トカゲの気分を抱きしめて緑に紛れ込もう | 相馬圭祐オフィシャルブログ「西陽で部屋の畳が焼けていく」Powered by Ameba

トカゲの気分を抱きしめて緑に紛れ込もう

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仕事(都会の窓に張り付く)に向かう途中見かけた光景、





電車の中で辺り構わずイチャつくアベック、



それを穴が開くほど凝視するベビーカーに乗っている童、



その視線に気付いて笑うアベック、



あまつさえ手を振り出す始末。





私もそのアベックを見る、



その視線に気付いて怪訝そうな顔をするアベック。






おいおい、



私だって生まれたての無垢な赤ん坊のような目で見ていたつもりなのだぞ、



そんな侮蔑の目で見られる謂れはないはずだろう?





隣には辮髪(べんぱつ)の男性、



向かいには麦藁帽子の清楚な女性、



そのいずれもがアベックを見ていた。






あぁ良かった、



生まれたての無垢な赤ん坊が持つ興味と、



私や麦藁帽子の女性、辮髪の男性が持つ興味、



何ら遜色なかったのだ、





しかし興味はあくまでも興味、



飽くまでが興味、



興を削がれた私、



ふとここで思い出した、








辮髪?








先刻から繰り返し登場してきた辮髪の男性、



なぜ私はこの辮髪の男性をフューチャーしなかったのだろう、



この御時世中々辮髪をお目にはかかれない、



そう考えた私はアベックから辮髪の男性に視線を移した。




屈強な体、Gジャンを袖口からバッサリと切り落としタンクトップになった服、鋭い目つき、





間違いない、



彼は兵だ。





気が付けばアベックは姿を消していた、



彼に恐れをなしたのだろう。






辮髪さんは一体何処へ向かっているのだろう。



辮髪さんはそこで何をするのだろう。






一両一両に世界がある、



私は今日その世界でどんな役割だったのだろうか、



そんなことを考え電車を乗り過ごすのであった。





お相手は私、相馬圭祐でした。