Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

2025年の行動目標
・日次1,000歩のリハビリを継続する
・読書or映画鑑賞を月2本以上
・ブログの投稿を月20回以上
・みんチャレ参加5チームの活動を継続する
・体型を維持する(54kg以上)
・月に3回は友人と外で会う

右の腕が痺れる。超痛い。緊急でシップを貼った。しかも3枚もだ。でも痛みが引く気配がない。この痛み。これまで経験した範疇を軽く超えた。キーボードを叩く手が進まない。肩甲骨。多分、寝違えた。土曜日の朝から違和感。日曜日、痛みが本格稼働。そして本日。



ついに爆発した。あまりの痛みに、理学療法リハビリを中座したぐらい。右の腕に力が入らない。まっすぐに伸びない。夕方のシャワータイムも、介助が無ければ危うかった。夜が怖い。寝返りを打とうとすると、関節技を決められたぐらいに痛い。つい声が漏れるレベル。



昨夜のM-1グランプリFINAL、見た読者様はいるかな。15:00から3時間半の敗者復活戦から、決勝戦まで全部見た。就寝時間が迫る病室で、変な声を出していたのは、あれはたくろうのネタのせいです。寝返りを打ったからではございません。カエルが潰れたような笑い声。


長い入院生活。敵は退屈。8インチタブレットは心強い。動画視聴にも、オンライン会議も、メールの返信もできる。電子書籍リーダーにもなる。先日の仲間との旅行の道中、友人の一人が口を開く。伊良部シリーズの最新作が出たよ。懐かしい。イン・ザ・プール。何年前だ。


コメンテーター

(内容紹介)

打ち切り寸前のワイドショー番組制作チームは、状況を打破すべくコメンテーター探しに奔走中。昔気質な上司の方針で「美人女医」を連れて来るつもりが、手違いで色白で太った精神科医・伊良部一郎が出演する羽目に。彼の自由すぎる発言が、令和の悩める人々を笑撃&震撼させる!大人気の連作短編集シリーズ、待望の第4弾。


現代は精神的に弱る傾向が強い。タフネスを売りにしていた僕も、心療内科に通った時期があった。全てが上手くいかず、パニック障害と診断された新卒時代と、不眠症に苛まれた難病の初期の頃だ。いずれも評判の良いメンタルクリニックに通った。でも、僕には効果が無かった。



愛犬が亡くなった。昨夜未明。父親からのLineで知る。事実を知らせる文面と共に、一枚の写真が添えられていた。苦しみから解放されて、安心したように目をつぶるチャコ。ダメだ。書いていて、泣きそうだ。どうすれば、この悲しみから抜けられるよ。なあ、伊良部先生よ。

午前中にリハビリが3本入った。まず10:20にST(言語療法)。今日でやっと3回目。ちなみに新しい先生。大きな窓のある部屋で、一緒に今後のカリキュラムを組んだ。自己紹介がてら、生きるを伝えるの自分出演回を見てもらった。大いに感動した様子を見せた。やば。



他の先生には見せましたかと女医。OTの先生には見せましたよと僕。PTの先生にも見せましょうよと鼻息が荒い。動画の中の僕は、6年半前の当時で、交際相手こそ失ったが、まだ経済力も生活力も、脚力も発声力も相応にあった。だから、前向きな姿勢を保っていた。



見てみろよ、上の写真を。12年前の昨日の写真だぜ。よく覚えている。溜池山王の職場で、家族のような同僚と一年を労った飲み会だ。楽しかったな。健康は良いぜ。もし今、健常者として人生を歩めるなら、有り金を全部はたいても良い。同じ額の借金をこさえても構わない。

入院病棟における看護師や介護士さんらは忙しい。状況は目まぐるしく変化する。そんな中でも、僕の膀胱は時間に素直。院内のルールでは、部屋の外への移動において、単独行動禁止。付き添い必須。部屋のカーテンを開けるじゃん。中にいるのは若い兄ちゃんじゃん。



きっと彼女はホッとする。良かった。忙しいから、彼のトイレに付き合ったら、頼まれている別件が片付けられると。しかし進むスピードは牛歩。自然と目線が下がる。不自然な足元に注視されえているな。気まずいぞ。更には質問が飛ぶ。お子さんはいらっしゃるのですか。



子供どころか、妻さえいない。畜生。病気が憎い。もし健常だったら、と思うと、失ったものの数が多すぎる。次は何だ。食事の楽しみか。嚥下障害の飲み込みテストをした。レントゲン室で、バリウムを溶かした水やゼリー、お粥や白米を喉に通す試験。これが辛かった。

入院してから何日が経つんだっけ。そうだ。17日目だ。残り1週間と1日。畜生。どう考えても間に合わないだろう。愛犬との再会だ。せめて、入院生活を充実させたい。そう思った矢先の予定表。入ったのは作業療法のリハビリ。のみ。突発的なシャワータイムが入ったが。



これでもし、愛犬の死に目に会えなかったら、訪問リハで入院を提案したSTを恨むよ。でも12月を指定したのはお前だろうって。そもそも通院で主治医に入院を決めたのが7月後半。現実的には9月以降。9月も10月も11月も忙しかったの。12月だって忙しいのよ。本来は。

https://x.com/lux_fkd/status/1959431792597020735?s=46&t=L0WZ3DqIjnPBLVngDfzAmg

 

 

例えば忘年会シーズン。もうね、泣く泣くキャンセルしたのよ。ああ。熱々の鍋料理とか。七輪を囲んで焼肉とか。大好きな仲間たちと乾杯して、美味しいビールに日本酒に。じゃなかった。ワンコだよ。もう一回だけ、抱きしめたい。そして言うんだ。もう離れないから。