「最新」ということばは、
英語で「latest」と言います。
「late(遅い)」の最上級です。
つまり「最新」とは、
「最も後のもの」ということですよね。
最も新しいで「最新」なので、
いちばん新しいものと思っていたけれど、
英語では"いちばん遅く出たやつ"になる。
「最新のiPhoneを買った」は、
「いちばん最後に出たiPhoneを買った」と、
そういうことになるわけです。
「最新作です!」という商品広告を、
「いちばん最後に出たやつです」という
視点で見てみるとおもしろいです。
あんまり英語は得意ではないのですが、
イギリス英語とアメリカ英語を比べてみても
微妙なちがいがあって、おもしろいです。
「latest」という感覚そのものは、
イギリス英語でもアメリカ英語でも
基本的には共通しています。
ただし、そのことばにこめられる
「価値の感じ方」「時間のとらえかた」には、
文化的なちがいが見えてくるんですよね。
イギリスは、伝統や継承を
重んじる文化が根強くある国です。
だから「latest」をつかうときにも、
「過去の積み重ねのうえにある最新」という
ニュアンスがにじみ出ています。
たとえば、
「the lastest edition(最新版)」には、
「これまでの歴史を踏まえたうえでの改訂版」
というような連続性の意識があります。
時間は積み重ねるもの。
そういうニュアンスが感じられる。
一方でアメリカは、
アップデートの速さが価値になる文化です。
歴史が浅い国だからこそ、
過去より「いま」「次」を重視する。
だから「latest」は、伝統の延長ではなく、
切り替わりや刷新のスピードを感じさせる
そんなことばとしてつかわれます。
「the latest model」や
「latest trends」といえば、
「いま流行している最先端」という、
競争的なニュアンスが強いです。
このちがいは、
「時短」や「効率化」ともつながっています。
時間を短縮し、速く結果を出す発想は、
アメリカ発祥のものが多いですよね。
それは歴史という
時間の厚みが少ない国だからこそ、
「過去に積み上げる」よりも
「次を生み出す方向に力を注いだ」という
文化的背景があるのだと思います。
つまりイギリスでは、
「最新」は「伝統の先端」であり、
アメリカで「最新」は、
「競争の最前線」ということになる。
「最新」という
ひとつのことばのなかにも、
国や地域によってこんなにも
ちがう時間の感覚があるんですね。
今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。
ことばには、
その人の世界の見え方があらわれている。
