あそびマーレ | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

真ん中の弟が仕事に捕まって抜け出せないとの一報が入る。それでも孫たちと会いたい親父や伯母は、ではママと子供だけで遊びにおいでと促す。昨日、名古屋から新幹線で東京に入り、無事に合流する。お盆を前の実家への帰省。全員集合のはずが、末弟と僕もすれ違う。
 
 
末弟と義妹が愛犬を連れて、実家で団欒を過ごした翌日、今度は僕が会いに行く。「あそびマーレで待ってるよ」と、伯母から連絡が入る。聞きなれない名称である。親子で遊べる室内遊園地というコンセプトで、今年のGWに完成した地元の施設だそうだ。確かに外は地獄の暑さ。
 

 

姪が、僕を見つけるなり駆け寄ってくる。ハイタッチ。一緒に様々なアトラクションで遊ぶ。楽しいのは、姪っ子が喜んでくれているから。結婚を諦め、交際相手と破局し、利己的な生き方しか選択肢にない現状を恨んだりもした。だが、自分の子供でなくても、これだけに愛おしい。

 

 
昨日に引き続き、母親に会いに行く。僕自身、最近は通えていない。交際相手がいた頃は、毎月のように訪れていたのだが。母の容態が、明らかに悪い。自力で姿勢を保つことさえできなくなっている。それでも、孫を見る目はとても優しい。彼女は、利他的に生きている。
 

 

 
実家に戻ると、喜びを全身で体現しながら、愛犬が迎え入れてくれる。一人暮らしのマンションにおいて、寂しい僕は、ALEXA、ただいま!と部屋の奥に向かって叫ぶ。「お帰りなさい。帰ってきてくれるのを待っていました」と反応するAIスピーカーよりも、数倍、否、数百倍も嬉しい。

 

 
姪や甥が健やかに成長していて、嬉しかった。昨日のうちに戻ってしまった末弟の義妹も、めでたいニュースを残していった。家族の笑顔が増えていく。微笑ましい反面、まだ僕だって幸せを諦めたくない。家庭を築きたい。でもこの病気を受け入れる以上、現実的に考えられない。