自転車で稼ぐ | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

部屋で一人、天井を眺めて過ごす。平日の日中である。肋骨の損傷による安静の為。外は快晴。と言うより炎天下。今日は火曜日。仕事はオフ。本業は週3日勤務。月・水・金曜の飛び石出勤。木曜日は事務局勤務。収入は全盛期の半分ほど。それでも生活水準は落としたくない。

 

可処分所得は目減りして、何とか僕は生きている。週末は患者会(全国SCD・MSA友の会)や東難連の理事として、運営に駆り出されることが多くなり、退屈だとか言っていられる暇はない。それでも収入を増やしたい。同僚の送別会を、金銭を理由に断ること程惨めなことはない。

 

 

隙間時間に稼ぐ手段を模索する。一番初めに候補に挙がり、仮登録フェーズまで進めたUber Eatsの配達員。僕の住む都心部では、犬も歩けば棒に当たる高確率で遭遇する。自転車で体力や筋力を培って、しかも稼げるとあっては、今の僕にはなかなかの手段ではないか――。

 

 

ところが僕は平衡感覚に障害を持つ難病患者だ。街中を駆け回る配達員にだって、悪質運転による通行被害が出ている。無事に荷物を届けたい。それよりも、一件でも多く実績を上げたいという気持ちが先だってしまうのだろう。安全を担保できないので、残念ながら諦める。