遠くにあるものを、近くに感じる力。
これが想像力だと思います。
たとえば、元気いっぱいの若者にとって、
老いや病はずいぶん遠いものだと思います。
ましてや「死」なんて、
どこか別の世界の話に思えます。
じぶんにも、大切なだれかにだって、
そんな日は来ないような気がしています。
でも、年齢を重ねた人にとって、
それはすぐそばに感じるものです。
朝、鏡を見れば分かる。
立ち上がると感じる身体の重さが、
それを思い出させます。
友人や恩師の訃報に接するたび、
「次はじぶんかもしれない」と思います。
老いは、若者にとって
想像の世界にあるけれど、
年齢を重ねた人にとっては、
ただの現実なんですよね。
だからこそ、若い人が
老いや病を理解しようと思ったら、
想像力が必要になります。
遠くにあるものを、
ぐっと引き寄せる力が必要です。
一般に、想像力というと、
「膨らませるもの」と思われがちですが、
ほんとうは「引き寄せる力」だと思います。
遠くにあるものを、
じぶんの手の届くところへ引き寄せる力。
じぶんとはちがう境遇にある人の気持ちを、
じぶんに引き寄せて考える。
遠い国の悲しいできごとを、
じぶんに引き寄せて考える。
スマホの向こうにいるだれかの孤独を、
じぶんに引き寄せて考える。
そういう想像力を育むためには、
ちょっとした動機と訓練が必要です。
「知りたい」「分かりたい」という気持ちと、
遠くのものを近くに感じようとする習慣。
そのために、本でもドラマでも映画でも、
たくさんの物語にふれるのがいいと思う。
物語の世界に飛びこんで、
知らないだれかの人生を生きてみる。
登場人物のこころの動きを、
じぶんのものとして感じてみる。
遠くにあるものを近くに感じる、
とてもいい訓練になると思います。
今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。
その人の人生を10分だけ
生きてみるつもりで話を聞いてみる。