殺し合いの螺旋 | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

週刊コミック誌「モーニング」でお馴染み、作者井上雄彦「バガボンド」の主人公、宮本武蔵は「殺し合いの螺旋から降りた」と言い、無闇な試合を行わなくなった。そのような境地にいると、しかし本人の意志とは関係なく、無法者が寄って来る。結局、武蔵は懐から刀を抜かざるを得なくなる。戦いを呼ぶ男――。それが、宮本武蔵。そして、僕自身を思う。


僕は、出会いの螺旋の上を歩いている。東に出会いがないと嘆く人がいれば、合コンをセッティングする。西に恋人が欲しいと祈る人がいれば、理想像を聞いて紹介する。まさに東奔西走。そんな僕に、素敵な彼女ができた。これまで世話を焼いた人々から、お礼からか合コンに招待されることも少なくない。ありがたいが、そんな螺旋から僕も降りよう。


一人前のHHになりたい28歳の日常


降りようとは言ったものの、既にアサインされた飲み会を、個人都合で抜けるのはいかがなものか。参加するからには、幹事の期待に応えなくては。訪れた店は、渋谷の「BEE8 」。男性陣は毎度の同僚。そのうちの一人、幹事の男の子の、幼馴染の実妹が女性陣の幹事。彼女らも会社仲間。いわゆる競合にあたる大手人材紹介会社の新入社員。


会話の中心は、彼女らの仕事ぶりについて。高学歴で自信家の彼女らが、入社早々、親会社に出向となってしまう。人材紹介業に強い関心を抱いていたはずの彼女らの日々の業務は、個人宅の一軒一軒にドアノックし、ブロードバンドサービスを押し売りする仕事。「底辺」だと揶揄する彼女たち。酒が進む。早く、景気が回復してほしいものである。