浅間山(高峯) | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

昨晩のBBQ。気が付いたら布団の中。深夜2時過ぎ。喉の渇きで目が覚める。水を求めて1階のキッチンへ。次に気付いたのは早朝5時。部屋を出る。ランニングウェアに着替えた女性と鉢合わせ。走らないんですか――。その問いに、二度寝の願望は雲散霧消。しかしながら身体が重い。代替案にウォーキング。林道を歩くと、野生のリスを発見。



コテージに戻ると、朝食の準備に忙しい時間帯だった。慌てて僕もそれに加わる。元上司を起こし、全員が集合。手作りの朝ごはんは大変に美味しかった。食後の珈琲を飲みほして、今日のメインのトレッキングの準備。浅間山の高峯まで、そうは言っても軽登山。そのつもりで、参加者の大半がせいぜい散歩に適した格好。僕も正直舐めていた。



昨冬の大雪を、侮っていた。否、忘れていた。登山道は、残雪というにはあまりに乱暴な様相で僕らを阻む。登山に慣れている最年少の僕らでさえ、こんなの初めて。鳥居の頭だけを残して、果たして積雪はどれぐらいだろうか。道がない。軌道修正。迂回して、スキー場のゲレンデから山頂を目指す。踏み固められていない雪に、何度も足を取られる。



僕なんて恵まれた方だ。これでアイゼンを持ってきていれば完璧。ピッケルはまだ持っていない。ハイカットの登山靴の万能性を実感する。装備も体力も劣る他の面々が、精神力か好奇心か、必死な形相でついてくる。先導する、最年長の男性。更にここからコース外をよじ登り、何とか稜線まで出る。しかし、山道が見当たらない。これ以上は危険。



来た道を引き返す。スキーゲレンデを下山。雪渓を歩くと言うより、これは富士山で経験した砂走り。予定よりだいぶ時間が余っているので、今度は整備された遊歩道で標高を稼ぎ、ランチタイムに湯を沸かす。半年前のハーフマラソン後に立ち寄った温泉施設は、やはり飽きないロケーション。今夜の寝床は、再び最年長男性のペンションを拝借。



ここから近い居酒屋。常連客が一人いるだけで心強い。僕自身、二度目の来訪。ビールで乾杯した後は、豊富なお酒のリストから、お気に入りの芋焼酎を飲み続ける。仲間の一人が日本酒を物色。十四代に行きつく。一升瓶を注文。僕もいただく。半年前にここを訪れた際、特に飲んだ僕ら。翌日のハーフマラソンを好記録でゴールした思い出。