連載 幼稚園・小学校受験合格バイブル
「成城学園⑶」 第六章無宗教系附属編(45)
近年高まった内部進学率
こんなにも自由を謳歌できた学園生活も中学生までは保証されていますが、附属一貫校は意外に高い留年と退学率という厳しい現実が待っています。イメージと違って成城学園は最近まで約四割の生徒が高校や大学へ内部進学できませんでした。小学校受験の競争率低下の原因にもなっていましたから、近年ほとんどの生徒が大学まで進学できるようになったそうです。
内部進学率の低さは、幼小の生徒の学力の低さの延長線にあります。高い学力レベルを持って、大学へ進学をさせるのなら良いのですが、そうでなければ大学進学率の高さは張子の虎のようなものとなってしまいます。「幼少は育ちを重視し、中高は学力レベルを上げる」のが私立附属の理想です。
それには幼稚園と初等科の選抜基準を上げて優秀な子供を集めることが大切です。それは理解しているのだけれども、縁故合格者ばかり…、大学受験志向の附属ではない…、派手な保護者がいる…等々、世間の成城学園に対して抱くイメージは昔より悪くなっています。
確かに紹介者を通じての園長や校長先生の事前面談(これは学習院や立教などでも行われている一種のサービスであり、合否に無関係なものです)で、専用用紙に寄付金の額をその場で記入させられたり(最低金額についてはあえて触れないでおきましょう…)、芸能人の子女の入学(園)の話題が多数の女性週刊誌紙面を賑わせたりしてきた過去がありましたから、競争率低下の原因は自ら招いたものと言えるのですが、大正から戦前にかけて成城学園出身者の帝大合格率や社会的地位の高かった事実があるだけに残念です。
理想を掲げて開校したアルザス成城学園中高(昭和61年フランス・キンツハイムに創設 平成17年閉校)も高校へ進学できない生徒の受け皿校となっていました。
幼少期に身につけた人の育ちを、十代後半の思春期の学生になって意志の力で変える事の難しさは皆さんも理解できると思います。特に初等科に於いて『自由のはき違え』をしてしまった家庭は、創立者の澤柳政太朗の「澤柳教書」(大正15年の成城高等学校第一回入学式訓示)を熟読することを勧めます。そして自身の恵まれた環境への感謝とそれを簡単に失う可能性もあるのだということを認識すべきだと思います。
麹町慶進会 塾長 島村 美輝
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