連載 幼稚園・小学校受験 合格バイブル
「曉星・白百合学園⑶」 第四章 カソリック附属編⑮
『保護者層の変化』
バブル時期以降の附属人気はこの両校に劇的変化をもたらしました。最初に小学校受験に臨む家庭の層が変化しました。遅れて附属幼稚園も後を追いました。卒業生の子女や商人・開業医の子女が少数派になり勤務医と大手企業会社員等の高学歴者の子女が大半になっていったのです。
当然の如く、保護者の層が変われば教育もそれに合わせたかのように変わっていきました。まるで外資に吸収されて変化する会社の如くです。曉星では伝統の仏語教育を脇に追いやり、より学力向上を求められる雰囲気になり、白百合の小学校受験者にモンテッソリー教育を受けた子供が少なくなりました。両校共に信者の率が減り、宗教教育を理解するミッション校ならではの保護者が少なくなりました。
元々、教育内容のレベルが高い両校の小学校は、上の学年の内容で授業が行われていることもあり、大学受験を目指す高学歴の保護者にとっては目的と一致する学校となったのです。無宗教やプロテスタント附属と比較すると行事が少なく、低費用であることも保護者の負担面で好条件でした。
バブル以前から伝統である曉星小の成績順による席順の決まりや、サッカー等の活動参加には成績も条件である事などは、子供に辛い思いをさせたくない過干渉系の男子の親には好まれませんが、学業は厳しい環境で育つと考えている保護者にとっては好ましいものです。
文武両道の厳しい附属で有名な神奈川の桐蔭学園も同類の保護者に人気がありますが、どうやら男子の保護者は「過干渉派」と「厳しい環境派」に分かれるようです。
曉星の出身者がわが子を受験させても、不合格になるケースが多いのですが、後日恩師に結果報告をして、「恩師から、昔の曉星とは別物の学校だから、良かったと思うよ…と言われました(笑)」のような例も多く、暁星の教師の意識変化も認められます。
一方、白百合は保護者の層に変化があっても、子供達自身の「学園の名や制服に恥じない姿でいようとする女子特有の意識の高さ」は維持され、後々の受験やこの章の冒頭で述べたような「職場で有能と判断される姿」に繋がる勉学等に対する競争意識の高さはより向上しているように思います。
可憐な制服姿からは想像できない女子の内面の強さは、人的環境の産物であり、自由度の多い環境で育てられた男女共学の生徒達には太刀打ちできないものを感じます。
私は白百合附属出身者の保護者から「わが子は出来れば白百合に入学させたくないです」との発言を相当数聞いてきた経験があります。そこから感じるのは、人間関係などで相当なストレスを感じる環境である事は否定できないですし、他のミッション校を志望する出身者の多さや、考査の面接時の空気に違和感を感じる父親が多いのも事実です。
公立等の一般家庭で育った人には確かに特殊な環境であるかもしれませんが、暁星と比較するとミッションならではの「濃い学歴度」の高い環境と言えるでしょう。