1、試合前の状況

アウェイのミャンマー戦大勝からのホームのシリア戦。

日本はすでに予選突破を確定させている反面、シリアは予選突破のために勝利が必須という状況。

相手のレベルもミャンマーより上で、ホームであることを考えても、どちらかと言えばこの試合の方が重要度が高い。

ミャンマー戦でベンチ外だった久保・冨安もスタメン入り。

前回から本格始動し出した3バックを今回も試すという予想だった。

 

2、試合内容

ほぼ日本のペースで進んだ。

開始から3バックで入り、両サイドへの展開と中からの攻撃をバランス良く組み立て得点を重ねた。

後半から4バックへ変更。

変更直後はたどたどしい感じがあったが、しばらくするとペースを取り戻し、4バック移行後にも2得点。

おそらく3バックの早い展開からペースダウンしながら試合を終わらせる意図があってのことと思う。

賛否両論出ると思うが、個人的には賛成したい。

勝利が絶対条件のシリアとしては、後半から、あるいは後半途中からイチかバチかの戦術変更を仕掛けてくる可能性があり、そこを先にフォーメーションチェンジされると変更を躊躇せざるを得ない。(※無論、裏目に出る可能性はあるので駆け引きではある)

この後の最終予選もどちらかといえば先制するパターンが多いはず、かつ、3バックのハイプレス戦術を使い続けるというのは(W杯を考えれば疲労度が高いため)どこかで無理が出る可能性もある。

「どういうサッカーをするか」という観点ばかりだったところから、「90分をどうやって終わらせるか」に移行したものと捉えた。

よりサッカーが緻密になった結果だと解釈しているので、個人的には応援したい。

 

3、寸評

GK 大迫

パスミスこそあったが無失点のため全体的には及第点。

 

GK 谷

まさかの途中出場。

大迫の交代はパスミスが原因ではなく、単に谷の経験値稼ぎと思われるが、無事無失点のまま終了した。

 

DF 冨安

これといって目立った活躍こそないものの、3バックのセンターと4バックの右サイドを難なくこなす彼があっての4バック移行。

目立たない動きだが、味方のポジショニングやボールの位置に合わせてポジショニングを変更する反応速度が速い。

日本の至宝。

 

DF 板倉

最終ラインからキーパスも出すし、無失点で終えたので何も問題無いのだが、気のせいか試合開始からしばらくの間に良くわからない動きをする。

いつか狙われなきゃいいけども、W杯前に誰か狙って欲しいとも思う。

 

DF 町田

3バックの左で先発。及第点。

 

DF 伊藤

後半から出場。

伊藤の投入で3バック移行。

サイドバックにしては攻撃参加が少なかったと思うが、その分相馬が仕掛けていたと思う。

ロングキックという長所を生かすのが得策と思うので、無理にあがらないで良いと思う。

 

MF 遠藤

シリアの攻撃の目を潰つつ、所々で楔のパスを打ち込む。

流石のキャプテン。

 

MF 田中

久々の遠藤とのコンビ

右での久保・堂安とのコンビネーションはU世代から積み上げただけあって、見ていて安定感がある。

 

MF 堂安

右ウイングバック起用に応えた見事なゴラッソ。

やはり久保・田中と絡むと一段と輝く。

 

MF 久保

トップ下の割には大人しかったと思うが、オウンゴール扱いになった3点目と2点目の堂安へのアシストと仕事はして見せた。

 

MF 鎌田

今回はボランチの位置で途中出場。

微妙な判定だったとは思うが、カードは余計だった。

相馬のPKに繋がったスルーパスは「らしい」一撃。

重心が引く4バックに鎌田のボランチというのはしっくりくる。

 

 

MF 中村

ミャンマー戦に引き続き先発。

その起用に応えた先制点へのアシスト。

ミャンマー戦ほどではないものの左サイドでの攻撃をけん引。

 

MF 南野

終盤での5点目はストライカーとしての面目躍如か。

中村、相馬とサイドの相手が変わっても安定して活躍を引き出したのは彼のサポートあってのこと。

攻守バランスに優れているものの、もう少し決定力があれば・・・。

 

MF 相馬

後半4バックの左ウイングの位置で出場。

前回のミャンマーとは逆サイドだが、積極的な仕掛けを再三見せ、PK獲得。

この試合のシリアの右サイドバックは中村やら相馬やら、次々と違うアタッカーが出てきて散々だっただろう。

 

MF 川村

ホームの広島で錦を飾りたかったところだが・・・。

ポジションがボランチということもあり、なかなか目立った活躍は難しいとは思うが・・・。

これといったミスは無かったものの全てにおいて競争相手の面々に劣ってしまう。

 

FW 上田

中村のクロスに合わせた先制点は技あり。

が、ミャンマー戦で小川が2ゴール1アシストだったところからすると、もう少し点が欲しかった。

「これぞ上田」という反転からのシュートも見せたが1ゴールのみ。

 

監督 森保

ミャンマー戦に引き続き3バックのテスト、からの後半からの4バックと、試合中のフォーメーションチェンジに着手。

ワールドカップに向けて計画的な積み上げを感じる采配は非常に好印象だった。

3バック→4バックからさらに3バックに戻れればそれだけで試合のペースを握れるはず。

戦術理解度が高く、器用な選手の多い今の日本代表であれば可能なはず