【過去の白百合幼稚園受験を振り返る】
白百合学園の他大学進学率の高さは以前から知られていますが、平成29年度の高校卒業生(約170名)の進学データを調べてみると、白百合女子大への進学は11名(6%程度)しか
おらず、ほとんどの卒業生が他大学を目指したことを示しています。
他大学の進学データをでは、国公立が16名(内東大2名)、私立理系では医・歯・薬・看護学部進学者約28名、私立総合大学文系87名(早14、慶20、上智7名…)となっています。
早慶上智の併願合格者が例年130名程度もいる中、浪人・未定が22名という数字が示すように、医学部進学に向けて再挑戦する卒業生も多いのであろうと予想できます。
近年、白百合学園幼稚園の保護者層の中では医師家庭がかなりの高率ですから、これからもこの傾向は続いていくであろうと思います。
ところで、白百合学園幼稚園の出身者合格比率が極めて低いことは近年かなり浸透してきましたが、在園の姉妹関係に対しても同様で、平成29年度の受験結果では三保・二保共に各一名ずつしか合格しておらず、妹の受験を目指す在園保護者の不安は、出身者以上と言えるかもしれません。
※前主任の広嶋育子先生が新園長に就任されてからは、選びの傾向に変化が見えます。広嶋園長先生時代の三保受験(二次考査)を振り返ってみましょう。
【三保受験二次考査からの考察】
白百合学園幼稚園は、三保、二保共に一次考査合格者のみ二次考査が受験可能となる考査方法で選抜しています。
★一次考査⇒親子面接+遊具等や折り紙を利用した知育考査
*アンケートは無し
*コロナ期に一次考査が親子面接のみの年がありました。
☆二次考査⇒親子考査+子供の知育考査
昨年度の【三年保育】二次考査は次の内容でした。
親子考査⇒下記のように机と椅子が配置されていて、前方の園長、主任先生と向き合って座る。
【親子考査の内容】
主任先生から次の指示が伝えられる
⑴今から言うものについて、お母さまがクレヨンで画用紙に絵を描いてください。
⑵子供はお母さまと一緒に折り紙を切ったり、貼ったりしながら作品を楽しく作ってください。
⑶最後に右下に鉛筆で受験番号を記入してください。
⑷終わったらお子様と一緒にピンクの紙を折って、ごみをごみ箱に捨ててください。(机の上に机を汚さない為の桃色の紙が貼ってあります)
⑸時間は5分です。それではお題は「花束です」
*「プレゼントです」「朝ごはんです」のグループもありました。
*二保も同様の考査ですが、「水族館」「お店屋さん」「私の夢」という課題が出されています。
*机の上にはさみは無く千切る。
*折り紙の色はピンク、オレンジ、黄緑、黄色の四枚
親子考査の後、子供だけを別室に移動させますが、親子考査の後だけに、不安な気持ちから急に元気が無くなったり、泣いたりする可能性もあります。別室での課題をこなせるだけの心の発達が必要なのは言うまでもありません。
【子供のみの考査内容】
⑴象と犬の塗り絵をしている間に、園長先生から呼ばれ、次の質問をされる。(名前・年齢・誰と来たか・どうやって来たか・兄弟の名前・朝ごはんは何だった・誰と食べた・公園は行きますか・何で遊ぶのetc.)
*塗り絵の色の指定は無く自由
⑵机の上にパンダとネコとウサギのぬいぐるみが置いてある。
「ネコさんに小さい積み木、ウサギさんに大きい積み木をあげてください」
⑶赤い線の周りを皆でグルグル走る。
⑷赤い〇に入ってください、戻っていいですよと言われるまで留まる。
*⑷に関しては子供によって話が異なるので確実とはいえません。
⑸一階に戻り、靴を外靴に履き替え、園庭で親用の番号札、子供のバッジをビニール袋に戻し終了。
*幼い子供達からの報告ですから、確実とは言い切れないところもありますのでご理解頂きたいのですが、三年保育考査は概ねこのように進行しました。
親子考査⑴の「お母さまがクレヨンで画用紙に絵を描いてください」は、「花束」「プレゼント」「朝ごはん」等の様々な課題が与えられるわけですが、絵が得意ならともかく苦手な方には困惑する指示かもしれませんね。
でも、これは「貼り絵」ですから、下絵は短時間で大雑把に描ければ良いのです。親が切り方や貼り方について手本を示した後、なるべく我が子に任せる姿勢が大切です。
「先生方に気に入られる作品を作らなくては!」と意気込む必要はないですし、そもそも作品の良し悪しの評価が目的ではなく、親子の関わり方の評価が目的ですから、子供の技術を引き出し、制作意欲が高まるような声がけが必要ですね。
絵画や制作は、運動やお遊戯と同様に行動観察評価です。慣れない環境の影響を受けやすい幼児ですから、親子で楽しむ雰囲気作りが大切ですし、親の期待する方向に進まなくても、感情的にならず、冷静に導ける親かどうかが見られています。
飽きてしまったり、切ったり貼ったりする作業が雑だと感じても感情的にならず、適切な対応や言葉がけをして、完成に向けて楽しみながら作業が続けられる状況を作りたいですね。
⑵のような指示理解は、「一度で聞き取り、理解する」為の意識を家庭で育てる事が肝要です。集団の中で力量を発揮できるように育むのは幼児教室の教師の仕事ですが、日々の生活の中でその機会を多く設け、自信がつくまで繰り返すことが必要です。聞き取り能力が不安な状態では全ての考査内容で良き結果は望めないのです。
⑶や⑷は、コロナ禍でもっとも磨きにくかったことかもしれませんが、コロナとの付き合い方も慣れ、マスクもとれたこの時期から活動量を増やし、生命力を感じる活動的な子供になるよう、親自身が生き生きとした生活を送るよう心掛けて欲しいと思います。
⑴~⑸を通じ「課題にひたむきに取り組み、必要に応じて切り替えが出来る白百合幼稚園に相応しい子供」に導ける親かどうかを判断するための親子考査だと思います。
昨今、子供を制することのできない親が増えています。親子は同じ立場ではないことを示すことができない親が目立ち、𠮟るべき時に叱り、褒めるべき時に褒めることが出来ない親ばかりです。
白百合や暁星幼稚園は、制する事ができない親に対して厳しい幼稚園です。それ以外は想像よりも穏やかで優しさに溢れた指導者に導かれる大らかな教育環境です。
幼稚園の考査は親を見られる場です。隠れた場所からひっそり観察されるのではなく、真正面から真剣に観察される場であることを忘れないで考査に臨んでください。
麹町慶進会 塾長 島村 美輝
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