冬来たりなば春遠からじ
Kampa is dead.
そう思っていた時期が私にもありました。
寒波さんは生きていました、
それも以前より遥かに逞しくなって。
「冬はさみーもんだ、ガタガタ言ってねーで喰らえ、俺の冬型爆弾。
対処法なんざ勝手にしろ、
さみーなら着ろ、あちーなら脱げ。
着ても脱いでも寒くて暑くて、それが嫌なら家で大人しくしてるこった。
ただな、
適温でヌクヌク生きていきてーなら外の景色は見れねーだろーよ。
兎に角俺は行くぜ、
こんな俺を、寒波を愛してくれる人を見つけたんだ、
あ、それから、
このあったけーお茶は貰ってくぜ、ありがとな。」
寒波さんに言いたかった事は、寒波さん自身が全て言ってくれた。
寒さに震える人々が家路に戻る速さで、
寒波さんは去っていった。
あの時煎れたお茶は、急須の中で時を止めたままだったが、
そのお茶を、「あったけーお茶」と言って持って行った寒波さん。
寒波さんの持つお茶に湯気が見えた。
寒波さんの持つお茶に世界が見えた。
朝露で濡れた路面は寒波さんの涙なのかもしれない、
冬がくる度に私はお茶を煎れて待っている。
お相手は私、相馬圭祐でした。