
現在レベル48。推奨Lv50の最後のダンジョンを前に、足踏みしているのは、本編のクリアが怖いから。怖いとはつまり、生きがいが無くなってしまうのではないかという恐れ。まだ半月にして、月間目標歩数を達成してしまった。歩くのは手段であり、目的ではない。間違えないように。