リスペクトしすぎるという言い回しは、
主にスポーツの世界で使われることばです。
たとえば、強豪チームと対戦して
ボロボロに負けたときのロッカールームで、
監督が選手たちにこんなふうに言います。
「相手をリスペクトしすぎだ!
わたしたちは観光に来たんじゃない!
◯◯(強豪チーム)に会いにきたんじゃない!
彼らを倒すため、戦いに来たんだ!」
つまり、尊敬しすぎていたのだと。
「すごいやつらだ」と思い込みすぎて、
やる前から気持ちで負けていたー
そういう意味で使われます。
リスペクトすること自体は、
とても大切なことだと思います。
相手への敬意を欠いたまま、
「優勝できるに決まってる」と息巻くのは、
大海を知らぬ井の中の蛙のようなものです。
けれど、一方で、
相手をリスペクトしすぎることもまた、
「井の中の蛙」なのかもしれません。
もしかすると、リスペクトとは、
ほんとうのところは、
よく知らない相手に対して向けられる、
いわば"判断保留の態度"なのかも。
みんながすごいと言っているから…
賞を取ったり、優勝したりしているから…
有名な会社に勤めているから…
メディアによく出ているから…
なんとなく尊敬してしまう。
口では「尊敬しています」と言いながら、
実際には、ちゃんと知ろうともしていない。
そういうこと、あるんじゃないかな。
『BLEACH(漫画)』に登場する
藍染惣右介は、こんなことを言っています。
「あこがれとは、理解から最も遠い感情だよ」
リスペクトということばにも、
この一面があるんじゃないでしょうか。
ほんとうのリスペクトとは、
相手をよく見てよく知って、それでもなお、
こころの底から敬意を抱くこと。
今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうごうございます。
知らないままの尊敬は、
やさしさの顔した思考停止かもしれない。
